19-02 0.5 Of A Second (side Ryo)

第19部 Shopping

奥多摩湖畔から10日目


(2)0.5 Of A Second (side Ryo)   *************************************1640文字くらい



魅惑的な香の太腿のチラリズムを

ハンマーの隙間から覗き見して

その動きを楽しんでいた俺。

そのまま、部屋を出て行く香を見送った。



もらった本日2発目のハンマーをころんと床に転がして、

枕の下に両腕を通し、軽く目を閉じる。



「……人間の寿命も、0.5秒、だもんな。」



さっき話した地球カレンダー。

1秒は、約146年という計算だ。

俺ら人間の平均寿命は、そのおおよそ半分。

まばたきしている間に過ぎちまう。

まぁ、俺も香もいまんところ3分の1は使っているワケだ。

残り、3分の2。

0. 3秒を共に過ごすっつーのも、

悪かぁないだろ。



とりあえず、夕べの香の落ち込んだ空気は一掃できた。

まだ、これから色々出てくる可能性は大きいが、

本当は、何度でも言ってやりたい。



お前じゃないとだめなんだと。


お前が必要不可欠なんだと。



不安にさせ、失うくらいなら安い仕事だ、と思いたいが、

そう軽々しく口をついて出て来てくれそうにねぇし。

一度言うだけで精一杯って、情けなくねぇか?



ったく、エロイカの連中には、

今日にでも文句を言ってやらねぇーと、

また何をくっちゃべられるか分かったもんじゃねぇ。



確かに、新宿(ここ)に来てからは、

見回りと香の護衛を兼ねた、遊びのナンパはさておき、

抱くオンナは、極一部の依頼人を除き、

後腐れのない大人の関係を理解しているプロだけを選んでいた。

そのヘンの自己ルールを言わずもがな、

付き合いの長い連中は周知している。



だからと言って、このタイミングはマズ過ぎるだろっ。

色事に超縁遠かった、純真無垢とも言える香にだな、

刺激の強さをちゃんと考慮しろっつーんだよっ。

まだ、たった10日しか経ってねぇーし、

俺も香も色々ゆとりがないっちゅーねんっ!



自分で、眉間にシワが寄るのが分かる。

徐々にではなく、唐突の変化。



香でなくても、混乱するような180度の転換。

そんな中で、

自分以外のオンナを複数知っていることを承知で、

俺と一緒になることを決心するなんぞ、

生半可な心理では出来ないことだろう。

ましてや、男慣れしている訳ではない処女だったあいつが、

どんな思いで、俺を受け入れたのか、

わずかに心理を重ねるだけでも、肺が圧迫される気分になる。



目を閉じたままふーと息を吐き出す。



もう、お前以外とは、考えられない…。



これまで重ねたこのベッドの上での時間が

スライド上映のように瞼の裏に流れる。

とたんに、掛け布団の一部がテントになった。



「あー、今はおとなしくしてろっつーの…。」



と、口で言いながらも、

すでに五感は、

香の嬌声を拾い、

指先にあの肌の質感が蘇り、

口の中で味わった甘い唾液に、

愛液の香り、

目に焼き付けられた身を捩る白い裸体にと、

勝手に脳へ刺激を送る。



想像することすら、罪悪感を覚えていた

この関係が、

長い時間を経て、ようやく同意のもとで現実となり、

今まで知り得なかった香の更なる魅力に、

完全にKO状態。





「ああ!もぉーっ!」



俺は、がばっと起き上がって頭をぶんぶんと振る。



「そーとー、きてるな。これは…。」



手が淋しいってか?

あぐらをかいている自分の膝に置かれた指をちらと見る。

口も淋しいってか?

自分の唇をぺろっと舐める。

あんだけちゅうちゅうしても、まだ足りないってか?

掛け布団の下で、

同意をするように、『息子』も天を向いたままぴくりと頷く。



「あー、お前さんの出番はまだ後だ。」



この離れている時間と距離がもどかしい。

香が先に出てからもう30分くらい経ってるか。

俺も、さっさと着替えて降りるとすっか。



階下の気配を読む。

キッチンでの調理器具の重なる音と、

香の足音が耳に届く。

早々にシャワーを軽く済ませた様子もチェック済み。



「んーっ」



右腕を天井に伸ばし、

左手を右肘にひっかけ力一杯伸びをする。

肩の関節がクチッと鳴る。



香が枕元に置いたインナーを

ごそごそと身につけた。



「俺もシャワー浴びとくか…。」



俺は、外着もチェストから引っ張り出し、

がに股猫背で、まずは浴室に向かうことにした。



**********************************
(3)につづく。





0.5秒。
「地球大進化」では冒頭山崎努氏が「俺の人生たった半秒か…」と
絶句しているシーンがあります。
人生折り返し地点のわたくしも、残り時間どう使うか、
5年先、10年先を見据えて…なんて器用な事はできませんので、
とにかく今を精一杯歩んでいこうと思います。

【御礼】
どちら様か存じ上げておりませんが、
昨日から第1話より読み進めて頂き本当にありがとうございます。
おかげさまで本サイト初の1日あたりの拍手が3ケタ越えの
110パチを頂戴いたしました。
貴重な連休のお時間を当サイトに使って頂き恐縮でございます。
心より御礼申し上げます。
[2013.04.29.13:00]

【1万拍手御礼付録記事】
珍しく連日更新となっております。
28日に引き続き本サイト新記録更新ということで、
29日の拍手が167と過去最高となり、
同時に累計も1万を越えてしまうという、
重なる有り難い数字に、身に余る反響痛み入ります。
お知らせの記事を作ろうかと思いましたが、
こちらでの告知で失礼致します。
本日4/30の1818で拍手御礼付録記事を出させて頂きます。
バトンモノ一区切りかなと。
とにもかくにも、
御礼を表す言葉がいくらあっても足りない気分です。
心理的にまだ不安定さを抱えていますが、
これを支えの一つとして一つ一つ進んで行きたいと思います。
皆様本当にありがとうございました。
[2013.04.30.08:50]

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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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とりあえず作ってみた
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拍手1000パチ記念につけちゃいました。



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