01-15 My Home

第1部 After the Okutama Lake Side


(15) My Home *****************************************************************1374文字くらい




夕方、帰宅ラッシュが始まる前。

予定時間より早く冴羽アパートに到着すると、

撩は、先に運転席を降りて、助手席にまわり、

ドアを開けた。



香は、ポーチを持って自分で出ようとしたところだったから、

撩のエスコートスタイルの再来に、また驚いた。

まるで瞬間移動したかのような素早さ。

優しい瞳で自分を見下げる撩の姿に、

体が動かなくなる。




「こいよ。」



撩は香の手をそっと取ると、

立ち上がらせ、ドアを閉め、ロックをした。

照れて赤面している香が

歩き出そうと一歩足を踏み出したところで、

ひょいっと、体が浮く。

「っえ?って!?撩っ!だから、あ、あたし歩けるってば!」

驚く香は、また沸騰状態。

本日二度目のお姫様抱っこに頭が混乱する。

「いいから。ここは俺の好きにさせてくれ。」

(えええーっ?!これで6階まで上がるつもりなのぉ?)



今までの撩とあまりにも違いすぎるギャップに、

思考が、脳が、体がついていかない。



撩は、軽い足取りで、

階段をスタスタと昇っていく。

揺れるので、ずり落ちないようにと、香はおのずと撩の肩に手を回す。

お互いの顔が近くて、更に香の顔がかぁと赤くなる。

香と視線を合せた撩は、登りながらふと口角をあげると、

そのまま目を閉じ、背中を支えている腕を少し上にずらして、

香にぱくっと口をつけた。

「んんん?!」

撩は、慌てふためく香に、ますます愛らしさを感じながら、

色々な形のキスを繰り返す。



キスと一言で言っても、名前をつけられている種類だけでも

20種類以上ある。

バードキス、サーチングキス、ストローキス、ピクニックキスと、

よくここまで分類するもんだと、

撩は手持ち情報を思い浮かべた。

ちなみに、

日本ではフレンチキスは軽いキスと思われているらしいが、

これはデープキスと同意語。



「…もうちょい、顔寄せて…」

唇を離さないまま、要望を出してみる。

香は、ちょっと間を置いて、

ぎこちなくも、そっと撩の首に腕を回して来た。

これで動きやすさが数段増す。



早く部屋に着きたい思いと、

この時間を先延ばししたいという矛盾した欲がぶつかる。

登り慣れた階段、

口付けをしながら目を閉じていても目的地には行ける。

一時も、離れていたくない、少しでも触れ合っていたい。




(俺が一人の女にこんな思いを抱くようになるとはなぁ。)




香は、お姫様抱っこの上に、

複雑なキスをされながら家へと帰るこのセッティングに、

現実であることが、まだ信じられない気分だった。

香の体は、熱を帯びて指先までほってっている。

玄関まで来ると、

撩は器用に香を抱っこしたまま鍵を開け、中に入る。



「も、も…、降ろして…。」

真っ赤にゆであがった香が照れながらそう言った。

「了解。」

名残惜しげに、そっと足をつかせる。

本音は、このまま自分の部屋に運んでしまいたい気分だったが、

抑えに抑えて、次の動きを宣言した。



「さて、まずは風呂かな!クロイツの奴らとドンパチやって、埃だらけだ。」

日常に戻ってきた。

しかし、これまでの日常とは、もう大きく違う。



「そっ、そうねっ。撩っ、さ、先に入って。

そ、その間に、ぁ、あたし食事の用意するからっ。」

「あぁ、そうさせてもらうわ。」

ぎくしゃくしながらキッチンに向かう香、

苦笑しながら着替えを取りに行く撩、

2人が離れた時、

お互い体温が離れた淋しさを同時に味わっていた。


*********************************
(16)につづく。




さて、ようやく我が家へ戻ってきました。
2人が過ごす日常の空間に立ち入った時、
きっと大きな戸惑いやギクシャク感が出てくるとは思いますが、
それ以上に撩ちんは、
香ちゃんにや〜っとこさ触れられるようになったことが、
実は嬉しくて楽しくて気持ちよくて仕様がないのではと。
次はそんな2人のやり取りを出して行こうと思います。

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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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