21-02 Overglaze

第21部 Invasion Of A Novelist

奥多摩湖畔から11日目  


(2)Overglaze ********************************************************* 1345文字くらい




どすどすと廊下を歩き、自分の部屋に入る香。

ばったりとシングルベッドに倒れこむ。

ノーパンかつパジャマの上だけ羽織った状態で、

一緒に抱えていた衣類も布団の上に散らばる。



「はぁ…。」



顔を赤くして、漏れ出る溜息に脱力する。

オトコと体の関係を持つことが、どんなことなのか、

全く分からなかったという訳ではない。



おぼろげながら、人間の交尾についても、

高校の保健体育で習ったこととや、たまに見るファッション誌に、

撩の愛読書がいやでも目に入る中で、

なんとなくのレベルで知っていることにしていた。



しかし、撩との関係が変わってから、

自分の持っている情報は、無用なくらい役には立たず、

常に撩に翻弄されっぱなし。

しかも、日用品の買い足しや、光熱費、

生活リズムへの影響まで出てくるとは

完全に予想の範疇外。

この状況に、まだ気分が追いつかないまま、

撩と一緒に寝床を共にすることがすでに日常化している。



「……一応、……ゴミ出しの確認は、……してくれてたん、だ。」



目を閉じたままで、また息をはぁと吐き出す。

確かに、1階駐車場には溜まっていなかったし、

キッチンの隅に置くことがある不燃ごみも今回は極少量だったので、

それをちゃんとチェックしての行動だったのは分かるのだが…。



「物置に一杯たまってたんだからぁ…。」



せっかく、目覚ましをセットしたのに、

そのまま昼になってしまったショックは隠しきれなかった。



「さ、さむ…。」



自分がパジャマの上だけしか着ていないことを思い出す。

とりあず、熱いシャワーだけ浴びて早く昼食の準備をしなければと、

タンスから着替えを選び出す。

今晩は、冗談抜きで自分の部屋で寝なければと

心を固めるも、昨日のセリフが蘇る。



— 夜這いに行っちゃうよ — 



あのオトコのこと。

きっと、来る。

あれだけ散々もっこりしないとか言い続けておきながら、

ターゲットが自分になってしまったこのどうしようもない複雑な心境も

当分とれそうにない。



「もう、どうしよう…。」



香は、潰れた午前中を取り戻すため

午後のスケジュールを思い浮かべながら、

すぐ隣りの浴室に向かった。



脱かごに持って来た衣類を入れると、

とりあえずまとっているものを一つ一つ脱いでいく。



ほんのり残るエロイカの『お姉さん』たちに見られてしまったあの痕跡に、

そっと指を這わす。

「だいぶ薄くなった、かな…、って、ええ?!」

目に留まった真新しい吸引の痕に目を開く。

「こ、こんなところにもっ!」

確かに襟首から見える可能性がある場所は避けられているも、

脇の下と乳房の間に集中して華が残されている。

腕を持ち上げ覗き見るも、さらに二の腕の裏や

脇腹に、へそ周りに、腿の付け根にと、既存していたものの上に

重ね塗りをされている。



「な、なんであたしばっかりつけられちゃうのよぉ〜。」

と、思わず声が出たところで、はっとする。

(あ、あたしが、りょ、りょ、撩に、……きっ、きっ、きっす、まままままーく、なななんて、

ははは恥ずかしすすすぎて、できる、わわわけななないじゃないっっ!)

想像しただけで、頭部が噴火。



「ばっ、ばかっ!」



耳からぷすぷすと湯気を上げながら、タオルを手に取ると

ぎくしゃくした足取りで浴室に入って行く香であった。


***********************************
(3)へつづく。





ヤツにつけられそうな場所はかなり限定されそ…。

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21-01 Oversleep

第21部 Invasion Of A Novelist (全12回)

奥多摩湖畔から11日目


(1) Oversleep ******************************************************** 1197文字くらい




くぅ〜…。


自分の空腹を訴える音で目が覚める。

パチッと瞼が開く。



「え?」



ブラインドから漏れる日差しの角度が、いやに高い。

がばっと上半身を起こす香。

撩の右腕が枕になっていたらしい。



「起きたか?」



背中から聞こえたその声と同時に、

自分の腰に重たい左手が巻き付いていることと、

毛布がはだけて何も着ていない肌が冷たい空気にさらされたこと、

視界の端の時計の表示にと、

一気に色々気付かされる。



「なっ…、きゃ!…ひゃああ!」



慌てて毛布をたくしあげ、胸元を隠そうとしたら、

ぐいっと肩と腕を引っ張られ、撩の胸にばふっとぶつかった。

「たっ!」

「おはよ。」

鼻をぶつけた香は、少し目を潤ませて、むっとした表情で撩を見上げる。

「や、や、やっぱり起きれないじゃないっ!!」

腕の中で、いきなりの抗議。

「なんでもう昼過ぎなのよぉ!!」

「そりゃ朝っぱらから頑張っちゃったし」

その語尾とハンマーの出現はほぼ当時、100トンで撩の上半身は潰される。



「ばっ、ばかあっ!」

香は手が届いたパジャマの上だけを慌てて身につけ、

脱がされた衣類を慌てて回収する。

「ま、また、ゴミが捨てられなかったじゃないっ!」

「あー…、ビンとかだったら溜まってなかったぜー。」

「は?」

ハンマーの下から、ぼそっと聞こえた相方の声にきょとんとする香。

「あんた、なんのこと言ってんの?」

ごろんとハンマーをどかしながら、髪をぼりぼりと掻き上げる撩。

「あ?今日は缶ビンの日だろ?出すもんなさそーだったから、今回は大丈夫だろ?」

「………。」

香は目を閉じて眉間にシワを寄せ、ふるふると震えている。



「……あんた、どこ見てそんなこと言ってんの?」



「は?」

「物置に今日の朝、出したいものがあったのに…。」

衣類を抱いている手がわなわなと揺れる。

「ほぇ?」

「あ、あんた、俺がしとくからとかなんとか言っても、きっと出来ないと思ったから、

今日は出さなきゃって、思ってたのにぃー。」

またハンマーを振り上げる香。

ベッドの上の膝立ちでパジャマの裾から見えているナマ足が実に色っぽい。



「ま、まてっ!」

次の衝撃が容易に想像でき、反射で腕で頭をガードするポーズをとってしまう。

「起きようと思って目覚ましかけておいたのにぃ〜。」

「あ…。」

確かに余計な気をきかせてセットを解除したのは撩。



「わりぃ、わりぃ、カオリンお疲れのようだったから、

起こしちゃかわいそっかなーっと思って消しちゃっ」

2発目の100トンが振り落とされる。

「撩……、やっぱりあたし自分の部屋で寝る。」

香は、そう言い残して、お怒りオーラをばしばしと飛ばしながら、

衣類を抱えて撩の部屋から出ていった。




「……も、物置にも、あった、のね。」

撩はハンマーの下で、がっくりと脱力したまま、

耳だけは香の動きを追っていた。

(ツメがあまかった、か…。ボクしゃんたら…。)


***********************************
(2)へつづく。






力一杯寝坊をさせてしまいました。
今日は、一体どんな1日になるのやら…。

20-03 How Many Centimeters ?

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20-02 Are You Ryo ?

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20-01 Kiss A Wound

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19-13 Battery Charging

第19部 Shopping

奥多摩湖畔から10日目


(13) Battery Charging  *****************************************3944文字くらい



食後、香は買ってきた荷物を所定の場所に入れる作業をする。

その前に、撩にコーヒーを出すのを忘れない。



衣類のタグを取るだけでも結構な手間で、

客間兼自室で、ハサミでもくもくと、

除去作業を続ける。



トランクスに手が伸びた時、

神宮寺遥と出会った歓楽街で聞いた撩のセリフを思い出す。

確かに、生地がヘタレてきたら買い足していたのは自分。

そんな自分に疑問を少なからず感じていた頃もあった。

「家族、だから、ね…。」

そう切り替えようとしたのは、彼らの依頼が終わってから。



妹みたいでいいのよ。

本当の家族になれなくったって、いい。

撩がそばに置いてくれるのなら、こんな買い物もお安いもの。

そう心の整理をしたつもりであった。

しかし、深層にある本音はそれで納得してくれるはずもなく、

その抗議の声を押し殺しての日々。



それが今、たぶん、

本当の家族に近い位置に格上げされた。

そんな気がすると、

撩のために選んだ衣類に触れながら思い返す。



撩にはこんなことを考えているとバレたくはないが、

あのオトコは、一人でもきっと難なく仕事をこなしていくはず。

ただ、自分がそのサポートをすることで、

撩の持つ能力がより発揮しやすくなるように

出来うる限り努めたいと理想を抱えるも、

今の状態では足手纏いのレベルから脱していない。

支え援護していくには、自分自身もスキルアップは最重要課題と、

己を振り返る香。



今、一番撩に近い位置にいることを正式に許され、

曖昧な関係を終わらせたことに、

正式な奥さんではないけど、

そんな肩書きを得られずとも、

気持ちだけは夫を支える家族でありたいと、

さらに、共に生きる決心を固くする。




「はぁー、やっと終わった!」

全ての値札を外し終えて、立ち上がる。

「とりあえず全部一度洗ったほうがいいわよね。」

衣類用のノリの匂いも残っているので、

新品はまずは未使用でも洗って生地のパリパリ感をとることにする。



「今日だけじゃ、終わらないかも…。」

大量の布類を抱えて脱衣所へ向かう。

まずはシーツ類を2枚先に洗濯槽に落とし入れ、

他は、ばさりとランドリーバスケットに詰め込む。

力一杯はみ出て山盛り状態。

今晩中に、できたらシーツ4枚は洗って吹き抜けに干してしまいたい。

香は、洗濯機に洗剤と柔軟剤を入れてスイッチを押した。



次に、日中かけておいた乾燥機をぱかりと開けて、

中身を取り出す。

「さてと、これもたたまなきゃ。」

これから、香は使ったお金を家計簿に記録して、

明日の朝食の準備をし、夕食の食器を片付けて、

吹き抜けに干しているシーツも回収してたたんで、

可能なら買ったばかりの寝具も全部洗って干してしまいたい。

そして、入浴、歯磨き、トイレ、ピルの服用、伸びた爪を切って、

保湿液・乳液セットを施し、

ようやく休めることになる。



しかし、既に体はお休みモード。

「うー、眠たい…。」



最初の2枚のシーツが洗い終わったのは10時近く。

カゴに移すと、

間髪入れず、起毛の敷パットを1枚投入。

すぐにスイッチを押す。

これは、1枚ずつでないと十分に水流が回らない。

香は、洗濯バサミをカゴの中にいくつか入れると、

よっと抱えて、7階の撩の部屋の前を通って、本棚の前で作業を始める。

今日の昼に見つけたばかりの新たな臨時干し場で、

2枚の薄手のシーツは、手すりからはらりと垂れ下がり、

端を洗濯バサミで固定される。



「この間に他のをたたまなきゃ。」

パタパタと階段を降りる香。

「あっ、そ、そうだ。」

途中でUターンして、撩の部屋に入る。

ベッドにギシリと体重をかけ、目覚まし時計を手に取る。

またここで寝ることになる可能性大であるなら、

とりあえず7時半には起きれるようにしておかなければと、

時間をセットし直す。

「これで、よし!と。」



再度、階段を降りる香。

ふと見上げると、干された広く大きな布地がまるでタペストリーのようにも見えた。

ここにあと、2枚追加予定。

さっさと片づけなければと、歩みを早めた。







「おまぁ、いつまで洗濯もんにかまってるんだ?」

「あ、あと1回だから。」

しばらくして脱衣所に様子を見にくる撩。

香は、3回目の洗濯機のスイッチを入れる。

時間はすでに12時前。

とにかく、今日買ってきたものは、ひと通り洗って干しておきたい。

「んなの、明日でいいんじゃねぇの?」

つまんなそうに、そう言う撩。

「ううん、明日洗う分もあるから、今日はシーツだけでもやっちゃおうと思って。」



今日も1日動きっぱなしの香は、

この時間になってもまだバタバタしている。

「はぁ。」

撩は、自分の部屋に強制連行しようかと思ったが、

それでまたご機嫌を損ねるのも避けたいので、

とりあえず、ここは撤退することにする。



頭をぽりぽり掻きながら、隣りのキッチンに入る撩。

区が配布しているゴミ収拾日付きのカレンダーを見る。

「明日は、……と。」

一応、ビン缶の日。

キッチンの指定席には、わずかしかない。

確か1階の駐車場の隅にいつもゴミ出し用として待機させている場所にも、

ごみは溜まっていなかったはず。

「……じゃあ、大丈夫だなっ。」

にやりとご機嫌よく情報を確認する撩。



香は、ようやく今晩最後の洗濯物を終わらせる。

4枚のシーツ類が7階の手すりにずらりと並んだ。

みな大きいサイズ故、かなり目立つ存在になっている。



「お客がいる時はできないワザね。」



既に撩も香も入浴は終了。

もちろん、まだ別々ではあるが。

やっと寝るだけとなったところで、

香ははっと我に変える。



「やっぱり、自分から行かなきゃだめ、かな…。」



そういえばと、今撩はどこにいるのかと疑問に思う。

柵の対面にある相方の部屋は扉が開いていて中にはいない。

7階の吹き抜けの通路でしばらく悩む香。



先に部屋に入って待っているということは、

まだ気分的に出来そうにない。

そもそも、

今までもお姫様抱っこで連れ込まれることの方が圧倒的に多いのだ。



「うーん、どうしよう…。」



リビングにいると思われる撩のところに行き、

「ねぇ、そろそろ寝ない?」と自分から言うのは、

色々余計なことを考えてしまって、

とてもじゃないがこれも出来ないと却下する。

しかし、いつまでもここにいる訳にはいかない。

パジャマに、カーディガンを羽織っているだけなので、

広い空間のここは思った以上に冷える場所でもある。

そう思ったとたん、足元からひんやりとしてきた。



「……さむ。」



香は、ゆっくり撩の部屋に向かって本棚沿いに歩みを進めた。

ちょうどその時、6階の扉が開く。

香は上から吹き抜けのフロアにいる撩の姿を見下ろす。

「終わったか?」

見上げながら、階段に向かう撩も髪を乾かし終えて、

Tシャツにスウェット、首にはタオル。

「うん。」

「こっちも、戸締りはオッケーだぜ。」

「あ、ありがと。」

「さっさと寝よーぜ。」

撩の部屋の前の手すりに寄りかかる香。

この短い会話のうちに、もう相方は自分のそばに到着。

「ほれ。」

両肩を後ろから軽く押されて、部屋に誘導される。



「ぁ、…ちょっと、…まってよ。あんた電気とかちゃんと消したの?」

顔を赤らめて振り返り気味にそう尋ねる香。

「もっちろん!」



ベッドのそばまでくると、

羽織っていたカーディガンだけを脱がされ、

あれよあれよという間に、布団の中に連れ込まれた。

ぽぽんとトランクス一丁になった撩は、スリッパも投げ置き、

するりと香を抱き込む。



香は、照れながらも、

今日もこうして一緒にくっついて寝られることがたまらなくうれしく、

撩の肌に顔を埋めたまま目を閉じ、素直にふうっと力を抜く。

左頬を寄せながら、遠慮気味に

自分の右腕を撩の脇腹経由で背中にそっと回した。



温かい。



撩は、左手で香のふわりとした髪を優しく描き上げながら、

耳にかかる茶色い束をくるりと耳介にひっかける。

頬をなで、そっと上を向かせると、

瞼を下ろしたままの赤い顔が腕の中でお目見えし、

その愛らしさに、体が反射で動いてしまう。

角度をつけて、

薄く開いている形のいい唇をやんわりと己の唇で挟み込む。



「ん…。」



背中に回されている香の指にくっと力がはいる。

足をからめ、右腕をさらに自分に引き寄せ香の体を密着させる。

後ろ頭を左手で支えて、ゆっくりと香の顔の各パーツにキスを施す。

そのたびに、ふるっと震えるまろやかな体。



「…ぁん。」



くすぐったいけど、

気持よくてそのまま寝てしまいそうになってしまう。

香は、眠気と必死に戦う。

ここで寝てしまったら撩をきっとがっかりさせてしまうと、

うとうとしながら、踏ん張る香。



「……今日は、やめとくか?」



相変わらず、肌から唇を離さないままで、小声で聞いてくる撩。

驚く香。

なにか、まずいことでもしてしまっただろうかと、

色ごとに慣れない自分のミスを疑う。



「……な、なぜ?」

「もう眠たいよぉって顔してるしぃ。」

ああ、バレていたのかと、隠し事ができないことを再度思い知る。

「りょ…の、好きに、していいって、言ってるで、しょ…。」

「寝ちまっているオンナを襲う趣味はねぇーの。」

「起きてる、か、ら…。」

「ムリすんな。」

「ん……、りょ…と、こ…してる、だけで、きもち、よく、て…。」

もう言葉が途切れ途切れ。



「………おれも、だよ。」

「………。」



すでに返事が出来ないところに行ってしまった香。

今の撩の台詞は脳には届かなかった。



撩はくすっと笑って、くっと抱き込む。

「おやすみ…。」

時間は1時半過ぎ。

「……おまぁは、いっつも働き過ぎなんだよ。」

憎まれ口の内容と全く噛み合わない穏やかな口調。

自分の右腕を枕にし、静かに目を閉じる香。

ぐっと自分に引き寄せ、こめかみにキスをする。



「とりあえず『充電』だな…。」

そう言って、撩も瞼を下ろした。


**********************************
第20部(1)へつづく。パス付きです。





それでなくても、
慣れないことがてんこ盛りで
色々お疲れだと思います。
カオリン、とりあえずゆっくり休んで下さいな。
撩単品でも完全版の言葉を一部借りると
パーフェクトワンマンアーミー状態ですが、
カオリンが一緒になることによって
更にパワーアップの相乗効果ありという感じかなと。
だからこそ「2人でCH」RKじゃなきゃダメなのよ〜。

19-12 Carpaccio

第19部 Shopping

奥多摩湖畔から10日目 


(12) Carpaccio ****************************************************** 1411文字くらい



香は、あらかじめ作りおきしていたロールキャベツを冷凍庫から出して、

コンソメスープでくつくつと煮込んでいた。

一緒に、薄切りのニンジン、玉ねぎ、ブロッコリも味を吸って柔らかくなる。

ペンネも早めに茹で始めていたので、

それもアルデンテに仕上がりザルに上げる。

さらりとオリーブオイルをかけわまし、ざっくりとヘラでなじませた。

ミートソース缶を出して、別の器に移しレンジで軽く温めると、

まだ湯気のあがるペンネを混ぜ込んで、刻みパセリを散らせば一品増える。

本当は、刺身にしようかと買ってきたマタイとマダコの切り身は、

洋風に合わせることに。



「カルパッチョってこんなんでいいんだっけ?」



あまり小洒落たものを作ったことがないので、

うろ覚えで盛り付ける。

すでに炊飯器も仕上がりを告げている。

デザートのルビー色のグレープフルーツを切り分ければ、

夕食はほぼ完成。



「お、もう食えんのか?」



トイレやら、手洗いやらを済ませ、

リビングで軽くニュースを見てきた撩は、

そろそろだと思い、キッチンに入ってきた。



「あ、うん、先に食べていいよ。」

香は、手に余る大きさの柑橘を8等分にして、

食べやすいように切れ込みを施している。



「なんか祝い事でもあったっけかぁ?」

「はぁ?な、なんで?」

思わず振り返る香。

「なんか豪華じゃん。」

「は?いつもと大して変わんないよ。」

香としては、ロールキャベツもパスタもフルーツもいつもの食卓。

しいて言えば刺身になるはずの一皿が、ちょっと普段と違うだけ。



香は、また板に向き直って作業を進める。

「うーん、1品、雰囲気の違うものが混じってると、他のも良く見えちゃうのかしら。」

「あん?」

切り終わったフルーツを白い平皿に盛りつけながら香は続けた。

「アニキがね、2週間に1度は生魚を食べろって言ってたの。」

「槇ちゃんが?」

「うん、でね今はなくなっちゃったけど、昔住んでいた近所の魚屋さんに、

ちょこちょこ買いに言っていたのよねぇー。」

「ふーん。」

涼しい顔をしながら、

実は撩も同じことを同じ男から言われたことを思い出す。



「で、だいたい生魚って買った当日に食べたほうがいいから、

今日は買い出しの日だし、主菜に一つ加えたの。」

そういえば、これまでもだいたい月2回は、

何らかの形で鮮度のいい魚介類を食わされていたことを振り返る。



「あー、俺も昔、槇ちゃんにおんなじコト言われたわ。」

「え!」

席につきながら香は驚く。

「なぁーんの根拠もなさそーだけど、

あいつ妙に俺の食いもんにうるさかったからなぁ。」



中米時代は、草木の実以外、滅多に動物系の生食をすることがなかった撩は、

日本食の刺身や寿司に慣れるのにはワンクッション必要だったが、

今は、好物の一つになっている。



「へぇ、知らなかった…。アニキって結構お節介だからねー。」

お節介だったと過去形にしていないところは、

無意識なのか、まるで今もそばで生きているような空気に、

ふと口元が緩む撩。

おまぁも負けず劣らずお節介だがな、と言い出しそうになったのを

とりあえず寸止めし、箸を手に取る。

「あったかいうちに食べよ。」

「あいよ。」



時間は7時台、

なんとか遅くならない範囲で夕食を始めることができて、

香は一安心する。

今日も、こうして食事にありつけることに感謝しつつ、

この後、片付けなければいけないことが

もろもろ待っているので、

食べながら、どう動こうかイメージしながら箸を進めた。


*********************************
(13)につづく。






2週間に一度は生魚、
わたくしの母方の祖母がしつこく言っていたそうです。
やや海から離れた地域で、かつ戦中戦後に看護婦をしていたらしいので、
そういう栄養学的なこともよく気にしていたとか。

19-11 Makimura In The Frame

第19部 Shopping

奥多摩湖畔から10日目 


(11)Makimura In The Frame ********************************************1360文字くらい




愛車は、いつの間にかアパートに到着。

既にカレージのシャッターも降ろされ、

撩は、荷台を開けて買い物袋を取り出している。

その気配で、香の目がパチっと開いた。



「ご、ごめん!また眠り込んじゃったっ!」



慌てて、助手席から降りる香。

膝の上に置いてあったショルダーバッグがドサッと落ちて、

これまたわたわたとして拾い上げる。

「おー、先に食いもん上に上げるぞ。」

「あ、お願い。」

香は目をこすりながら、後部座席を開けた。



食料品は撩が全部持ってくれた。

自分は、衣類関係を持てる分だけ抱えることにする。

「さずがに1回じゃ運べないわね…。」

「あー、後は俺が取ってくっから、おまぁメシの準備な。」

「え?いいの?」

「残りは俺一人でいいだろ。」

二人で階段を登りながら、役割分担を確認する。

「そ、そうね。じゃあ、お願い。」



撩は、買い物袋をキッチンへ運び入れ、テーブルの上にどさりと置くと、

また猫背がに股でひょこひょこと、玄関に向かった。

香は、衣類一式を客間兼自室のソファーに置くと、

すぐに台所に戻って、買ったものを袋から出し始めた。

色々買い込んだので、指定席にしまいながら、

調理作業も同時並行。



荷物を持って戻ってきた撩は、とりあえずキッチンを覗く。

「あー、腹減った。メシなに?」

「あ、生魚出すから、あとはロールキャベツ、ちょっと待っててね。」

「こいつは、おまぁの部屋でいいか?」

寝具にバスタオル、運動靴の入った袋ががさりと音を立てた。

「あ、うん、適当に床にでも置いといてくれる?」

「あいよ。」



両手に買ったものを抱えて、香の部屋に向かう。

電気を付けないまま、無遠慮に立ち入る撩。

香の匂いが薄くなっている。

第一印象はまず鼻から来た。

すでにソファーの上に置かれている荷物。

その隣りに並べるように、

がさがさとモノを手から離す。



ポケットに両手を突っ込み、ベッドサイドの写真立てをふと見つめた。

暗がりの中でも、その二人の顔と視線が合う。



「……言いたいことが、一杯あるだろ、槇ちゃん。」



返事など聞けるはずないと分かっていても、

この状況をどう思っているのか、

知る由もない胸の内を聞いてみたくなる。



もし、槇村が死なずに、

あの3月31日が何事も無く平穏に3人で祝いの席となっていたら、

一体どんな未来になっていたのだろうか。

考えても無駄な「もしも」にまた意識が持っていかれる。



「……それでも、……もらっちまっていたかもしんねぇな。」



どんな設定で出会っても、どんな流れを辿っても、

行き着くところは、同じであろうと、妙な確信が心をよぎる。

比喩できない葛藤と迷いの中で、結局自分たちで選んだ今の形は、

きっと他の未来でも変わりないだろう。



「お前の最大のミスは、冴子を置いてけぼりにしちまったことだろうな…。」



ふーっと一息吐き出す撩。

全ては自分の責任。

あの場所へ一人で行かせてしまった判断ミス。

いくら後悔しても、変えられない過去。



「あれから、6年以上、か…。」



すまないと、いくら詫び続けても足りないであろう。

ただ、今は槇村から与えられた有形無形のものに感謝したい。



「……ありがとな。」



目を細める撩。

くんと、コンソメの香りが漂ってくる。



「じゃ、メシ食ってくるわ。」



そう言い残して、

香の部屋の扉をパタンと閉めた。



**************************************
(12)につづく。




死にキャラだったとは言え、
やっぱり死んで欲しくなかったわ…槇兄ぃ。

19-10 You Are Masher ?

第19部 Shopping

奥多摩湖畔から10日目


(10)You Are Masher ? *********************************************** 1775文字くらい



帰りの高速では、すでに日没後。

夕闇の中で、人工的な明かりが視界を流れる。



「はぁ…、遅くなっちゃった…。」



香は、撩に先ほどの文句を続ける気力も失せて、

溜息とともにそう呟いた。

スタート時点では、なんだかデートみたいとドキドキしていたが、

買い物中、結局4本のハンマーを出し、

しまいには、不意打ちのキスまでしてくるし、と

撩に終始振り回されっぱなしで、買い物が終了。



ただ、今回はなぜか撩のナンパが一切見られなかった。

あれだけ、あちこちのフロアで可愛い店員さんにお客さんもいたのにと、

少し顔を動かして、ふと運転席を見る。

視線に気づいた撩は片眉を上げた。



「なんだ?疲れたか?」

「……撩こそ、体調悪いわけじゃぁ、ない、わよ、ね?」

「ああ?」

「ううん…、なんでもない…。」

ぱふっとシートに背中を深く預けて、香は目を閉じ少し上向き加減になる。



なんだかんだ言いながらも、一緒に出かけられて楽しかった。

恥ずかしいやりとりが多くて、困惑ばかりだったが、

嫌がらずに、一緒にこうして買い物に付き合ってくれただけで、

嬉しさと幸せ感に今も浸れる。



しかし、やはり何か足りなくてヘンなのだ。

それは、恐らく日課となっている

他の女性への必要以上とも言えるアプローチ。

昨夜、撩はこれからもナンパ続けるかもしれない的なことを白状していたので、

今日もいつそれが来るか、

香自身も通りすがりの女性客や店員に注意を払っていたが、

むしろセクハラ対象は香自身であった。



(ガ、ガマンさせちゃってる、のかな?)



確かに、今の状況で他のオンナにへらへらしている相方の姿を見せられるのは、

はっきり言っていい気分ではない。

かといって、ナンパを全くしない、周囲の適正年齢のオンナに無関心である相方も、

撩じゃないようで、ムリをしているのではないかと勘ぐりたくなる。



(うー、あたしって撩にナンパ続けて欲しいワケ?

それともやめて欲しいワケ???)



自分でもよく分からない心理を抱えて、

むむむと唸りながら、眉間にシワを寄せる。



「な、なんだぁ?」

撩の声に反応して、はっと目を開ける香。

「ううん!なんでもないっ!」

両手のひらをぴっと伸ばして、

ふるふると首と同調させて横に降る香。



クエスチョンマークを頭に浮かべた撩は、

軽く息を吹き出して目を細める。

運転しながら、右腕をぐいっと伸ばして、

香の頭を自分の左肩にばふっと預けさせた。

「わわわっ!な、なにすんのよ!」

「……よっかかってな。」

「ぁ…」



高さが丁度いい。

三角筋と上腕の硬さと柔らかさと温かさが、実に絶妙なバランスを持つ。

(あ…、気持ちいい、かも。)

やや照れつつも、香は腰の位置を少し運転席側に近づけて、

居心地のいい場所を決めると、

目を閉じそのまま力を抜いて体重を撩に預けた。



「……ありがとね、買い物付き合ってくれて。」



撩の体温に、考えていたことはどうでもよくなった。

誰に声掛けしようと、

自分が撩と生死を共にすることになんら変わりはない。

この温度が、今自分で感じられている。

それだけで、十分ではないかと。



少し顔を左に向ければ、

香の柔らかいくせ毛に自分の息がかかり、数本の髪が揺れた。

撩も表情を柔め、ふっと鼻から呼気を出す。

返事をするべきだが色々なセリフが浮かぶも、どれを使っていいかのか暫し迷う。



『いくらでも付き合ってやるさ。』

(あー、らしくねぇな。)

『ボクちゃん、ごほうび楽しみにしてんだけどぉー』

(車外に逃げられるかもしれん…。)

『しばらくは勘弁だぜぇ。』

(本気にしちまって、二度と一緒に行こうと言わなくなるかも…。)

『たまにはな。』

(これが一番無難かぁ?)

と、考えあぐねていたら、すー、すーと寝息が聞こえ始めた。



「……あれま。」



くすりと鼻で笑う撩。

「……着くまで休んでな。」

そう優しく言うと、

しばらく変える必要のないギアから左手を浮かし、

香の膝の上にある本人の手にそっと重ねた。

少し指先が冷えているのが伝わる。

自分の体温を分けるべく、指の隙間を指で埋める。



たったこれだけで、

くすぐったい幸福感がじわりと脳に送られる。

お互いの人生が変わったあの日から、

今日でやっと二桁。

まだまだ、日は浅い。



「先は、長いんだぜ…。」



寄りかかる香のぬくもりを感じながら、

撩はそうつぶやくと、

家路に向かってなめらかに速度を上げた。


**********************************
(11)につづく。






というワケで、お買い物終了〜。
カオリン、お疲れさんでした〜。

19-09 Elevator

第19部 Shopping

奥多摩湖畔から10日目   


(9)Elevator   ****************************************************4019文字くらい



6階で起毛の敷パット2枚、普通のシーツ2枚、バスタオル4枚、

5階でストップウォッチ、トレーニングウェア上下セットに室内用の運動靴とマスク、

4階で撩のトランクス、Tシャツ、靴下の3セットを多めに、

3階で香のハイネックのトレーナーとTシャツそれぞれ2着ずつに、ストッキングと、

1台のカートは上下とも日用品で埋まる。



「つ、疲れた…。店内って結構歩きまわる距離が長いのよね…。」

普段、あまりまとめて買うことがない品々を

各階で探して選んで会計してと、

ようやく残すは食料品だけとなった。



「りょ…、どうする?一度これ車に移してから地下に行く?

それとも、このまんま食料品売場行っちゃう?」

「あー、往復すんの面倒くせえな。とりあえず地下に行っちまおうぜ。」

そう言って、エレベーターのボタンを押す撩。




「はぁ…。」

エレベーターの壁に寄りかかる香。

疲れは、歩数の問題だけではない。

いちいち物品を選び買う度に、撩のセクハラ的発言でどっと疲れるのだ。



ストップウォッチを買うにしても、縄跳びの時に測るためと言ったのに、

「ふーん、リョウちゃんのもっこり持続タイムを測るってワケじゃないのね〜。」と

さらりと言いのけ、またハンマーを飛ばすことに。



トランクスを選んでもらおうと、売り場に行くと

「あーん?今までおまぁが買ってきてただろうが。選ぶの面倒くせー。」

と言いながら、下半身のみのマネキンを抱えて、

ぴっちりとした黒いブリーフをじゃんと見せ付け、

「それとも、おまぁ、こーゆーもっこりが分かりやすいタイプが好きかぁ?」

とにやけ顔で聞いてくるので、またミニハンマーを招集。



自分のハイネックを選ぶ時も、

「ぐふっ、これでちゅうマークつけていい場所増えるもんねー。」

嬉々として衣類に触れる撩に、

近くに他の客がいるにも関わらず、

思わずいつもの100トンを落としてしまい、

店員が驚いて駆け寄って来る始末。

慌てて弁明し、とりあえず床は壊れていなかったので、

あたふたとその場の用事を済ませてフロアを後にした。



プシューと、エレベータが開く。

夕方の時間帯、地下の食品売場は結構混み合っている上に、

上の階よりも通路が狭い。

荷物がたっぷり乗ったカートを押して見て回るのは抵抗がある状況。



「ねぇ、撩はあっちのベンチがあるところで待ってて。すぐに済ませてくるから。」

香が指さしたレジの奥の休憩コーナーに目をやる。

「あー、そのほうがいいようだな。」

「ちゃんと荷物見ててよっ。じゃあ行ってくるから。」

荷物をほっぽり出して、

試食を進める可愛い売り子さんに、まぁたちょっかいを出しに回りそうだと、

これまでの撩の生態を振り返るも、

とにかく早く買い物を済ませなければと、

地下のフロアを早足で巡ることにした。



いつも利用しているスーパーよりも割高ではあるが、

いい品揃えもよし、報酬も入った後、

これから別の店に行って買い物をする時間と手間の省略と思えば、

値段への罪悪感は軽くなる。

生鮮物を中心に、これから数日の献立を思い浮かべながら

香はカゴに選んだものを入れていった。



一方、撩は荷物の番犬状態で指定された場所で大人しく待機。

ベンチの端に座り、背もたれに肘を預けて頬杖を付き、ふっと息を吐き出す。

その表情は決して嫌がっている空気ではなく、

忙しく歩きまわる香をしっかりと視線でロックオン中。

おのずと唇の端が緩む。



(んと、まるで夫婦だわな…。)



ケジメをつけたとはいえ、

世間ではまだ「同棲中の恋人」止まりで、

まだ夫と妻と呼び合える仲ではない。

ただ、今日のこの買い物を通して、

もう自分たちの中身は既に所帯を同じくした夫婦であると

疑いようがない関係を客観的に感じ入る。



各階の会計をしていた店員も、

買っていたものから間違いなく夫婦かそれに近い関係と読んでいただろう。

それが、どうにもこうにもくすぐったく感じ、

これが、スイーパーとして、殺し屋として、

裏の業界で世界一の肩書きを持つ男の日常だろうかと、

自身のギャップに可笑しくも思う。



「……悪かぁない、よな。」



ぼそっと呟く撩。

しかし、美樹とファルコンのように、仲間の前で正式な婚姻を披露するまでの

心の準備は全くもって出来ていない。

自分がファルコンと同じうように、燕尾のスーツを着て、

ウェディングドレスの香と歩くなんぞ、

想像するだけで、平静さが保てなくなる。



「ぅー、だめだ、考えらんねぇ…。」



もし、それが実現したら、

きっと香はこれまでにない極上の笑顔で喜ぶことだろう。

その顔も見てみたい。

騒動が起こる前の教会で、ほんの一瞬そう思っていたのもまた事実。

かといって、香が40、50になるまで先送りすることも憚(はばか)られる事案。

それでもお互いの心の準備が整うのは、まだ当分先になりそうだと、

挙式のある未来を全面否定することのない自分に、ふっと苦笑した。



そんな考え事をしながらも、

撩の視線は追跡モードを解除することなく、香を追い続ける。

カゴ一杯に食材を詰め込み、レジに並ぶところ。

高額の入金後なので、

若干いつもよりも値の張るものもちらりと見える。



他の客よりも上背がある分、

レジでもそのモデルのような姿は目を引く。



「目立つ、よな…。」



また、ぼそっと声が出る。

色白で、美しい顔立ち、腰の細さとふくよなか胸元が目立つスタイルの良さ、

醸し出す空気の穏やかさ、活力のある栗色の瞳。



会計を済ませる香は、レジ係りの女性にもお釣りを受け取るときに、

笑顔でどうもと、声掛けをする。

振りかまれるスマイルパワーに勘違いするヤローも多いことを

本人は全くもって気付かない。

撩は、目を閉じ後ろ頭に指を組んで、んーと伸びをした。



「ボクちゃんだけに向けてればいいっつーの…。」

「は?何を?」



ぽろっと指が解け、目を見開く撩。

視線の先には小首をかしげ自分を見下ろしている香。

その手には買い物袋が積まれたカート。

長い睫毛でまばたきを繰り返し、

きょとんとした顔で、無言の撩を見る。



「……お!やっと終わったか!もうあと買うもんはないな!」

油断した自分をごまかすように、待たされたモードで、

普通を装う撩。

すっくと立ち上がって、香を見下ろす。

「う、うん。」



撩の計算ミスは、

レジですでに袋詰めのサービスが行われていたこと。

他の客がサッカー台で、買い物袋への詰め込み作業をしていることから、

当然、香もそこでの時間を取ると思い込んでいた。

そこへ、レジからストレートで自分のところに戻ってきた香に、

こぼれ出た独り言をまた聞かれてしまった次第。



(かぁ…、なんかこのところ、こーゆーコトが増えてない?オレってば。)



二人でそれぞれにカラカラとカートを押しながら、エレベーターに向かう。

「で、さっきの、何を向けるって?」

撩の独り言を、何の警戒もなく蒸し返す香。

エレベータの扉が閉まる。

口元をややへの字にして、顎を反らせ気味に視線を下に向ける撩。

監視カメラの角度から接触面が丁度見えないように、

素早く行動に移した。




ちゅ。




「…………。」





何が起きたか理解できない香。

両手を壁につけたまま、つと離れる撩。

何が起きたか理解できた香。

一気に体温計の目盛りが上がっていく。



「っな!っな!こっ、こん、…なにっ、か、か、かっ!」



何語をしゃべっているでしょうかというどもり具合に、

くすりと笑う撩。



「そーゆー顔は俺だけに向けとけってこと。」



低い機械音でエレベーターの出口が開く。

「ほれ、行くぞ。」

先に出る撩。

「も、もうっ!一体っ、なななに考えてんのよっ!」

わたわたしながら、カートを押す香。

そのまま立体駐車場へ向かう。



数時間かかった買い物がようやく一区切り。

クーパーの後部座席とトランクに買ったものを詰め込み、

カラのカートを戻しに行こうとする香。

「あー、俺が行ってくるわ。」

さらりと交代し指定席に置きに行く。



「やっぱ、ヘン、よ…。撩が自分からそんなことするなんて…。」

見送りながら、いぶかしがる香。

「さ、さっきの、いきなりのアレもなんなのよー!あ、あんなところでっ!」

思い出して、かっかしながら助手席に乗り込んだ。



撩は撩で、前の買い物の時に、カートを戻しに行った香が、

自分が気付かないうちに戻ってきて、

あまり聞かれたくなかった独り言を聞かれてしまったので、

それを思い返して、

自らカートの後始末を買って出たのだ。



それでなくても、さっきも同じミスをしてしまっている。

ミスと言っても、命のやり取りに関わる案件ではないにしろ、

奥多摩以来、

ふとした考え事からポロリと漏れ出る愛しいパートナーへの独り言は、

自分でもかなりこっ恥ずかしい。



むしろ、ケジメを付ける前は、

本業での細かなミスが続いていたのだから、

それに比べれば可愛いものではあるが、

らしくねぇなと、

撩は、苦笑いを交え頭をかじかし掻きながらクーパーへ戻った。



「んじゃ、帰るか。」

運転席のドアをバタンと閉めながら、横目で香をちらりと見る。

まだ顔を赤くし、肩が碇型に縮こまっている。

文句を言いたげなその表情に、ぷっと吹き出す。



「なっ!なによ!」

「べぇっつにぃ。」

エンジンをかけて、車を出す撩。

「も、もぅ!ワケわかんない!あ、あ、あんなトコで、ああああんな、こ、こっ」

訴える香を横目に、

一旦停止して、駐車券を入れる。

買い物も一定金額以上なので無料となる。

「誰にも見られてねぇーよ。」

アクセルを踏む。

「!!、っだって!か、か、カメラがっ!」

香もちゃんと監視カメラの存在と位置を認識していた。

「わぁーってるって、ちゃんと角度考えてんだよ。心配すんな。」

なめらかに駅前に出ると、そのまま高速へ向かう。

「でででもっ!そ、そ外でっ。」

「んー?今までも外で何回もしてんじゃん♡」

にまっとして、忘れたのぉ?と視線で尋ねる。

香は、ひくっと、窓側に逃げ腰になってしまう。



今、隣にいるオトコは、本当に自分が知っている撩なんだろうか、と

こうまで言動が激変している相方に、

未だ、身も心も適応できない香であった。


*****************************
(10)へつづく。






ナンパするより、カオリンをからかっている方が楽しい撩ちん。
以下、個人的な話しなので、
見てもいい方だけスクロールを。
ちょっと弱音吐き気味…。

















ようやく四十九日が明けました。
本当は、くだんの後輩の実家が調布だったので、
このお話しの地名設定も変えようかと迷っていたのですが、
どうしても代替策を出せずに、そのまま公開することにしました。
4月は、もう何をするにも上の空。
雪の残る山の映像を見たり、
子供が使っているヘルメットを見るだけで、
込み上がってくるものがあり、
なかなか現実の生活に集中できず、
このサイトを作ってしまったがために生み出したトラブルや
一読者として失態を繰り返した暗部も重なり、
心が弱っているなぁと、自覚があるところに、
許容量オーバーの雑務に追われる日々。
それに加え、他にも近い周囲で不幸が重なり、
もうなぜ、どうして、と
心が潰される気分にもなりました。
正直、1日でもいいから何もかにも放棄して、
逃げたしたいと思ったことも…。
表ブログではあからさまに自分のネガティブな状況を
つらつらするワケにもいかないので、
出来るだけ、いつも通りでの発信をと思っていましたが、
記事を作るスイッチもオンに出来ず、時間もとれずで、
溜め込んだものを
やっとGW明けにまとめて片付けと、
ネットに費やす時間もやや心に重たく感じることもありました。
しかし、立夏を過ぎてやっと、
その後ろ向きな反応も小さくなった気がします。
とにかく今は、前を向かなければと、
足を進めているところです。
初夏を迎え、生き物たちの賑わいも増してきました。
この気温の上昇に気分を乗せて行ければと思います。
今後、やや慌ただしくなるので、
また目次の放置がでてくるかもしれませんが、
5月分は自動更新で設定していますので、
またお気軽にお立ち寄り頂ければと存じます。
半ば愚痴状態で失礼致しました〜。
[2013.05.13]

19-08 Palco

第19部 Shopping

奥多摩湖畔から10日目


(8) Palco ********************************************************3198文字くらい



食器を洗い、シーツを吹き抜けに干して、窓を閉め、

買い物メモを確認し、ベッドのサイズをとりあえず計測して、

ようやくアパートを出られたのは、午後2時前。

先に、新宿駅に寄ってから、依頼の有無を確認。

今日も、毎度ながらXの一文字も見当たらず。

ロータリーで待つ撩のところへ、急いで戻る香。



「お待たせっ。何もなかったわ。」

香は、バタンと助手席のドアを閉めながら報告する。

「ほいよ。じゃ、行くか。」

「どこに行くの?」

近場ではなく、遠出の買い物。

具体的な場所は絞られていない。

「あー、決めてない。」

そう言いながら、撩はアクセルを踏む。

赤い車は、そのまま新宿通りに入り、ガード下くぐり、

中央公園方面に向かう。



「……区内からは出たほうがいいな。」

「え?」

「23区外に行くか。」



西新宿インターに入り、中央自動車道に乗ったクーパーは、

そのまま西へ走った。

奥多摩からの帰り道以来の道で、香はワケもなくどきりとした。

この先、23区外となると、世田谷区に隣接している調布が一番近い。

買い物の距離としてはなんとか許容範囲。



「ね、ねぇ、撩。」

「あん?」

「あ、あのね、調布のパルコに行かない?

確か2年くらい前に駅前に新しくできたばかりで、品揃えもいいらしいし。」

渋谷のパルコは時折ショッピングに出かけていたが、

馴染みのある名称で、距離や、買い物の内容から、

手持ち情報を撩に伝えてみる。



「んー、おまぁ、そこでいいのか?」

「それ以上遠くに行くと、ほんと郊外になっちゃうわよ。」

「んじゃ、調布でおりっか。」

具体的な行き先を絞っていなかった撩も、特に問題はないだろうと、

提案に賛成する。

高速ならば、さほど時間はかからず約20キロ強の道のりをスムーズに進む。



調布インターを降りて国道20号に入ると、すぐに駅前。

お互い初めて来る場所ではあったが、目的地はすぐに分かった。



「駐車場は、立体に行けってか?」

徐行しながら、パルコに近付きパーキングの案内を探す撩。

コースを見つけて、素早く駐車場に停車した。



「どこから見るんだ?」

「あ、え、えーとね、食料品は後にして、

さ、先に服とか靴とかストップウォッチとか探したいんだけど。」

「りょーかい。」



車を降りて、建物に向かう。

いつもとは、違う場所での撩と一緒の買い物、

ただ、それだけなのに香は初めてのデートのような気分で、

余裕なくドキドキとしていた。



絵梨子と再会した時の原宿も、

かなりムリを言ってのショッピング、

お互い、喧嘩腰のイラツキを露わにしながらの買い物に、

結局は一緒に来るべきではなかったかと、がっくりと肩を落とした。



今は、違う。



背の高い撩の隣を歩くだけで、胸がきゅんとつままれる。

嬉しいけど、どこかぎくしゃくして、

顔が熱くなる。



(これは、ただの買い物、買い出し!

なに、あたし一人で舞い上がってんのかしらっ。)



そう言い聞かせて、店内に入る。

広く明るいフロアーに、眩しくて目が細まった。

「出来てそうたってないから、まだ新しさがあるわねー。」

周りが写り込んでいる床に目を落とす香。

「えーと、案内看板かなにかあるかしら?」

軽く見回すと、エレベーターの脇に各階の店舗が大きく掲示されている。



8-10F ホテル
7F レストラン
6F ファミリー、リビング、アウトドア
5F カルチャー、スポーツ
4F メンズスタイル
3F レディース
2F レディース
1F レディース
B1 パルコフードマーケット



「……へぇー、ホテルも一緒にあるんだ。

うーん、上から順に片付けて、最後に食料品かしら。

撩、6階から行こ。」

「あいよ。」

そう言いながらぽちっと階上に向かうボタンを押す撩。

脳は、カオリンといつかホテル行きモードでピンクに塗られる。



わずかな待ち時間でエレベータが到着し、静かに入り口がスライドする。

乗り込むと香は6の数字を押した。

撩の距離が近い。

真後ろに立っている。

クーパー以外の密室の狭い空間に、

また香は一人どぎまぎして、肩幅がくっと狭まってしまう。

撩は、ちらっとエレベーターの天井を見る。

隅に監視カメラ。

いたずらをするには、時間も短すぎるし、他人の目もあるかと、

邪な思考をとりあえず保留にする。



「さ、さてと、ここではシーツとバスタオルね。」

フロアに着くと、香はカートを引き寄せ、買い物メモを見直した。

「撩、あんたどうする?その辺で待ってる?それとも一緒にまわる?」

「あー?行くよ。離れると合流めんどいし。」

一緒に歩く気まんまんだったので、

別行動の提案にちょっとだけチクリとくる。

それが、香の付きあわせ過ぎると申し訳ないという思いが含まれているもの承知しているが、

気分は、許される限りそばにひっついていたいのが本音。

そんなことを短い時間のうちに思い巡らせながら、

香の触り心地のいい肩を押す。

「ほれ、行くぞ。」

先に見つけた寝具コーナーに誘導する。





「ど、どうしよう。こんなに種類がある…。」

ずらりと商品が並んだ棚にたじろぐ香。

おしゃれな柄に、材質も様々。

「いや、思ったより選択肢は少ないぜ。」

「え?」



撩の大きいベッドは、キングサイズと思っていたら、

計測すると、クイーンのロングサイズに近いことが分かった。

端にゴムを引っ掛けるタイプのものは、それに合うサイズが思いの外少ないと、

香は商品を手にとりながら、撩の言葉に納得した。



「はぁ…、あんたなんであんなややこしいいサイズのベッドなのよっ。」

「あーん?俺の体だと長さが2メートル以上ないと狭くて寝れんだろ。」

アパートに住み始めた初期から、教授経由で今の場所に鎮座しているベッド。

そろそろスプリングもヘタれてきた感もある。

「なんならキングのロングにでも買い換えっか?」

キングベッドのロングは194cm×205cm、シングルベッドのロングを2つ並べたサイズ。



「それなら多少暴れてもベッドから落ちる心配はなくな」

スコーンと顎に当たったのは1トンハンマー。

「あ、暴れるって何よっ!全くもぉっ!

さっさと選ぶわよっ。他にもまだ買うものあるんだから!」

撩のセリフの意味するところが分かってしまった香は

頬を染めて、商品に向き直る。



これからの季節用に起毛のタイプ2枚と、乾きやすい普通のシーツを2枚と

計4品選び出す。

(ま、まるで新婚カップルが、新居に引っ越す前の備品調達みたいだわ…。)

勝手に想像を巡らせた香はまた一人体温を高めてしまう。



「りょ、撩、もうこれでいいわよね!」

カートのカゴにシーツを重ねて入れて確認をしようとするが、

近くに相方がいない。

「あ、あれ?」

視野を広げると、少し離れた売り場で何かを眺めているところを発見。

カートを押してそばに行く香。

「な、なに?他に買わなきゃいけないものある?」



寝具コーナーに隣り合った家具電化製品コーナーで、

小型冷蔵庫に視線を落としている撩。

「こいつも、いずれ必要なんじゃないか?」

「はぁ?な、なんで?」

「喉乾くだろ?いちいち下に降りるのメンドーだしぃ。」

「????。」



この男は、一体なんのことを言っているのかと、目をパチクリさせる香。

しばし考えて、

撩の部屋に冷蔵庫←喉が乾く←いつ乾く←あの後、と逆算がようやく終了。

またボボボっと赤くなる。



「も、もうっ!外で、な、なんてこと言うのよっ!」

「あ?余計なことはなーんも言ってないぜ?

カオリンなんか想像しちゃった?」

にやりと意地悪そうに問う撩。

「ばっ、バカっ!」



ぷいっとそっぽを向くと、そのままスタスタとカートを押して、

撩から離れる香。

ただでさえも、ドキドキしている買い物なのに、

あっけらかんと『アノ』ことに触れてくる撩にどう切り返したらいいのやら、

できるだけ今は思い出さないようにしている努力が簡単に崩されていく。



「つ、次はバスタオルだからっ。」

「あいよ。」

耳まで赤くなっている香の後ろを、

ポケットに手を突っ込んだ撩は、ひょこひょこと追いながら

楽しそうにその小さな背中を眺めていた。


***************************************
(9)へつづく。





調布は親戚がいたり、昔父が単身赴任で住んでいたり、
友人知人も多い地域で、
何かとゆかりのある場所なんですが、
実は、ここも中には入ったことがないのですよ…。
というワケで、実在する店舗ではございますが、
中の様子は適当ですのでご了承下さいませ〜。
エレベーターのカメラもあるかないか知らないまんま、
案内掲示板もどこにあるかさっぱりです〜。
テリトリー内の方、ごめんなさい。

【Sさん感謝!】
誤植発見ありがとうございます!
ベッドの数値変更しました。
どんな巨人が寝るよ…と、
自分で吹き出しました。
ご連絡改めて感謝ですぅ。
[2013.12.11.08:18&12.15.03:28]

19-07 Okonomiyaki

第19部  Shopping

奥多摩湖畔から10日目  


(7)Okonomiyaki  **********************************************5020文字くらい



テーブルの上には、

余熱で少し温めているホットプレートとナタネ油にターナー。

調理台の上には、ステンレスのボールに、

豚肉の切り落とし、千切りキャベツ、イカのぶつ切り、卵、だし汁、薄力粉、

あげ玉、干しえび、青ネギが混ぜ込まれている。

傍らには、削り節と青のりとお好みソースがその出番を待つ。



「撩、いつ戻ってくるかな…。」



エプロンで濡れた手を拭きながら、食材を確認する香。

どこに行くのか、はっきり言わないままに外に出かけていった男が、

リビングから出ていく時、妙にひっかかる言い回しをした。

いつもなら

『ボクちゃん、ナンパに行ってきま〜す』

と言って出てくタイミングであった。

しかし、あの時、撩は外に出るとだけしか告げなかった。



「何しにいったのかしら?

まぁ、ツケさえ増やさなきゃ、

この際、ナンパでもなんでもいいんだけけど、ね…。」



複雑な思いは残るも、

ナンパをしない撩というのも、撩らしくないので、

かえって具合でも悪いんじゃないかと疑ってしまいたくなる。

それでいて、関係が変わった今、

ナンパ現場を目の当たりにしたら、

平静でいられるかハッキリ言って自信はない。



「いつも通りハンマー出しちゃってもいいの、か、な?」

香は腕組をしてうーんと首をかしげる。



— いくらでも受けてやる —



確かに撩はそう言っていたし、エロイカのオネエサンたちも、

好き好んでハンマーを出させていると証言していた。



「わ、わざ、と…?」



香はますます首をかしげる。

「うーん、………ま、いっか。」

心理的な小細工は苦手というより、

むしろ出来ないことは自分でも、よぉーく分かっている。

こういう場面はこうしたほうがいいとか考えても無駄であることも

分かっている。

ならば、今こうして悩むのも無駄である。



「さてと、お湯でも沸かしておこうかな。」



ガスレンジに向き直ったとたんに、

玄関から、ガチャガチャ、バタンと物音が聞こえた。

「おーい、帰ったぞぉー。」

相方の声に、ナイスタイミングと、

香はホットプレートの温度調節のメモリを高温にした。

パタパタとスリッパの音をたててキッチンに近付く気配。



「香ぃ〜、メシぃ〜。」



ちゃっと扉が開いたと同時に空腹を訴える撩。

「おかえりー、今から焼くからちょっと待ってて。」

「おっ、お好み焼きかぁ?」

「うん、タネはいっぱいあるからたっぷり食べられるわよ。」

ボールの中の具を、さらに軽くゴムベラで混ぜ合わせ、

投入のタイミングを図る香。

プレートの上に手をかざして温度を確かめる。



「どこ行ってたの?」



とりあえず気になっていたことを聞いてみる。

ガタリと白木の長椅子に座る撩。

「んー、エロイカに文句言ってきた。」

香は、ボタッと、持っていたナタネ油のボトルを床に落としてしまう。

「へ?…は?、…な、な、なんで?」

ぎくしゃくしながら、ボトルを拾う香。

ついさっき、昨夜のエロイカでの会話を思い出していたばかり。



「む、むしろ、も、文句言われるのウチのほうでしょ?

ろ、6ヶ月分も未払いだったんだからっ。」

「あー、おまぁ、ツケの支払いに一人で行くのトーブン禁止な。」

「はぁ?」

「あと服装にも気ぃつけろ。」

「ええ?」

「……見られて困るのはおまぁーだろうがっ。」



ぷいっとそっぽを向いて、少し頬を赤める撩に香は、目を見開く。

撩の代わりに、ホットプレートが白い湯気を出し始めた。

「あ!いけないっ。」



香は、少しパワーを落とすと、油をプレートに広げた。

十分温まった鉄板に油の温度もすぐに上がる。

香は、具をざっと流し入れ、ヘラで円形に整える。

やや厚めで大型に仕上げるイメージで素早く手を動かす。

「こ、これでよしっ、と。」

パカッと蓋を落として、しばしの待機。

その間に、キウイフルーツを剥くために、またシンクに立つ香。

後ろ向きのまま、包丁を動かしながら、さっきの会話の続きを試みてみる。



「み、見られて、こ、こ、困るって、い」

一体なんのこと?と、なんとなく分かっている答えをあえて聞いてみたが、

途中で撩のセリフが重なった。



「覗かれたんだろ?エロイカの連中に。」



何をと言わないが、目的語はあのことだとポンと浮かぶ。

ママがしゃべったんだ、とすぐに理解できた。

昨夜のあの時のやりとりがまた鮮明に蘇る。

鎖骨の少し下に残っているキスマーク。

思えばそれがきっかけで、機関銃トークの集中砲火を浴びたのだ。

包丁を持つ香の手が止まる。



「……ぅ、ぅん。」



小さく答える香。

背の高いオネエさんばかりだったとはいえ、

確かに自分の不注意で見つかってしまった。



「今晩でもまぁーた話しが一人歩きして、情報拡散だな。」



溜息と一緒に吐き出されたセリフに、

香は撩に嫌な思いをさせてしまったと思い込む。

キウイフルーツを尖端から花柄がついていた方に向かって

ゆっくりと花びらを作るように縦に剥きながら答えた。



「……ご、ごめん。

あ、あたしもまさか見られるとは、思ってなかったから…。」

もとは自分の作ったトラブルの素材に、謝罪する言葉が撩の胸につきりとくる。

「あー、別に謝るこたぁねぇよ。」

「だ、だって撩、お店でなんか言われたんでしょ?」

撩に背を向けたまま、そう返す香は、

キウイのへその部分をつまんでくるりと回し、

硬い芯の部分を取り外した。



「まぁなー、だから文句言ってきた。調子に乗るなって、な。」

頬杖をついて目を閉じてる撩。

口はへの字のまま。



「ねぇ、……りょ、撩は、そ、その嫌じゃないの?

あたしと、…あの、こ、こ、こうなったって、みんなに知れ渡るのって、

い、いろいろ不都合、なんじゃ、ないの?」

香は、剥かれた3つのキウイを乱切りにカットしながら、

前にも聞いてみたことを繰り返し呟いた。

耳に届いたのは、また長い溜息。



とたんに後ろから太い腕にぐいっと抱きしめられる。

「ひあっ!」

香の心臓がバクバクと暴れ出した。

ま、またか!と包丁を持っている手が止まる。



「……隠すつもりはないぜ。」



声と共に右耳の裏に息があたり、肩がびくりと上がる。

「うひゃっ。」

「むしろ、俺のもんだと札でも貼っておきたいところだが…、

余計なことしちまうと、

ますますからかわれるネタになるだろーが。」

首筋に撩の唇が当たる。

「今はまだ、他の連中が必要以上に盛り上がっているみてーだから、

とりあえず工夫が必要だっちゅーこと。」

上唇と下唇と舌先の3つの接点が、

3本のラインを描くように香のうなじに熱を残していく。



「ひぁっ…、ちょっ…りょっ、…まっ。」



もはや、まともな日本語が出てこない。

恥ずかしくて目も開けられない。

いたずらを仕掛けるように触れてくる撩に翻弄されつつ、

今しがた撩が言った言葉が、頭の中でエコーする。



(オレノモン?俺の紋?、問?、門?)



「だ、か、ら、ネタ提供になるような服を着て外に出るんじゃねぇーぞ。」

耳朶を口の中で転がしながら、そう低い声で念を押す撩。

つまりは、首周りが見えるような上着を着るなということだと、

のぼせつつある頭で飲み込んだ香。

確かに、モノを見られると自分が一番困るのだ。

その前に、

見られて困るものを付け過ぎている相方にも

多少なりの責任があるのではと思いつつも、

今は、抗議する言葉は引っ込めておくことにする。



「あ…ん、……わ、分かった、から、…ちょ、…い、今は、や、やめ…。」



抱き込まれて、

耳に触れられているだけなのに足腰の力が抜けそうになる。

包丁は握りしめたまま。

まだ信じられない。

この男が、自分にこんなことをしていることが。

いずれにしても調理中のこーゆーのは色々と困るのだ。

持っているコレを振り落とすワケにはいかないので、

ハンマーでも出してやろうかと一瞬よぎった時、

二人の鼻に同時に焼き過ぎ直前の香りが漂ってくる。



「……タイムオーバー、ひっくり返さねぇーと。」



するりと撩が自分から離れるのを感じて、はぁぁーと脱力する香。

目を開けて、後ろを振り向くと、

すでに撩がターナーでお好み焼きをひっくり返していた。

カパンと蓋を閉じる音がする。

香は、向き直り茹で蛸状態で切っていたキウイを軽く洗い、

白い器に移してテーブルに運んだ。



「じゃ、じゃあ、か、買い物の時に、服も何着か買いたいんだけど…。」

椅子に座り直した撩は、また頬杖をついてちょっと不機嫌な顔をしている。

「りょーかい。」



今までなら、

まず買い物に素直に一緒に行くこと自体が殆どなっかったにも関わらず、

『あれ』から何度となく、2人でスーパーに買い出しに行き、

今も速攻で承知の返事が来ることに、

香は何か足りないと思ってしまう。



『あーん?めんどくせぇなあ、そんなの一人で行ってこいよぉ』



と、あからさまに嫌がるのが普通だったのにと、

こうした一つ一つの変化に、まだまだ気分がついていかない。

そんなことを思いながら、大きめの平皿を用意する。

さっきフルーツを切るのに使っていた包丁も軽く洗って、

お好み焼きを切り分けるために、皿のそばに添えることにする。

先ほど、沸かし損なったヤカンにも火を付けた。



「そろそろいいんじゃないか?」



撩が声をかける。

両面がいい具合で焼き上がった頃合い。

香はフタを開けると白い湯気と共に、干しエビの持つ独特の香りが立ち上る。

二つのフライ返しでその円盤を掬いあげると、

よっと声を出しながら、大皿に引越しさせる。

すぐに次の油をひき、それが温まる間に青のりと削り節をまんべんなく振り掛け、

お好みソースとマヨネーズを細く格子状に引いていく。



ホットプレートからは、熱せられた油の香りが漂い、

香は切り分ける前に、第2弾のタネを流し入れて、蓋をする。

「じゃ、じゃあ、切っちゃうね。」

仕上がった第1弾のお好み焼きに早速一刀を入れた。

実は、これがまた包丁がよく汚れてしまうので、

できたら、ソースやら青のりやらは、カットしてからふりかけたいどころではあるが、

分かっていても、また順番を変えるのを忘れてしまった。

ちょっとだけ細い眉が八の字になる。



香は、6等分にして、自分のは2枚分を別皿に取り、

残りは大皿のまま撩の前に配膳する。

「は、はい、どーぞ。」

「あいよ。いったらきまーす。」

撩は、はふはふと早々に口の中にお好み焼きを頬張る。

そこにヤカンが鳴り始める。

少なめの水しか入れていなかったので、すぐに沸いてくれた。



「お茶かほうじ茶でいい?」

火を止めながら、相方に尋ねる香。

「あー、まかせるわ。」

粉物の料理には、コーヒーよりもお茶系を用意したくなる。

食器棚から急須と湯呑みを出して、緑茶を選んだ。

出番が少ないので、保存にはより気を使い、

ちゃんと密閉容器で乾燥剤入りを使っている。



教授のところで、何回かいれたものの、

このアパートではコーヒーが主流。

撩のところに来る前は、圧倒的にお茶の生活だったことを思い出す。

今日のメニューも、中学高校時代に兄と一緒に時折作っていた家庭料理。

香は、緑茶を湯呑みに注ぎながら、ふっと表情が緩んだ。

視界の端で、撩もそれに気付く。



「はい、熱いから気をつけて。」

「あいよ。」

撩の皿はすでにカラに近い。

次の焼き上がりまで、しばしの休憩タイム。




「……なんか、アニキも一緒に居るみたい。」

香は、自分の分を口に運びながら、開いている隣の席に視線を落とす。

「あ?」

箸でつまみあげたものを見ながら続ける香。

「これ、アニキと一緒にたまに作ってたの。」

「槇ちゃん仕込みか?」

「んー、本当は、焼きそばが入っている方がいいとか、卵は先に薄く焼くんだとか、

色々好みがあったみたいだけど、家だと別々に焼くの面倒で、

全部混ぜこぜにしても、それなりに美味しいから、

結局これが定番になっちゃったけどね。」

パクっと懐かしそうに頬張る姿に、撩も唇が緩む。

「なるほどね。」



『お、結構いけるなぁ。』



陰膳があるわけではないのに、

香の隣で、そう言いながら味わう元相棒の残像が、

二人の心に映し出される。



撩は、片手でずずっと緑茶を啜(すす)る。

「さっさと食っちまって、さっさと出ちまおう。

どうせ食い物も買い足さなきゃなんねぇーんだろ?」

「あ、うん。でも、あと2枚は焼けるよ。

あんた、大食いだからこれでも足りないんじゃない?」

「食える時に食えりゃーいいのっ。ほれ、次のひっくり返すぞ。」

「あ、お願い。」

もぐもぐと口を動かしながら、

撩との食卓に10代の頃の思い出を、香はそっと重ねる。



結局その後、計4枚の大きなお好み焼きを二人で平らげ、

食後の眠気を伴いつつ、台所を片付け、

バタバタとアパートを出る準備に入った。


*************************
(8)へつづく。





10日目ですからね、まだ日は浅いということで、
とにかくべたつくチャンスがあったら、
触っておこうとする撩ちん。
カオリン、混乱しまくりだろうなぁ〜。

19-06 A Complaint

第19部 Shopping

奥多摩湖畔から10日目


(6)A Complaint *************************************************** 2295文字くらい




店の勝手口のドアが乱暴に開く。



「あら!撩ちゃん!」

裏方で、

片付けと帳簿をつけていたエロイカのママが立ち上がった。

午前中のこの時間の登場は

異例中の異例ではあるが、

さほど驚かず、

訪問はさも当然という表情で出迎える。




「『あら』じゃねえっ!」




入ってきた種馬は苛立ちを誇張して口に出す。

他の店員やバイトは既に帰宅済み。

また夕方の再集結時間までそれぞれフリータイム。



「昨日は、香が世話になったようだな…。」

「まぁまぁ、撩ちゃん、そんなに怒らないでよっ♡」

作業中の手を止めて、

大きなママは

撩をそのまま店のカウンターに促した。

触られる腕を、

さも嫌そうに振り払い、

心底機嫌が悪いと言わんばかりに、

どかりとスツールに腰を下ろす。



「何か飲んでく?」

「うんにゃ、忠告だけしに来た。」

頬杖をついて、眉にシワを寄せ、目を閉じている姿は

オーラで『余計なこと喋りやがってぇ』を発している。

そんな撩の様相を見ながら、

ママは物怖じもせずにカウンター越しにくすりと笑った。



「ムリよ。」

「ああ?何がだよ?」

「撩ちゃんが、いくら口止めしようとしても、たぶんムリよ。」

「はぁ?」

ママは、ふっと息を吐き出す。



「これまでさぁ、

香ちゃんには絶対言っちゃだめ、っていう暗黙の掟があったのよねぇ。

この店だけじゃなくて、

香ちゃんと撩ちゃんのことを知っている

みーんなの約束みたいなものがねぇ。」

「は?」

「あなたたちが、曖昧な関係のうちに、

もし香ちゃんが、

知っちゃったてら困ることが、

い~っぱいあるでしょぉ〜。」

意味深な口調で体を斜めにしながら

じりっとにじり寄ってくるママ。



「それを今まで、言わずにおいただけよ。」

「ぐっ。」

「……ケジメを、つけたんでしょぉ?」

撩の鼻先にママの鼻がつきそうなくらい顔面が接近する。

否が応でものけぞりたくなる。

「そ、そんなに近付くなっちゅーのっ!」

「だったら、何を聞いても大丈夫よ。彼女は。」

すっと身を引く筋肉質の巨体が柔らかい笑顔になった。

その余裕さにむっとする撩。

「だ、大丈夫じゃなかったんだよっ!

おめぇらどこまで喋ったんだよっ、全くっ!」

「あーら、昔撩ちゃんがモテモテだったって、

言っちゃダメだったかしらぁ?」

「む、昔って、俺は今でもモテモテなのっ!

他にも余計なこと喋りやがっただろっ。」

「あら?撩ちゃんがおうちで、

ちゃあーんとフォローしてあげたんでしょ?

それでなくても、

香ちゃんは勘がいいところもあるから、

あたしたちが言わなくても、

とっくに気づいていた部分は沢山あったと思うけどねぇ〜。」

一見矛盾した物言いだが、

間違いではないことがお互い分かっている。

がしがしと頭を掻く撩。



「だ、だがなぁ!」



続きを言おうとして、

ママの手の平が撩の顔の正面にビシっと止まる。



「全ては、香ちゃんのため。」



撩の動きがふと止まった。

「悪い結果になるようなことは、うちの店のコは漏らさないわよ。」

にっと口元を細い三日月型にする。

「まぁ、撩ちゃんがきちんと対処することが前提だけどねぇ〜。」

両腕をカウンターについて身を乗り出すママは、

昨夜撩と香がどんなやりとりをしたか、

聞きたくて聞きたくてしょうがない。

「んふっ♡さらに絆が深まったんじゃなぁ〜い?」

「けっ、余計なお世話だ…。」

唇を尖らせた男は腕組をして、

スツールを90度滑らせ、体の向きを変える。





「……あいつには、まだ、刺激が強すぎるだろうが…。」





これまで、この街の連中の気遣いで、

撩の闇の部分は、

香に知られないように手回しがされてきた。

その無言の協定が、無効になったという宣言に、

撩は心の中で頭を抱えた。



「心配することないわ。

みんなあなたたちの味方よ。

下手なことしたらどうなるかぐらい、

承知しているんだから。」

「もう十分、下手なことをされてんだがな…。」

「じゃあ、しばらくは、

香ちゃんをこんなところに一人歩きさせないことね。

あたしたちも、昨日は驚いちゃって嬉しさのあまりに、

あのコたちもちょっと箍がはずれちゃったのよ。」



「はぁぁぁ…、調子に乗るなよぉ…。」

長い溜息をつく撩。

「きっと報酬が入ったから、

少しでも早く撩ちゃんのツケを支払いたかったんでしょ?」

「んだよ、自業自得とでも言いたいのか?」

「そのとぉ〜り。」

ウィンクで返すママは、

未だ流れの主導権を握っている。



至極面白くない撩。

「とにかく!俺がいないところで、

あいつに昔のことをくっちゃべるなっ!」

「約束は、出来ないわね…。」

「ああ?!」

「心配なら、彼女に発信機だけじゃなく、

盗聴器も常に付けさせておくことね。」

ニンマリと笑顔で返すママは、

その太い腕を組んで撩を見下げた。




「……香ちゃんの左の鎖骨の下、見せてもらっちゃったわよっ。」

「っ!!」

「もっと見えないトコロに付けるべきよねぇ〜。

うちのコたち大喜びしてたわよぉ〜。」



撩は香の昨日の服装を瞬時に思い返す。

ジャケットに、厚手のシャツだったが、

背の高い視線から見下ろせば、もしくは香が屈んだりすれば、

ぎりぎり見えてしまう襟の開き方だったはず。

思わず右手で両目を押さえた。

一気にその ” 喜ぶ店のコたち ” の様子が映像化される。





「あのバカ…。」





「バカは撩ちゃんでしょぉ〜。」

「へいへい、そのとぉーりでやんす……。

ボクちゃん……、もう帰るわ……。」

がっくり肩を落として席を立つ。

「そのうち、二人でいらっしゃい!」

「アホ抜かせ、来れるかっつーのっ!

とにかく香に余計なこと言うんじゃんぇーぞっ!」

「ふふ、とりあえず心にとめておくわ!じゃあね!」

明るく見送るママ。

撩は、店の表の出入り口から、

背中を丸めてカランとカウベルを鳴らして出ていった。





「あんなこと言いながら、たぶんそのうち連れてくるわね。」




確信した未来を口に出したママは

笑顔で裏方に戻っていった。


*************************************
(7)につづく。





とりあえず苦情を訴えた撩ちんでした。



【思い立ってちょこっと改稿しました/2016.07.25.火.21:52】

リンク記事追記のお知らせ

新年度になってから、
追記のお知らせはこれで6件目、
本当に有り難い限りです。

下記のサイト様をリンクノートでご紹介させて頂いております。
こちらではアドレスを繋げておりませんので、
「 CITY HUNTER LINK NOTE 1 」の「か行」よりお入り下さいませ〜。


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❏ 049 小谷野 めぐみ さん    
    糖蜜団
    2013.03.29.〜 / テキスト
    [見たい未来を見せてもらえる気分です。サブキャラ&オリキャラの効果も絶大。]

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これまでの方も、
つながりを頂き本当にありがとうございます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

以上、リンク追記のお知らせでした。


19-05 A Daily Task

第19部 Shopping 

奥多摩湖畔から10日目


(5)A Daily Task   ******************************************************1304文字くらい



香は回る洗濯機の前で、

顎に指を添えてしばし思案中。



洗濯物は、午後外出の予定が入り、しかも遠方になる計画になったため、

夕方まで帰宅できる保証はなし。

今日は、脱水が終わったら乾燥機を使わなければならない。

衣類はいいが、シーツまでは間に合わない。



「どこに干そう…。」



ちょっと考えた香は、ピンと思い当たって

7階の廊下に目をつけた。

パタパタと吹き抜けに向かい、階上を見上げる。

書籍が並ぶ壁面に並走して、渡り廊下風に通路が続くそこには、

うってつけの柵がある。



「あ、いけるわ。ここで干そう!」



外に干せない時に、大物をどうするか問題がひとつ解決する。

そもそもこれまで、こんなに切羽詰まる程に

寝具を洗うことなどなかったのだ。

大概ベランダで事足りていたものから、

発生した室内干し兼大物物件の問題に、

自分でもナイスアイディアと褒めたくなった。



そうと決まれば、早く次のことを進めなければと、

香は、自室に戻りトレーニングウェアに着替え、

スリッパから室内用の運動靴に履き替えた。



「運動用のウェアも買い足さなきゃダメかしら?これ1組しかないし…。」



折しも報酬がたっぷり入った後、

被服費をケチらなくてもいい財布事情に、

買い物メモに記入する項目を頭の中で増やす香。

ふと思い立って、絵梨子にあることをお願いしてみようかと、

ちょっとしたアイディアが浮かぶ。

しかし、それはまだ先の話し。

着替え終わった香は、今しがた思いついた案をいつもの手帳にさらさらと書きとめ、

ぱたんとページを閉じた。



「さ、さっさと終わらせよ。」



一区切りしたら、今度は縄跳びタイム。

撩の課した基本トレーニング。

1分間に60回の5分を2セット。

吹き抜けで、休憩を含めて15分で済ませる。

最初の時も感じたが、思いの外しっかりとした運動になる。




「はぁ、は…、はぁ」

肩が上下する。

香は、前かがみになって、両手を膝頭に当てた。

「あ!マスク付けてするんだった。」

終わった後に気づくも、また次からでいいかと、素直に諦める。



やや汗をかいたが、脱衣所で着替えて、

温かい濡れタオルで体を拭くだけにする。

1日にそう何度もシャワーを使うと光熱費に響く。

客間に戻り、買い物メモの準備。

それを持ってキッチンに行く。

「うーん、結構買い足さなきゃいけないものがあるわね。」



お米もあっという間に10キロがなくなる。

それに4日前に比較的大量に食材やら生活消耗品やらを購入していたが、

生鮮物はそろそろ在庫切れ。

冷蔵庫の中身を確認しながら、テーブルでメモを整える。

間もなく、ピーピーピーと電子音が響き、

洗濯機の第1弾が終了した合図が聞こえる。



「さ、次はシーツね。」



香は、隣の脱衣所に向かい、仕上がった洗濯物を乾燥機に移し、

カラになった洗濯槽にシーツを詰め込んだ。

「はぁ…、ほぼ毎日シーツや毛布を洗わなきゃならないなんて、

考えてもみなかったわ…。」

その原因を思い巡らせたとたんに、全身が赤くなる。

「っもう!」

洗剤と柔軟剤を入れ、ピッとスタートボタンを押す。



「じゃあ、次はキャベツ切らなきゃ…。」

休む間もなく香はキッチンへと戻った。


***********************************
(6)につづく。




短いですが、家事で忙しい香ちゃん、
苦し紛れに室内干しの場所を確保。
本のそばに、湿り気もの置いてもいいの?
という突っ込みはなしということで〜。

19-04 Relax Time ?

第19部 Shopping 

奥多摩湖畔から10日目


(4)Relax Time?   ****************************************************2339文字くらい



なんとか朝食を食べ終わった香は、

洗い物まで片付けて、昼食の下ごしらえをする。



「簡単に済ませられるほうがいいわよね。」

香はホットプレートを戸棚の下段から引っ張り出し、

軽く洗ってテーブルの上にセットした。



「えーと、薄力粉もあるし、卵もあるし、青のりもある。うん、大丈夫ね。」

必要な食材の在庫を確認してから、

豚肉の切り落としを解凍すべく、冷凍庫から選び出し常温放置とする。



「キャベツは後から切ればいっか。」

そう呟いたところで、ヤカンが鳴った。

「あ、いけない。」

早く撩にコーヒーを入れてあげなければと、

ミルを大急ぎで挽き始める。



「どうしようかな、一緒に飲もうかな…。」

ちょっと迷って、コーヒーカップを2つ用意した。

この午前中、すべきことはたっぷりあるので、

買い物までの間にバタつきそうな未来は容易に想像がつく。

ただ5分でもいいから、リビングで落ち着きたい思いもあるので、

二人分用意して運ぶことにした。





「りょー、コーヒー入ったよー。」

ソファーの短辺サイドで新聞を読んでいる撩。

「あー、さんきゅ。」

テーブルに置かれたカップに、紙面から目を離さないまま手を伸ばす。

香も、長辺側に腰を下ろして、持ってきたトレーをガラステーブルの上に置き、

両手で自分のカップを包んで、つと口に運んだ。



「はぁ…。」



目を閉じて視覚を休ませる。

その代わり、耳が敏感になって、

いつもは気にしない撩がコーヒーをすする音や、

新聞のめくられる紙の音が、

明瞭に聞こえてくる。

目を閉じているのに、撩の動きが鮮明に脳で映像化され、

ちょっと恥ずかしくなり、

慌ててコーヒーを傾けた。



自分の分には、砂糖が入っているので、ほんのりとした糖分が

疲れを軽減させる。

しばらく瞼を下ろしたまま、ゆっくりと時間をかけてカップの中身を味わう香。

そろそろカラになりそうなところで、

隣からかしゃりと音がした。

撩がコーヒーカップをガラステーブルに置いた音だとすぐに分かったが、

香はそのまま目を開けることなく、

両手で持っていたほぼ飲み終えたカップを腿に下ろした。

ふぅーと一息出す。



「なぁーに、瞑想してんの?香ちゃん。」



唐突に真下から聞こえてきた撩の声に、

びくりと肩が上がり、目がパチっと開く。

離れて座っていると思っていた男は、

香の左隣りにぴたりと寄り添うように位置を変え、

自分の顔を下から覗き込んでいる。

彼女の目に飛び込んできたのは、素の撩のアップ。

スケベ顔でも、おふざけ顔でもないノーマルの表情に、

香の顔面は一気に朱に染まる。



「っうわ!」



ソファーに吸い付くように、のけぞってしまった香。

はずみで、持っていたカップが手からこぼれ落ちる。

「っと、おいおいちゃんと持ってろよぉ。」

床と接触する直前に撩の手がカップを受け止めた。



「だだだだって!あんたが、きゅ、急にっ!」



近づくからでしょ!と言い終わる前に、

3つの事が同時に発生した。

唇が重なり、

撩の右手は香の後ろ頭に滑りこみ、

左手はカップをテーブルに置き終わると素早く香の背中を引き寄せた。



「んんんっ。」



またの不意打ちのキスに、瞼は条件反射できゅっと閉じられる。

唇をついばまれるだけのライトな口づけ。



(急にこれってなんなのよぉー。)



とか考えているうちに、

撩は香を後ろから抱き込むスタイルになり、

そのまま引っ張られてソファーのコーナーへ移動させられる。



「わわわっ、ちょっ、ちょっと撩っ!」



なすがままに抱き寄せられた香は、

自分の髪に撩が顔を寄せているのを感じた。

腰まわりで撩の腕がクロスする。

鼻息が頭皮に当たり、くすぐったさに肩がきゅっと上がった。



「……買い物は、ちょっと遠出すんぞ。」



後ろから聞こえてきた声に、きょとんとする香。

「え?」

「近場でうろつくと、また余計な連中に会いそうだからな…。」

「はぁ?」

「おまぁ、この界隈の情報屋とかに、シーツ買い込むところ見られてもいいのか?」

「うっ。」

それは、駄目だと、赤い顔で首を横に振る。

このタイミングで、複数の寝具を購入することが、バレルところにバレたら、

また撩も自分も出先でからかわれるネタとなる。

香も容易に撩の提案を理解した。



撩はくすりと笑って、香を抱き直した。

「昼飯食ったら出るか。」

「あ、う、うん。そ、そうしよ。」

香は、撩の体温を感じながら、

午前中の残り時間ですべきことの優先順位をイメージしようにも、

照れで考えがあまりまとまらないので、

ひとまずここから離れることにする。



「じゃ、じゃあ撩、あ、あたし洗濯物片付けなきゃ。な、縄跳びもあるし。」

だから、離してちょーだい、と言いたいところだが、

撩がちょっとだけ腕に力を込めたので、どきりとして言葉が途切れた。




「……だな。じゃあ、駅は出かけるときに寄っていくかな。」




ふっと、拘束が緩み撩はすっと立ち上がった。

「んじゃ、ボクちゃん、ちょっくら出かけてくらぁ〜。

メシまでには戻るわ。」

ひょこひょこと、リビングを出ていく後ろ姿を

香はきょとんとしたまま、見送った。



「はぁ…。やっぱり、慣れない…。」



ばふっとソファーのコーナーに体重を預ける。

熱くなった顔を片手で覆い、その温度差に驚く。



5分だけでも、と思ったリラックスタイムは、

前半戦のみ実践できたが、

後半はドキドキタイムになってしまい、

気分が高ぶったまま、コーヒータイムは終了。



「や、やっぱり、1人分だけ出せばよかった、かしら?」



それでも、撩と触れ合える時間は、恥ずかしながらも、

嬉しさの割合も十分高いので、

正直なところ、家事を先送りして、もっと、と思ったのも事実。



「は、早く洗濯物しなきゃっ。」



ちょっとしたスキンシップの余韻に浸りながらも、

はっと我に返って、主婦モードに切り替える香は、

大急ぎで脱衣所へと向かった。


**********************************
(5)へつづく。






とにかくカオリンに触れておきたい撩ちん。

リンク記事追記のお知らせ

アニメ化から25年以上経っても、
こうして新規サイト様が、思いを発信して下さることに、
ファンの一人として、本当に有り難く思います。


くう様、ご連絡ありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。


「 CITY HUNTER LINK NOTE 1 」の「か行」に
下記の情報を追記致しました。
アドレスはつなげておりませんので、リンク記事よりお入り下さ〜い。


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❏ 044 くう さん    
    たたかえ!香ちゃん
    2013.03.04. 〜 / アニメ考察等
    [カオリン大好き視点でアニメに寄せる熱い語りがDVD BOX購買意欲を更にアップ!]

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本当に早くDVD BOX が欲しいです。
リンク記事を公開してから1ヶ月が過ぎましたが、
こうして新たなサイト様が加わっていくことは、
感涙ものでございます。
どうか逆のパターンの閉鎖のお知らせをしなくてもいいよう、
更新のスイッチがOFFになったサイト様も、
引き続き閲覧可能であって欲しいと切に願っております。


以上、リンク追記のお知らせでした〜。


19-03 Hash Browns

第19部 Shopping

奥多摩湖畔から10日目


(3)Hash Browns  *********************************************** 2987文字くらい



香は、短時間で朝のシャワーを済ませた後、

すぐに朝食の準備に取りかかっていた。



メニューは、ハッシュドポテトに、粗挽きウィンナーの粒マスタード添え、

たっぷりのブロッコリが混ざったマカロニサラダに、

マンゴーソースがまぶしいヨーグルト、

小鍋にはミネストローネが弱火で加熱中。



頭の中では、今日のスケジュールを思い描く。

(えーっと、午前中の家事をする前に、縄跳びのノルマをこなして…、

駐車場を軽く片付けて、地下の武器庫の在庫確認でしょ。

伝言板のチェックに、昼食作って。

それが終わったら、買い物行かなきゃ。

シーツも何枚か買い足さないと…。車じゃないと運べないわね。

あ!夕べのも洗わなきゃ!)



そこまで予定を組み立てて、一度鍋の火を止めると、

慌てて7階へシーツを取りに行く香。

撩はもぬけのカラ。

(あら?いつの間に?)

香がキッチンにいる間に、無音で廊下を通過した撩。

現在シャワー中。

香は、訝しがりながら、シーツを新しいものに取り変えようとした。

心当たりのあるシミがちらほら目に入る。

(は、恥ずかしいぃ〜。おねしょじゃないんだからぁっ!)

汗でしっとりしている寝具。

この季節、それが寝床をより一層ひんやりさせる。

(起毛のベッドマットのほうがいいかしら?

でも、高いし、洗濯の時乾きにくいし…。)

対策に色々と考えを巡らすも名案は浮かばない。



「うー、とりあえず脱衣所に運ばなきゃ!」



6階に降り廊下を進めば、浴室からシャワーの音がかすかに聞こえる。

香はそれだけでピキンと緊張してしまう。

そっと仕切りのカーテンを開け、

大急ぎで洗濯機に持って来たシーツを詰め込んだ。

(洗うのは後でいいわ…。)

ここに長居は、なんとなく危険だと、

すぐに、隣りのキッチンへ退散した。



「はぁ…。あたしってば、なに逃げ回ってんの?」



溜め息を一つ出してから、

とりあえず、一度止めたガスの火をつけ再び鍋を温める。

ざっとシンクのまわりを片付け、

取り皿とフォークを食器棚から取り出すと、

テーブルに向き直る香。



そこへ気配を消した撩の登場。

赤Tシャツ、いつものベルトにいつものズボン。

首にはタオル。

少し湿った黒髪の間から、優しい瞳が香の背中を捉える。

香は全く気付かずに、配膳をしながら戸に背を向けていた。



スキだらけのインパラを見つけたヒョウが、

抱き包みながら首元にぱくりと噛み付いた、ワケではないが、

気分は獲物を捕らえた捕食者そのもの。

「うっひゃあああ!」

フォークが音を立てて床で跳ねた。

香の右頬に、撩の髪がさわっと触れる。

犬歯がちくりと当たり、ぞわわと肩が縮むも、

その感触がすぐにねっとりとした舌と唇の動きに変わって、

太い腕からの熱と背中にぴったりと当てられた胸部と腹部の感触が、

一気に香の意識をぼやけさせる。



「……っりょ、……ぁ。」



香から熱い息がはぁと漏れる。

(だ、だめっ。撩のペースに、も、もって行かれちゃうっ。

だいたい、こいつは何考えてんのよっ!

毎回毎回、気配消して突然こんなことばかりっ。

今までここここんなこと、全くなかったのにっ。

ははは恥ずかしいいじゃないっ。)



「こっちの朝飯から食べちゃおっかなー。」



頸動脈の通るラインに唇を這わせながら、撩がそう言い終わった直後、

プラチナ製恥じらいハンマーが振り落とされる。

アパート全体が震度3で揺れ、天井から埃がパラパラと落ちた。



「はぁ…。」



柄(つか)を握りしめたまま、香は大きく溜め息をつく。

「……朝ご飯は、テーブルの上にあるでしょ…。」

本日3本目のハンマー。

いいかげん、このやりとりの繰り返しに、

香は、次は自分も不意打ちを含ませた仕返しをしたくなったが、

おそらく、なにを企てても躱(かわ)されそうなので、

仕返し作戦の思考はとりあえず引っ込めるとこにした。



耳を赤くしたまま、香はガスレンジに向い、

おたまで、温まっているミネストローネをスープカップになみなみと注(つ)いだ。

刻みパセリを散らして、食卓を整える。

落としたフォークも回収し、眉にシワを寄せながら洗い直す。

撩はまだ、床とキスをしたまま。



「あたし、先に食べちゃうわよ。頂きます。」

「ボクちゃんも食う。」

香の言葉と後半重なるように、撩の声が届く。

気付けば、もう対面に座っている。

「いっただっきまーす。」

ぶつりぶつりと、ソーセージ3本をフォークに刺して、

べろんと粒入りマスタードを絡ませて、あーんぐりと口をあける。

もごもごしながら、ハッシュドポテトももう口の傍で待機。

片手にはスープカップを持って、咀嚼の間にずずっとすする。



「っちょっと!落ちついて食べなさいよっ。」



いつもの食べ方とそう変わらないのだけど、

声をかけられずにはいられないガツガツ振り。

嬉しさと照れくささが混じり、それをごまかすように注意をしてしまう。

「あーん?いつものこったろ?おまぁも、食えよ。」



言われて気付く。

まだ自分は一口も進んでいなかった。

食べっぷりに見とれていたとバレたくはない。

方向を変えるために、

ブロッコリを口に入れながら話題を切り替える。



「あんたさぁ、……家事してる時にちょっかい出すのやめてもらえる?」

「あ?」

「ほ、包丁とか火とか使っている時だったら、あ、危ないじゃないっ。」

「俺がそんなヘマすると思うか?嫌なら、ちゃんと気配読んでみるこった。」

「ぐっ…。」

言い返せない香。

「……これも訓練だっていうの?」

「そ。」

「う〜。」

「躱(かわ)せなかったら、ボクちゃんに美味しく食べられちゃうのだっ。」

両手にマカロニとソーセージが刺さったフォークを持って、

にっと唇を三日月にして寄り目で笑う撩。

「うっ…。」



冗談が混じっていなさそうなモノ言いに、香の上半身がひくっと反る。

その間にぱくぱくと頬袋を膨らませていく相棒。

11日前までは、ありえなかった、こんな会話にこんなやりとり。

奥多摩でのハグとキスから、

こうも変わってしまうのだろうかと、まだ疑問の感が拭えない。



香は、かしゃりとソーサーにフォークを置いて、

ミネストローネの入った器を両手で包んで口にした。

「……はぁ。」

温かい、酸味と旨味のあるスープが食道から胃にゆっくりと落ちる。

温度を感じるのは、食道まで。

胃に入ったらその感覚が消える。



「……今日も、何かトレーニングするの?」

ほぼ食べ終わっている撩に尋ねる。

「あー、どーっすかな?」

「午後ね、買い物行きたいんだけど…。」

「ああ、シーツ買い足すんだろ?」

「!!!っ、なっ、なっ、なんでわかんのよっ。」

「そりゃ、あんだけ洗濯しなきゃならねぇーんだったら補充は必要じゃん?」

ぼしゅっと湯気がでる香。

「っだだだだれのせいよ!だれのっ!」

恥ずかしさで、顔を合わせられず、香もガツガツと食事を進める。

「まっ、連帯責任だわな。」

さらっと言う撩。

ピキンと固まり、更に赤さを増す香。



「あー、くったくった。リビングにいっからコーヒー頼むわ。」

爪楊枝でシーシーと歯間を掃除しながら、

撩は何事もなかったかのようにキッチンを出て行った。



香は、絶句したままぷしゅぅーとテーブルに突っ伏せる。

慣れない。

撩とこんな会話をしていること自体が、まだ信じられない。

他の恋人同士とか、新婚さんとかもこんな感じなのかしら?と

思いを巡らすも、リアルな参考情報は持ち合わせていない。

しいて言えば、身近にいるカップリングは、

キャッツの夫婦に、ミックとかずえくらい。

しかし、こんなことを尋ねる訳にもいかず、

安易に外に出せない悩みがしわりと膨らむ。

撩との関係がより深くなったことに、

身も心もまだまだ追いつかない香であった。


***********************************
(4)へつづく。





ゴム使えば少しは汚れも軽減されるかもしれませんが、
汗やら何やらがたっぷりとなるとねぇ。
今は、こちらの設定11月中旬で、
これから寒くなっていく流れですが、
夏の暑い時は、もっと大変かも…。
(風呂で頑張ってもらうか…)
リアルは今日から5月、まだ年度末の件案を引きずっています。
早くケリをつけたい…。

プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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