01-20 Ryo's Room

第1部 After the Okutama Lake Side


(21)Ryo’s Room **************************************************************1723文字くらい




あっという間に、撩の部屋に連れてこられた香。

気づいたら、撩のベッドの上。

(え、え、えええええぇー!!これってどういうことぉ?

つ、つ、つ、つまり、今晩、ここで一緒に寝ようってこと??)

香は、視点が定まっていない。



海原戦の前に、撩のベッドで朝を迎えたことがあった。

あの時は、ただ抱きとめられていた心地よさで、

そのまま眠ってしまい、朝には床に座っていた体が、

いつのまにかベッドの上へ移動させられていた。



だけど、今回は最初からもうベッドの上。

ドアから遠い方にそっと降ろされた。

撩は横に滑り込み、香に掛け布団をかけようとしている。

「どったの?香ちゃん。」

はっ、と現実に引き戻された。

両肘をついて、上半身を起こした状態の香は、顔は正面のままで、

視線だけちらっと撩に向けた。

目が合ったと思ったやいなや、グイッと引っ張られ、

そのまま撩の肩と自分の額がぶつかった。

「わっ!」

撩の右腕が腕枕になり、撩の左腕は香の背中にまわり、

左手の指が自分の髪の毛の中に埋もれている。

服越しの体温が気持ちいい。



「…今日は、疲れたろ。」

「え?」

低くゆっくりとした口調が頭の上から聞こえた。

香は、また驚いた。

一言も「疲れた」と口には出していなかったのに、

自分の疲労感を撩が当然のように知っている。

わずかに顔を動かすと、撩の目が数センチ先にある。

(…ち、近過ぎるっ。)

心臓の音が自分の耳に響く。

「今夜は、おやすみのちゅーだけな。」

という言葉が聞こえたかと思ったら、後ろ頭にあった撩の手が、

右の頬に降りて来て、唇にやわらかい感触が帰ってきた。

「んっ…。」

ついばむように軽く何度も何度も触れてくる。



香は目をきゅっと閉じて、

されるがままに、撩のキスを受け止めていた。

(…も、もう、…今日だけで…、一体、何回目かしら…。)



撩の唇の感触が、こんなにも、軟らかくて、気持ちよくて、

キスというものが、ここまで快感を伴うものだとは、

思ってもみなかった。

かすかに感じるタバコの風味。

少し乾き気味だった唇は、触れているうちに湿度を増す。

ずっと想い続けてきた、

しかし、叶えてはいけない初恋だとも思っていた相手から、

これまで押さえてきたものを

一気に流し込むような熱く、溶けるような口付け。



(ま、まだ、し、し、し、信じられない…。

撩にベッドでキスをしてもらっているなんて…。うそじゃないの?)



香は、そんなことを、薄れゆきそうな意識の中で考えていた。

撩も、同じ心境であった。

はずれてしまった箍は、もう戻せない。

(はぁ…、やべぇ…。止めきれないかも…。)

いつの間にか、カクテルキスになっていた。

時間を忘れそうになる。



何も塗っていないのに、艶やかで健康的な色の唇に、

整った白い歯並び、その口元が動くだけでも煽られてしまう。

甘い唾液に混じる歯磨き粉のミントの香りが、鼻の粘膜にほんのり届く。

撩は、香の舌を吸い上げたり、舌で頬の内側をなぞったりと、

思考がとろけそうになりながら、半ば夢中で堪能していたが、

自分の動きに必死についてこようとしていた香の力が、

ふっと抜けたことに気付いた。

色っぽい女の表情のまま、香は眠りに落ちてしまったのだ。



「…普通、おとぎ話では、キスで目を覚ますんだがなぁ。

俺、睡眠薬使ってないよな…。」



余程疲れていたのだろう。無理はない。

今までのことを考えると大した進歩、跳躍的前進。

香にこうして触れることができるようになっただけでも、

これまでとは大違いのこと。

ましてや、キスをしながら同じベッドで一緒に横になることなんて、

決して望んではいけない光景だった。



「……おやすみ…。」



すー、すーと寝息を立てる香の髪をゆっくりかきあげる。

香は、いつのまにか、

さっきの大人の表情から、幼い子供を思わせる顔になっている。

細い体をきゅっと抱き直して、肩口を枕代わりにさせ、

すっぽりと腕の中に収めた。

しばし、細めた目で見つめ、ふっと息を吐く。



「ゆっくり、やすめ…。」



耳元で小さく囁いた。

そして、明日の朝を、どう迎えるか。

いろんなシチュエーションを思い浮かべながら、

撩はそっと、香の頬にキスを落とした。

(……しっかし、この状態は、別の意味で拷問だな…。)


**********************************
(21)につづく。






と言う訳で今晩はオアズケ〜。

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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
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十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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