25-02 We Need A Furniture ?

第25部 Narusawa 

奥多摩湖畔から13日目    


(2)We Need A Furniture ? ******************************************* 2639文字くらい




「午前中のうちに、シーツ洗わなきゃ…。」



抱えた掛け布団をまずは、

干すのはまだ早いとリビングのソファーに仮置きし、

諸々の準備を整え、

8時前に、不燃ゴミを無事に集積所に出し終えて、

6階に戻って来た香は、脱衣所でそうつぶやいた。




撩が、コトが終わったあとに、新しいものと交換をして

汗やら何やらかんやらで汚れてしまったシーツが、

ランドリーバスケットに詰め込まれている。

あのオトコがここまでしてくれたのは、2回ほど。

有り難く嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちで少しチクリとくる。



(ほ、ほんと、何か対策をもっと考えないと、

買い足した分だけじゃ間に合わなくなるじゃないっ。)



自分は、こんなに汗っかきじゃなかったハズなのに、と

先ほども、光熱費節約のため、

着替える前に、温かい濡れタオルを用意して、

手の届く範囲で軽く拭き上げた後、

撩に舐められまくった顔やら手先を洗面所で、

泡立て流し、すっきりさせたばかり。

また顔を赤く変色させ、眉を八の字にしながら、

洗濯槽にまずはシーツだけを移し入れ、

洗剤と漂白剤を投入して、スイッチをピッと押した。



「夏はもっと大変なことになっちゃいそうじゃな…。」



と、最後まで言う前に、

この先もずっとこんな毎日が続くことを

すでに極自然に受け入れてしまっている自分に、

ぼしゅっと顔面に血液が集まる。

ジーンズに、ピンクの厚手のカジュアルシャツの上からカーキ色のトレーナーを着込んで

朝の低温をやり過ごしていたが、

また体温が上がってしまって、

襟元をつまんで、パタパタと冷えた空気を送り込む。



「えっと、次はっと…。」



気を取り直して、洗濯機の前から一度撤退、

仮置きしていた、さきの掛け布団をベランダに移動させることにする。

リビングの扉を開けようとすると、

丁度、Tシャツとスウェットで廊下を歩く撩が目にはいる。



「あ、ごめん!まだ食事出来てないの。待っててくれる?」



撩がこんなに早く降りてくるとは思わなかったので、

朝食作りを後回しにしていた。

「あいよぉ。」

頭をぼりぼり掻きながら、あくびをしつつ面倒くさそうに返事をする。

「珍し…、何も予定がない時に、起しに行かなくても降りてくるなんて。」



香は、首をかしげながらトイレに向かう撩を見送る。

はっと思い出し、

相棒が新しく持ってきた起毛のシーツも風に当てなきゃと、

また7階と6階の往復をイメージする。

先に、リビングに入り、掛け布団をかかえ、ベランダに出た。

まだ肌寒い中ではあるが、コンクリートの柵によっと裏返しで布団を広げる。

「今日もお天気はよさそうね。」

午前中、少なくとも2時間は日に当てたいと、

回収する時間帯を計画する。

すぐさま再び撩の部屋に戻り、先ほどまで自分たちが横になっていた寝具を

整え始めた。



「あら?」



シーツをはぐると、バスタオルが2枚敷いてある。

「あ…。」

すぐに撩の仕業だと分かったのだが、

これまた恥ずかしい痕跡に、じゅうと顔が赤くなる。

「深く染みてなきゃいいけど…。」

湯気を出しながら、タオルをめくり、その下を手でさらりと触れてみる。

「だ、大丈夫、か、な?」

処置が早かったのもあり、2人分の体重が重しになっていた分、

余計なものはバスタオルに吸い取られたようだと、一安心する。

「こっちは、出したばかりだし、干すだけでいっか。」

バスタオルだけ洗う事にして、冬用シーツは客間のベランダで日に当てることにした。



「こんなことなら、寝具の予備も、タオルも、この部屋にあった方がいいってことよね…。」



ハッキリ言って、あのオトコと夜を過ごすようになって、

数倍以上に、寝床の洗い物が増加し、

交換や干し作業にかかる手間が他の日常生活を相当圧迫している感もある。



「は、恥ずかしがっていられないわ!コトは深刻なんだからっ!」



バスタオルをひっぺがしながら、撩の部屋にそれらをどこに置くか、

まわりを見渡してみる。



「な、ない…。」



このベッドには、マット下収納式の引き出しもなく、

撩の衣類と軽量級の寝具の予備が入っている、

ベッドの右隣りのチェスト以外、布をしまうところが見当たらない。

「な、なによ、もしかして、た、タンスか衣装ケースも買い足さなきゃダメなの?」

腕にかけたままのバスタオルを見ながら、

自分の衣類もいずれここに置かなければならなくなるんじゃないかと、

珍しく、そーゆーことに想像力がつながる。



置くとしたら、ソファーの隣りしか空きスペースはない。

ちろっとその空間を見る香。

すでにぼんやりと見えてくる遠くない未来に設置されるであろう家具が、

壁に幻として描かれる。

「も、もうっ!し、知らないっ!!」

そもそも、もっこりライフがこんな出費を生むとは露とも考えなかった香は、

なんとなく、ヨソ様のことが気になり始めた。



「他の人のところも、そ、そうな、の、か、…な???」



この手の情報に至極弱い香は、

浮かんだ疑問を残したまま、

やや湿ったバスタオル2枚を腕の中で軽く丸めて、

シーツと一緒に抱えて6階へ降りて行った。




溜め息混じりの若干重たげな足音に、

キッチンの撩は、ふと新聞から顔を上げる。

「な、なんだ?」

お怒りモードとは違うオーラの通過に、そっと扉から廊下を覗くと、

脱衣所に曲がる香の背中をチャッチ。

どことなく肩が落ちている。

「まさか、風邪ひいちまったかぁ?」

いつも背筋が伸びている相方の後ろ姿は、

珍しく丸め気味の角度。

今日は、体調不良だったら、ちょっとばっかし困るぞと、

耳を澄ませてみる。



ランドリーバスケットに撩がベッドに敷いていたバスタオルが

ぱさりと重ねられ、

そのまま撩の視線に気付かないまま、

ほんのり頬を赤くして、起毛シーツを持って客間に入る。



ベランダ側の窓が開く音の後に、布のすれる音がし、

やがて香が眉を下げ気味しにて、部屋を出てくる。

そこで、ドアから顔だけ出している撩とぱちっと目があったりして。



「わっ!な、なにやってんの???」

「いや、メシまだかなぁーと思って。」

「ご、ごめん、すぐ作るわ、待ってて。」

小走りでキッチンに入る香は、撩の脇を通ってシンクに向かった。

さりげなくカオリン全身サーチをする撩は、

特に、体調等問題なしと結果を出す。

ふっと一息出して、がたりとまた長椅子に座り直した。



時間は8時半前、

香はエプロンを纏い、てきぱきと朝食の準備を始める。

そんないつもの光景を眺めながら、

撩は、午後からの動きを思い描きつつ、

ギリギリまで企てはナイショにすることを密かに決めていた。



********************************
(3)につづく。





そのうち買いに行って下さい。

【誤植修正っ】
Nさんっ、感謝です!

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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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