01-09 Medical Treatment

第1部 After the Okutama Lake side


(9)Medical Treatment *********************************************************1743文字くらい




かずえに連れられて、

別室に入った香は腹部を見てもらい、

異常がないことを確認してもらった。



「よかったわ。気絶するほどの衝撃だったのに、

内蔵のダメージはないようで安心したわ。痣もないようだし。」

かずえは、聴診器をはずしながらそう言った。

「そう言えば、あの時、

一瞬だけ腹筋に力を入れて耐えたことを覚えているわ。」



窓ガラスが割れた時、

素早い動きで男たちが自分に接近してくるのが分かったが、

身を守るものを何も持っていなかった。

故に、動きを読んで攻撃を避けるか、

避けきれなくても、まともに受けないようにと、

瞬時に判断したが、

男たちの動きは思った以上に早かった。

鳩尾(みぞおち)に来るっ!と思った瞬間、

かばう時間がなかったので、

確かに反射的に腹筋へ力を入れていたのだ。



「香さん、もう現場慣れしてるわね。」

教授から香が連れ去られた状況を聞いた時、

かずえは、内蔵の内出血レベルは覚悟していたのだ。

「でも、いつも撩には迷惑をかけてばかり……。」

香は、結局さらわれてしまった自分が情けなく、

このような事態を

自分で防げなかった不甲斐なさで、己を責めている。



「あら、それはどうかしら?」

かずえは、イスに座っている香に向かって、

しゃがんで視線の高さを同じにした。

「あなたじゃなきゃ、できないことが沢山あるはずよ。

きっと冴羽さんもそれを理解しているわ。」

「かずえさん…。」



そこへ教授が入ってきた。

「ふぉっほっほっ、香君、問題なさそうじゃの。」

「教授…。」

「さて、今度はワシが、手首の擦り傷を診てやろうかのう。

かずえ君、すまぬが美樹さんの荷物をまとめて、

ワシの家に運べるように手はずを整えてもらえんか。」

教授は、かずえに指示を出すと、

ドクターズバッグから消毒液とピンセットを取り出し、

筋や骨が痛んでいないか、軽く触診する。

「うむ、大丈夫じゃな。」

太い麻紐できつく後ろ手に縛られていた香の腕は、

血こそ出ていなかったものの、

薄皮がはがれ、所々紐の痕が残っていた。

服の上からの拘束だったから、

この程度ですんだのだろう。



「香君、そのまま聞いて欲しいことがあるんじゃが…。」



おもむろに、教授が手当をしながら話し始めた。

「実はな、ワシの知るところではのう、

この3年ほど、撩が遊んだという情報が殆ど入っておらん。」

「はぁ?」

きょとんとする香。

(撩の遊びって?バーとかスナックとかの通いだったら日常なのに?)

「いや、つまりじゃの、

あやつが新宿の種馬とか言われておるのは知っとるじゃろ?」

(へ?今度は種馬の話?)

「そんなあいつが、この数年女遊びを殆どやっとらん。

少なくとも、素人に手を出した様子はないのう。」

「???」

(はぁ?素人って?

でも撩はいつもナンパばっかりで、夜も出かけて朝帰りばかりで…。)

「ほほ、訳が分からないという表情じゃのぉ。」

教授の言う通り、

年中発情期のような撩の生態を見て来た香にとって、

教授の話は、

自分の知っていることと大きくかけ離れている。



「もう一つ…。」

教授は続けた。

「撩はのう、小さい頃から戦場にいて、

不衛生な状況下で何回も治療や輸血を受け、

エンジェルダストも投与され、

アメリカでもかなりハメをはずして遊んでおったが……、

幸運にもヤツは、その手の病気は全く持っておらん。」



教授は、消毒液を塗り終えると、

道具をカバンにしまった。

「香君、あんたも以前ワシの家で治療を受けた時、

一通り血液検査をしたが、2人も全く問題なしじゃ。」

ぽかんとする香に教授は、扉に向かいながらさらに続けた。

「安心して、愛し合うといいじゃろう…。ほっほっほっほっ。」

バタンと扉が閉まる音で、香は我に返った。




「〜〜〜〜んんんなぁんでぇぇ??」



血液が沸騰しそうだ。

まだ、誰にも何も言っていないのに、

教授は、もう自分たちがさっきキスをしてきたことを

知っているかのような言動。

そして、その先のことまでを読まれて、

アドバイスまがいの話しを聞くことになるとは。

(…っまさか、突然、あ、あ、んなことを、い、言われるなんてぇ〜。

あ、あ、愛し、あ、あ、うって…、〜〜〜あぅ〜。)

香は、この後、自分がどうしていいのか分からず、

青くなったり、赤くなったりしながら、

イスに座ったまましばしフリーズしていた。


********************************
(10)につづく。






香ちゃんって、気の毒なくらい何回も拉致監禁され、
浦上まゆ子ちゃんの時には、
見事に鳩尾に食らっていたので、
いやぁーんと思わず自分の腹を撫でてしまいました。
ああ、マリーにもやられていましたね(泣っ)。
原作では教会での拉致シーンでは、
明確な表記はされていませんでしたが、
スタンガンか鳩尾かで香を気絶させたのではと。
当方では過去に経験がある鳩尾パンチで連れ去られたと
仮定しました。
そして、教授のこの一言は、この先の流れ上、
どうしても捏造したかったので、ここで言わせてしまいました〜。
撩が女遊びを辞めた流れは、
「My beloved」の芹霞さんのお話しがとっても共感できたので、
僭越ながら参考にさせて頂いております。



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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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