21-05 Meeting Again

第21部 Invasion Of A Novelist

奥多摩湖畔から11日目   


(5)Meeting Again *****************************************************1663文字くらい



駅までの道のり、行きは何も問題がなかった。

異変があったのは、帰りのこと。



「香さぁーん!待ってぇー!」



駅側に背を向けて家路に向かう香から、約数十m離れた地点で声がする。

若い女性の声、きっと自分以外の可能性もあると、思いつつも、

発信源につと振り向いた。

目に入ったのは見た事のある制服。



「え?」



香の足が止まった。

革靴を鳴らしながら小走りに接近してきたのは、

1年前にガードをした女子高生。



「ゆ、唯香ちゃんっ!」

「っはぁ〜、追いついたぁ〜。」

肩を上下させて、膝頭に片手をつく。

鞄も服も学校指定、登校にしても下校にしても中途半端な時間。



「唯香ちゃん、驚いたわぁー。元気してた?」

香の声に深呼吸をして、がばっと上体を起こす唯香。

目がかちっと合う。

「お久しぶりです!」

鞄を両手に持ち直し、背筋を伸ばし、首を少しかしげてにっこりと笑う。

「もう学校終わったの?」

「あ、今日は先生たちの会議があるからって午後の授業なくなったんです。」

ようやく息が整ってきた唯香は、言葉を交わしながら香の上から下まで

バレないようにサーチする。

(キスマークとかは見えないか…。)

「ちょうど冴羽さんのところに行こうとしたら、

改札出たところで、香さんの後ろ姿が見えたんで…。」

「それで追いかけてきたの?」

「はい!よかったです!ここで会えて!お留守だったら出直しがなかなか難しくて。」



立ち止まって言葉を交わす二人の脇を、

幾人もの通行人が避けるようにすれ違って行く。

「あ!もしかして、今受験生?」

「そうなんです。もう周りのみんなピリピリですよぉ。」

「そっかぁ、大変だぁ。」

「香さん、今から遊びに行ってもいいですか?」

「え?」

「もう聞きたいことが、たぁーくさんあるんですよぉー。」



香はぎくりと肩が縮まる。

同時に、かぁああと頬が染まった。

その変化を唯香が見逃すはずはなく、

可愛い笑顔のままにんまりと口元が三日月になる。




「へへ、お姉ちゃんたちから、ちょこっと聞いちゃった。」

「へ?あ?な、なにを、か、かしらぁ?」

「香さん!おめでとうございますっ!!!」

深々と頭を下げながら、

半径20メートル以内の人間には確実に聞こえるような

ひときわ大きな声で祝辞を伝える女子高生。

香は大慌てで、手足をばたつかせて、

周囲を見渡し知っている人がそばにいないか首をくるくる動かした。

「ちょ、ちょ、ちょっと、ゆ、唯香ちゃんっ!

お、おめでとうって、一体、ど」

どういうこと?ととぼけようと作戦を選んだとたんに、

制服の彼女から、ずばっと決定打を下された。



「奥多摩の結婚式であったことを、是非聞かせて下さいっ!」



香は赤くなったまま硬直。

視線も泳いで、まともに唯香を見られない。

「は、はは、は…。」

唯香は、香の表情で自分が二人の姉から聞いた断片的な情報から、

自分の推測がほぼ間違いないと確信する。

「あたし、冴羽さんと約束したんです。」

「え?」

香の視線が彼女に向けられる。

「結論が出たら書かせて欲しいって。」

「は?」

「なのに、ちゃんと教えてくれないなんて、失礼だわ!冴羽さんったら!」

腕を組んで、少しぷんとする制服の少女と撩との間に、

そんなやりとりがあったとはつゆ知らず。

しばし、きょとんとしていたが、

その間にも通行人の荷物が香に幾度か当たってしまい、

明らかにこの場で話し続けるのは、公共の邪魔になる状態。



「ちょっ、ちょっとここで立ち話を続けるものなんだから、

場所をかえ」

「わ、行っていいんですか?」

唯香は鞄を腕に通し、両指を胸の前で絡ませて伸び上がった。

その瞳は見事なまでにキラキラしている。

どこかの喫茶店にでもと言いかけたのを、上手に遮られ

この空気では、もはや断れない流れになっていた。



「あ、あはは、ウ、ウチ散らかっているけど、そ、それでもよかったら…。」

「やったぁー!うれしいー!さ!行きましょう!」

唯香は冴羽アパート訪問の許可を得た事に、

心の中で大きなガッツポーズし、

香の腕を引いて足取り軽く7階建てのビルに進んで行った。


***********************************
(6)へつづく。






バタつくカオリンは、
沙羅ちゃんと屋上で仲直りする時のあのバタバタで重ねて頂ければと…。
原作では、唯香ちゃんの学年は明記されていなかったように思えますが、
一応ガードを受けた時は高校2年生の設定とさせて頂きました。
ただし、あの勉強シーンの数学の関数曲線が
一体何年生で習うものか未確認なので、
ここからまたなにかたぐった方がいらっしゃいましたら
教えてほしいわ〜。

スポンサーサイト
プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


9万hit記念に
とりあえず作ってみた
CH専用Twitter
 


拍手1000パチ記念につけちゃいました。



かなり便利なサーチツール

登録サイト最新情報はこちらをチェック!


試運転中…

カテゴリ
最新記事
月別アーカイブ
検索フォーム
QRコード
QR
現在の閲覧者数: