21-12 Welcome Home

第21部 Invasion Of A Novelist

奥多摩湖畔から11日目  


(12)Welcome Home ************************************************* 2617文字くらい



寝言が口から出た自覚があった。



「りょ…。」

「呼んだか?」



ぱちっと目が開く。

温かい何かが自分に後から巻き付いている。

嗅ぎ慣れた匂い。

慌てて振り向く。

「なっ!ああああんた!何してんのよっ!」

「んー?よ・ば・い♡」

「と、とらっ、」

「あー、トラップ確かにバージョンアップしてたがな、まだまだだな。」

また、部屋の角の抜け穴のフタが開いている。

撩はすでに一緒に布団の中。



全く気付かなかった自分に、

これが撩以外だったらどうするつもりだったのかと、

油断した己に情けなく思うも、

今まで心配しすぎて、涙をためていたことを知られたくない心情も重なり、

焦り戸惑い困惑を、とりあえずごまかそうとする。



「い、いいい一緒に寝ないって、いいい言ったでしょっ!」

言いたくないと思いつつも、いつもの自分を作る為に、

本音と逆の言葉を出してしまう香。

抵抗する動きの中で、

なんとかさりげなく目元をパジャマの袖で拭った。

「あんれぇ〜?ボクちゃんがいなくて寂しい〜って思ってたんじゃないのぉ〜。」

かっと頬の色が変わるのが自分でも分かってしまう。

図星をさされ、ますます口が動きにくくなる。



「ばっ、ばか!そそそんなワケないじゃないっ!は、放してよっ!」

「やぁーだもんねぇー。言っただろ、止められない自信は100%だって…。」



撩は、後ろ抱きのまま、

右手で香の前頭を包み、左腕は細い腰回りに深く絡ませ、

ぐっと抱き寄せる。

「りょっ…!」

さらに両足も巻き付いてきた。

たぶん、撩の体は少しベッドからはみ出ているかもと、

ここで一緒に横になっている恥ずかしさで、

気持ちが一杯一杯になりながらも、

すでに撩がTシャツとトランクスであることに気付く。



「めし、旨かったぜ。」

耳の後ろ直近から囁かれる。

本当は、『おまぁと食ったらもっとうまかっただろうけど』と

言いそうになったのを、柄じゃねぇと、寸でで止めた。

「え?」

食事まで済ませていたのかと、重ねて驚く香。

そして、撩がちょっと本気を出せば、ターゲットに気付かれずに、

ベッドに潜り込むことは、いかに簡単なことであるかを

今、思い知る。

あの気配丸出しの夜這いは、ある意味演出だったのかと、

香は捕獲されたまま、はぁと息を吐き出した。



「……どこ、行ってたのよ。」

「……今後のための、…準備、かな?」

「は?なにそれ?」

思わず振り向いてしまったとたんに、はむっと唇が食べられてしまう。

「んんんっ。」

そのまま撩は自分の体をくるりと左へ大きく回転させ、

香の体の位置も微調整し、器用に組み敷く体勢に持っていく。



「ふ…、ぅん…。」



ちゅく、ちゅっと音を立てるキスをしながら、

小さな頭を両手でふわりと包み、じわじわと下降させて頬を温め、

頸動脈の拍動を指で確かめると、

鎖骨に手の平を滑らせながら、肩骨経由で上腕をさすり、

そのまま大きな手は細い手首をくっと握った。

終点の指先まで到着すると、全ての指を絡ませ握り込む。

香の顔の両サイドで、撩の親指が自分のそれを愛おしく撫で動く。

目をきつく閉じ、両眉の端は下がり、鼻で必死に呼吸をしようとする香。



しかし、まだ香の指は絡まってこない。

つとわずかに離れる撩。



「また、…泣かしちまったな。」



どきりとして、つい目が開く。

やっぱりバレたかと、自分の甘い隠蔽工作は無駄だったと知る。



「……悪かった。……もうちっと早く戻るつもりだったが、

連絡が取れないヤツがいてな、…それで遅くなっちまった。」

目の前のオトコはすまなそうに自分を見下ろす。

「…え?何?何のこと?」

きょとんとしている香にくすっと鼻で笑みが出る。

「だ・か・ら、ちょっと準備することがあってな、欲しいもんを持っているヤツが

捕まらなかったんだよっ。」

「じゅ、準備?な、なんの?」

ふっと表情が緩む撩。

鼻先同士を触れ合わせる。

近過ぎて焦点が合わず、慌てて目を閉じる香。



「おまぁの訓練の準備。」



その言葉と同時に、またねっとりと上唇下唇が重なり合う。

「んんっ…。」

顔の角度を細やかに変化させながら唇を味わう撩。

まだ、香は自分から唇をあまり動かせず

9割9分が受け身の状態。

そんな愛らしい唇をちゅぽんと吸って離れると、

おちゃらけ口調で宣言する。

「つーワケで、ボクちゃん、ストップ効かないんですけどぉ〜。」



すでに、撩の匠なキスで、とろんとしている香。

確かに酷く心配をしていた。

そこに一人で寝る寂しさが上乗せされ、涙を流した。

そして、ちゃんと帰って来て、深夜になった理由も聞けた。

どうやらシャワーも浴びてきたのか、外歩き特有の匂いもなく、

自分が用意した食事も食べてくれた。

ちゃんとすまなかったと、謝罪の言葉も聞いた。

すでに自分は、この撩に触れられていることで、すっかり脳が蕩けてしまっている。



これでは、

この先お断りとは、とてもじゃないが口に出せない。

香は、さっきまで自分が何を望んでいたかを振り返る。




撩のぬくもりを、感じたい。




「……りょ。」

目を閉じ朱色の頬のままで、香がゆっくりと唇を動かす。

「……電話、くらい、……よこしなさい、よ…。」

「わりぃ。」

「……あんたにも、…発信器、付けといたほうが、…いいかもね。」

「んー、…考えとく。」

そういいながら、香の首筋に吸い付き始める。

「ぁ…。」

顔を枕に埋め、さらに白いうなじを露わにする香。

「進んじゃうよぉ〜。」

「……ばか。」



香は、もう自分自身に抵抗することを完全に諦めた。

さらにきゅっと強く閉じられる瞼。

無事の帰宅に、

つい先ほどまでに重く抱えていた不安感がさらりと流れ去って行く。

ゆっくりと顔を動かしながら、同じ早さで瞼を動かした。

真上の撩の目の中に自分が映り込む。



「……りょ。」

「ん?」

「……ぉ、かえり、なさい。」

動きをふと止めた撩は、真下にある香の顔を見下ろすと

柔らかい表情で、濡れた睫毛にそっと唇を寄せた。



「……たらいま。」



明るくふざけた言い回しは、自分の照れをごまかすため。

目元から、こめかみ経由で耳介に滑る唇を感じ入る香。

撩の髪の毛が自分に触れるたびに、くくっと胸が締まり、

どうにもこうにもくすぐったく恥ずかしい。

それでも、こうしていたいと

自分の思いに素直になることを選んだ。



香は、絡まっている両指8本をようやく少しずつ曲げて

撩の手の甲の上部に指先が触れる。

承諾のサイン受け、

狭いシングルベッドの上で、

撩は途切れなくそのまま優しく愛撫を与え続けた。


****************************************************
第22部(1)につづく。パス付きになります。





初のカオリンルームでの仲良しタイム。
撩ちん、電話をかけられない場所にいたってことで、
遅くなるコールできませんでした〜。
大急ぎで帰宅して、大急ぎでメシ食って、シャワー済ませて
もろもろ片付けて、夜這いタ〜イムということで〜。
カオリンが連日いちゃいちゃに疑問を持ち始めるのは、
一体いつになるのやら…。
気付かせるのがちょっと怖い気も…。


【修正!!】
Nさん!ご指摘大感謝!
もう、今月から超荒削り状態での発信になりかねんと
思っていたところに、
へんちくりんな日本語早速混入でございました…。
2ヶ所直させて頂きました。
たぶん、過去にも未来にも
凡ミス&シリアスミスオンパレードの可能性大。
みなさんの赤ペンチェック大歓迎でございますぅ。
取り急ぎ御礼申し上げます!!
2013.06.20.22:58

スポンサーサイト
プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


9万hit記念に
とりあえず作ってみた
CH専用Twitter
 


拍手1000パチ記念につけちゃいました。



かなり便利なサーチツール

登録サイト最新情報はこちらをチェック!


試運転中…

カテゴリ
最新記事
月別アーカイブ
検索フォーム
QRコード
QR
現在の閲覧者数: