13-10 Do You Like Long Hair?

第13部 A Week After The Okutama Lake

奥多摩から7日目


(10)Do You Like Long Hair ?  ********************************************2283文字くらい



「撩、コーヒー持ってきたよ。」



食事と片付け、翌日の準備ができたところで、

香はコーヒーを運んだ。

「ああ、サンキュ。」

リビングのソファーの短辺で、雑誌を読んでいた撩。

実は、H本の間に挟んで、まじめな経済誌が隠されているが、

それをそのまま挟み込んでソファーの裏へしまい込んだ。

ガラステーブルの上に差し出されたカップに手を伸ばす。

湯気に乗って香り高い芳香が漂う。



「ほんと、美樹さんのところのコーヒーって落ち着くわぁ。」

長辺側に座り、すっと口をつける香は、そう呟いた。

(おまぁが、いれてくれるからうまいんだぜって、…やっぱ言えねぇよなぁ。)

言いたい言葉を飲み込んで、撩もくっとカップを傾ける。

お互いの2口、3口とすする音が耳に届く。



ふと香がカップを置いて、口を開いた。

「……ねぇ、撩は髪の毛長い方が好きなの?」

「な、なんだぁ?いきなり。」

口に運んだコーヒーを吹き出しそうになった。

「昔のことだけどさ、あんた、あたしがウィッグつけた時、

2回くらいもっこりしてたわよね。」

「ごほっ!ぐほっ!」

最後の一口が食道でないところに入り、思いっきりむせた。



「ちょ、ちょっと何咳き込んでんのよっ!」

香は自分のカップをテーブルに置いて、コーナーに腰をずらして、

撩の背中をぽんぽんと叩く。

別にこれで何かが改善するという訳ではないのを分かってはいるが、

反射でしたくなる行動の一つ。



ちょっと涙目で、顔を片手で押さえている撩。

指の隙間から、ちらりと香を見る。

「そーゆーのが、むぼーびっだっちゅうーのに。」

「え?」

次の瞬間に聞こえたどさっという何かが落ちる音。

自分の背中とソファーが平行になっていることに気付くのにワンテンポ遅れた。

撩に見下ろされ、両手首を掴まれている。



「……ここで、おまえと過ごす度に、何度押し倒そうと思ったか…。」



そう懐かしそうな表情で穏やかに言葉を紡ぐ撩。

「りょっ…。」

瞬時にアメリカンチェリーのごとく濃い赤に染まった香を

優しい目で見つめる。



撩の右手が香の左手首をつと離れ、上腕へゆっくりと手の平を滑らせ、

肩をくるりと撫でて、首筋を上がり、

耳をかきあげながら、柔らかい茶色のくせ毛に指を絡ませた。



(ひゃあぁぁぁ。)



香は、目をきゅっと閉じて、

ぞわぞわと駆け巡る心地良い感覚に、身を硬くして耐える。

大きな手で香の髪を何度も優しく梳く撩。



「長くても、短くても…、お前が香であればいいさ。」

「ぇ?」

パチっと目が開く。



「でも、こうして遊べるのは捨て難いなぁ。」

そう言いながら、香の髪を両手でくしゃくしゃくしゃとかき混ぜた。

「あ!ああーっ!な、なにすんのよっ!」

想像以上にわしわしされて、香も素で驚く。

起き上がろうとして、撩の腕を掴みどけようとした。



とたん、大きな両手で頭を包まれ固定され、

そのままソファーに押し付けられたかと思ったら、

唇も押し付けられた。

「んんーっ。」

ずしりと撩の体重がかかる。

足は2人とも床に着いているから、

上半身だけの負荷のはずだが、存在感と連動して大きな質量を感じる。

肺が自由に上下できない。

おのずと口を開けて空気を求めてしまう。

そこに、撩が深いキスをしてくる。

さっきまで味わっていたコーヒーの風味が鼻に抜ける。



撩の腕を握っていた指に力が入り、Tシャツにしわがよる。

角度を変え、複雑な動きで吸い付いてくる撩の先制攻撃に、香はなす術がない。

鼻での息が追いつかなくなる。

接触しているお互いの胸部から心音が叩き合っているのが伝わってきた。



「ふ……、く、る、…し。」



ふわりと唇を離した撩は、また髪に指を滑らせるように撫でた。

「ここでは、まだ早い、か…。」

「はぁ、…はぁ、…は、…ふ。」

(はぁ?『ここでは』って?)



解放された口から必死に酸素を取り込もうとする香を見下げながら、

撩はゆっくりと上体を起こした。

同じ早さで、香の両肩を包んで、そっと起き上がらせる。



「というワケでぇー、

撩ちゃんはぁ、長くても短くてもどっちでもいいけどぉー、

いじって遊べる方が楽しいなぁー。」

そう明るく言ったと思ったら、また髪をくしゃりとかき回し、

すっと立ち上がった。

ソファーにかけてあった上着をひょいっと指にひっかけると、

まだプスプスしている香の前髪をかきあげ、

額に唇を寄せた。

「ひゃあっ!」

「香ちゃん、ボクちゃん、ちょっくら出かけてくっから、

撩ちゃんの部屋で大人しく待ってろよぉ。」

ふんふんと、ご機嫌よくリビングから出て行き、パタンと扉が閉められた。



「はぁぁぁぁ…。」



香は、そのままどさっと、また横向きにソファーに倒れ込む。

「き、聞かなきゃよかった…。ば、か…。」



翻弄されっぱなしの状態に嬉しくもあり、悔しくもあり、複雑な気分。

そう考えながら、きっと撩が出かけたのは、

1週間おざなりにしていた、

夜の街の情報収集に違いないと確信する。

手抜きをする訳にはいかない仕事の一つだと、

夜に出かけない撩を、撩らしくないとも感じていたので、

いつも通りの動きに、

半ば安堵も気持ちもちらりと片隅に出てくる。



しかし、まるで触り逃げのような状態で放置されてしまった香。

あのキスのまま、続きがもしかして、このまま進むのかと、

少しだけ覚悟をしていたが、逆に距離が広がってしまう。



クーパーの中で、階段で、ソファーでと繰り返された甘いキス。

香は、着火された火をどうやって鎮火させるか、

心拍が荒らぶる中、座った姿勢でソファーにうつ伏せになったまま、

とにかく、

体温が下がるのをただひたすら待つのであった。


************************************
(11)につづく。






完全版8巻の巻末に、「もっこり美女ランキング」が公開。
で、カオリン堂々の1位で撩ちん10回もっこりしていることになっています。
振り返って見ました。
明らかにカオリンにもっこり反応していたのは…、
(1)冴羽アパート初日の夜の添い寝
(2)ノーヘルでバイク2人乗り
(3)ジェネラルから逃走中のお姫様抱っこ
(4)アルマ女王編の変装カオリン
(5)悦子ちゃん編の変装水着カオリン
(6)絵梨子編の水着カオリン
(7)銀狐編の路上横たわりカオリン
(8)銀狐編の最終話でカオリンのレオタードヒップ
(9)拓也が撮影したポラロイド
と、9回までは拾えたんですが、あと1回分が見つからず!
一体どこなんだぁ〜?

【修正しました!】
Sさん、こちらの煎れるも訂正しましたっ。
ご連絡ありがとうございます!
2014.01.18.00:44

スポンサーサイト
プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


9万hit記念に
とりあえず作ってみた
CH専用Twitter
 


拍手1000パチ記念につけちゃいました。



かなり便利なサーチツール

登録サイト最新情報はこちらをチェック!


試運転中…

カテゴリ
最新記事
月別アーカイブ
検索フォーム
QRコード
QR
現在の閲覧者数: