SS-02 Dentist (6)

Dentist


(6)******************************************************************************1520文字くらい



「ただいまー!」

1階の扉が開く気配から感じとっていた撩は、

朝、香と会っていないので、

穴埋めがしたくてしょうがなかった。

玄関から聞こえる元気な声にほっとする。

L字ソファーの角にもたれながら、んーと伸びをして、

「やっと帰って来たか……。」

と、一人呟く。



本当は、歯科までそっとついて行きたかったのだが、

また情報屋やミックにそんな姿を目撃されたら、

どんなウワサを流されるか分かったもんじゃないと、

じっとアパートで我慢していたのだ。



さっきの元気な声とは対照的に、リビングの戸がそっと開く。

「…りょ、…ただいま。」

おとなしげに、扉から顔を出した香。

撩は、少し顔に赤みがかっているのに気づいた。

(まさか、風邪じゃないよな。さっき元気よかったし。)

「おぅ、どうだった?」

撩は、早く香を抱き寄せたいと、

自分の隣のクッションをぽんぽんとたたいて、

座る席を指定した。



香は、ゆっくり撩の右隣に座って、指を膝の上で組んだ。

「うん、すごく丁寧に診てもらった。」

今すぐにでも撩に抱きつきたいと思っていたけど、

そんなことをしたら、きっと呆れられちゃうと思い、

なんとか自制していた。

「ものすごく美人な歯医者さんだったわ。」

見たままのレポート。

「なに?もっこり美人か?」

「そう、撩好みの3人姉妹。他の職員さんもみーんなモデルさんみたいだったわ。」

香も見惚れるほどの可愛いタイプや美人タイプが忙しそうに働いていた。

「なにー!今度は俺が虫歯になって行くっ!」

拳に力を入れる撩。

「残念でした。女性患者限定の歯医者さんなんですって。」

「そっか…、撩ちゃん、ざんねーん…。」

わざとらしく落ち込む撩に、香はクスッと笑う。



(ああ、もうだめ…。)

「……撩。」



ソファーのコーナーに向き合って座る2人。

ゆっくりと香の細い腕が撩の逞しい胴にまわる。

香は頬を撩の厚い胸板に預けて、はぁと一息つく。

撩は、リビングに入ってきた時から、

香の様子がいつもと違うことを何となく勘付いていた。



「かおりちゃーん、どーっしちゃったのかなぁ?」

とりあえず、おちゃらけて聞いてみる。

「…撩、…知ってたんでしょ?女性オンリーの歯医者さんだって。」

一瞬、撩の胴がピクッと動くのが分かった。

「とても、いい歯医者さんだった…。」

「…香。」

「安心して治療してもらえた…。」

ふっと優しい表情になった撩は、腕をまわして香をそっと包む。



「ありがと…、撩…。」



香は、撩の心拍数がわずかに上がるのを、

熱い大胸筋越しに聞こえる心音で感じた。

撩は、他の男に香の口や唇、ましてや口腔内を触られたくなかった。

香は、診察を受けながら、触ってるのが女性でよかったと、心底安堵した。

受付嬢の説明の後、藪さんやミックの話しから、

全てが撩の配慮と気遣いであったことを知り、

それがうれしくて、うれしくて、自分ではどうしようもないくらい、

気持ちを持て余していることを感じていた。



そして、医師の葵に診察中に触れられた指や器具の感触が撩を思い起こさせ、

今はただひたすら、

自分が撩との触れ合いを求めていることを思い知らされているのだ。



「……香。」



頭の上から撩の低い甘い声がした。

ふっと見上げると視線がからんだ。

撩の少し乾いた指が香の唇をゆっくり撫でる。

初めてじゃないのに、その刺激の大きさは、まさに最大級モノ。

撩に触れてもらっている。

それだけで、カーッと顔が熱くなり、心臓がバクバクと激しいリズムを刻む。

二人の心音が同調する。



「…おかえり…。」



その言葉と同時に、撩の唇が降って来た。

お互いを抱く腕に力がこもる。



(そう、これが欲しかった…。)



香は、溶けそうな頭の中で、素直にそう思った。



************************************************
一応ここでENDのつもりが、
「その後」を作ってしまいました〜。
(7)へつづく。2012.11.12





このあと、当然撩ちゃんに美味しく頂かれちゃうカオリンであった。
ちーとばっかし、実体験入っちょります。
2万Hit記念、駄文妄想にお付き合い頂きありがとうございました〜。
調べてみたら、加茂歯科医院さん、けっこういっぱいあるみたいですぅ。
エンブレムもみなカモシカ、もしくはシカっぽい。
考えることが一緒で、なんか嬉しいぞぉ。

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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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