01-10 Record

第1部 After the Okutama Lake Side


(10)Record ********************************************************************1436文字くらい




美樹の部屋を出た撩は、ミックに捕まった。

「リョウ。」

「あぁ、こいつを返しておくよ。お陰で捜索の手間が省けた。」

撩は、ポケットに手を突っ込み、

ミックがクロイツの部下の車につけた発信機と受信機を手渡した。

「Oh!こいつには金がかかってるからな。壊れてないだろうな?」

そう言いながらスイッチを入れてみた。

「…ドコーン!ドンドン!………パラタタタ…『海坊主!右だ!』チュドーン!」

「!!!」

撩は、ぎょっと青ざめた。

「ちょ、ちょっと待て!ミック!!」

慌てて、受信機を奪おうと手を伸ばした。

ミックは、それをかわすと、

ニヤッと笑みを浮かべながら、撩を見つめた。

「あれ?リョウ、気付かなかったか?

これお前らが出発してから、ずっと録音機能が働いていたんだぜ。」



撩は自分の血圧が下がるのを感じた。

顔面が更に青くなる。

(ぬぅわんだとぉー、盗聴機じゃなくて、録音機を兼ねていたのかぁぁぁ!)

撩は、本気で焦る。

下がった血圧が一気に上がった。

(まずい、これはヒジョーにまずい。

あのやりとりが全部コレに記録されているってことかよっ〜!)

ミックは、さっき感じた違和感が何だったのかを

この撩の反応で確信した。



「ミック、悪いことは言わん。おとなしくそいつを俺に渡せ…。」

「あぁ?What are you saying!

こいつは金かかっているっていったろ?

それとも何だ?聞かれちゃまずいことでも、この中に入ってんのかよ。」

もはや今の撩の頭は、

ミックの手の中にある受信機兼録音機を

どうやって奪って破壊しようか、

そのことしか考えていない。



その間、再生された録音はどんどん進んでいく。

(まずいっ、まずいっ!クロイツのキャンプに到着したところからは、

何があっても聞かせらんねぇーっっ!!)

撩は、シリアス顔でパイソンを取り出し、ミックに向けた。

「悪いが、そいつを破壊する。」

ミックは、撩の逆鱗に触れたことに気づく。

これでは、

これを持ってどこに逃げても的確に目的を果たしてくるだろう。

自分も殺されかねない殺気だ。

ひくっと唇の端が引きつり、こめかみに一筋の汗。



「……Wait a minute…、

こいつは、壊したくない商売道具なんだ。

中のメモリーを、……渡すよ。」

ミックはそう言いながら、受信機の中から記録媒体を取り出した。

「これで、本体は壊さなくてもいいだろう?」

脂汗を流しながら、聞きたい気持ちを抑えて、

撩に記録媒体を手渡した。

撩は、安全のために本当は本体まで壊したかったが、

本体に録音情報が残っていない可能性を信じて、受け取った。

すぐに握りつぶそうかと思ったが、

正直なところ、

香のあの愛の告白だけは、自分も後で聞きたいと思い、

そのままポケットに忍ばせておくことにした。



ミックは、悟ったような表情に切り替えて撩に言った。

「ふーん、聞かれちゃマズいことをしゃべっていたんだ。…カ・オ・リと!」

「っるせー。」

「……もう、カオリを悲しませるなよ…。」

「っち、どいつもこいつも同じこといいやがって…。」

一応目的を果たした撩は、

ミックと目を合わせないように、香のいる部屋へ向かった。



そんな撩の後ろ姿を、ミックは目を細めて見送る。

「……あのバカ、よーやく決心できたようだな。

…カオリ、ホントーによかったな…。」

(あぁ、俺の初恋の君がぁ〜。)

言葉と裏腹に、この先の展開に、

オオカミさんに食われる赤ずきんを思い出し、

「shit!」と小さく呟く。

悔しいやら、嬉しいやら、悲しいやらの

複雑な気分が渦巻き、

悶々とする気分を取り払うかのように、

かずえのもとに向かって歩き始めた。


*******************************
(11)につづく。





おまけのやりとりです。
ミックの小道具があの後どうなったのかな〜と
妄想したら、こんな流れを作ってみました。
たぶん、メモリーを受け取った撩は、
教授あたりに同機種を注文して、
なんらかの形で聞き返せるようにしちゃうかも〜と、
思った次第です。
AHでは携帯に残った香の声を保存していた撩なので、
こっそりこんなことをしてても
いいかなと〜。
でも、やっぱり原作撩とアニメ撩とAH撩は
キャラに有意差をどうしても感じてしまいますが、
個人的には原作撩が一番いいな〜。

スポンサーサイト
プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


9万hit記念に
とりあえず作ってみた
CH専用Twitter
 


拍手1000パチ記念につけちゃいました。



かなり便利なサーチツール

登録サイト最新情報はこちらをチェック!


試運転中…

カテゴリ
最新記事
月別アーカイブ
検索フォーム
QRコード
QR
現在の閲覧者数: