25-03 Set Meal Of Salmon

第25部 Narusawa 

奥多摩湖畔から13日目 


(3)Set Meal Of Salmon ******************************************** 1973文字くらい



テーブルの上に、和食のメニューが整った。

鮭の塩焼き、出汁巻き卵、納豆、焼き海苔、

ほうれん草のお浸しにはシラスと削り節が散らされ、

豆腐と油揚げの味噌汁に青ネギが映え、沢庵の漬け物が加わり、

完全なジャパニーズ定食。

カロリー上の自給率はさておき、湯気があがる安心感のあるメニューに、

撩はさっそく箸を伸ばす。



「いったらっきまーす。」

「ど、どーぞ。」



目の前のオトコと昨晩過ごした残像が、ちらちらと脳の端っこでくすぶるも、

何とか消火して、食事に向かうことに。

香も自分の白米を茶碗につぐと箸を持って手を合わせた。

「い、いただきます。」

昨日、一昨日と、手抜きの朝食だったので、

今朝は、主食、主菜、副菜、汁物をしっかりと揃えてみた。

まるで、どっかの宿の朝ご飯みたいだわと思いながらも、

慣れ親しんだ組み合わせを味わっていく。




香は、どうせ聞いてもまともに答えてくれない可能性大と感じてはいるが、

食べながらとりあえず尋ねてみた。

「ねぇ、夕べどこ行ってたの?」

「あーん?気になるぅ?」

「ヘンなところで、ツケとか増やして来たんじゃないでしょうね〜。」

ジト目で相方のほうを見やる。

「ばっ、ち、ちげーよっ。」

「じゃ、なんなのよ?」

「今は、なぁーいっしょ!」

「はぁ?」

「ま、時期に分かる、さ。」

「………海坊主さんが」

「あ?」

「……準備だって、言ってた。」

「ごほっ!」

食べていたご飯と鮭が喉に詰まる。

味噌汁をぐいっと飲んで流し込むと、

目を閉じ眉間にシワを寄せてつぶやいた。

「あの、おしゃべりダコが…。」

直接撩から話したワケではないが、

恐らく教授から間接的に何かを聞いているのだろう。

ミックにも既に、某所を借りることがバレている。

垂れ流しの元は、あの狸じじいかと、源泉を確信するも、

ギリギリまで隠す作戦は、早々に足下が揺るいできた。



「あんた、一昨日の夜もそんなこと言ってたわよね。」

「あー、そうだっけか?」

とぼけてみる。

「必要なのを持っている人に会えなかったとか、なんとか言ってたじゃない。」

「そりゃ、解決済み。心配すんな。ごっそさん!コーヒー頼むわ。」

さっさと食事をすませ、爪楊枝を加えながら、

撩はそういい残してリビングに向かった。

その背中を見送りつつ、香は箸と茶碗を持ったまま、

何かある、とますます確信を持ってしまった。



ともあれ、この後は、

日課の縄跳びと、寝具の洗濯の続きをしなければならない。

伝言板も、昼食の前に行くか後に行くかまだ迷っているが、

キッチン周りの片付け具合で、方向を決めることにした。

「ごちそうさまでした。」

かしゃかしゃと、カラの食器をシンクに運び、

蛇口をひねる。

「縄跳びの後に、軽くシャワーを浴びておこうか、な…。」

何だかんだと今日の午前中も、こまごまとしたことで

埋まっていく。



「明日で、ちょうど2週間、か…。」



ヤカンに必要分量だけ水を入れ、ガスコンロに置くと火をつけた。

加熱している間に、洗い物を進めてしまう。

山の紅葉も随分と進み、時折ニュースでも見頃と見所が紹介されている。

きっと、奥多摩ももう黄色紅葉が最盛期に近いだろうと、

標高の高い場所の風景を思い描く。

このところ、週間天気予報も晴れの予報が続いている。

明日の夜だけ、北関東だけがややぐずつきそうな気配があるが、

抜けるのは早そうな雲の塊があるだけ。

あの教会の式から、天気が崩れたのは、1日だけであとは

比較的好天が続き、秋の行楽シーズンに大きく味方している。



「こんな仕事してるんじゃ、ゆっくり紅葉狩りってワケにもいかないわよね…。」



いつ何時、依頼が入るか分からない超不定期な業務内容に、

いつ何時、命を狙われるか分からない立場故、

週末、どっかに遊びに行かない?などと

気軽に動けるような面持ちにはなれない。



「ま、いっか…。また美樹さんに会いに行く時、教授のお庭でも十分楽しめるし!」



季節のうつろいは、出来る範囲で楽しめればいいと、

拭き終わった食器を戸棚に戻しているところで、

沸騰を知らせる笛がなり始めた。



「それにしても、一体何を企んでいるのかしら…。」



火を弱め、ミルを挽き、フィルターを用意して、

食後の1杯を準備する。

やはり、先ほどのやりとりでは、詳しいことはさぐることが出来ず、

うやむやに誤摩化されてしまった。



撩とケジメをつけたその翌日、

自分を鍛えると宣言され、実際この2週間弱で、

射撃訓練に護身術の指導を受け、基礎体力作りの課題も出され、

これまでにはなかった撩とのやりとりに、

いつ抜き打ちテストが入ってもおかしくないかと、

少しだけ生唾をこくりと飲む。



香は、注ぎ終わったコーヒーカップをトレーに移して、

揺れる黒い水面をちらりと見やる。

ふぅと一息吐くと、

すっと運ぶべきものを持ち上げ、

相方のいるリビングへと向かった。


************************************
(4)へつづく。





ホトトギス終盤から約2週間後が、
紅葉のピークとして計算してみました。
塩サケメニュー、マリーの時と次原舞衣ちゃんの時に、
出ていたような。

【放置宣言?】
受注業務の佳境に入り、
恐らくこちらにログインする時間がとれそうにない予感大です。
もくじ、続きのリンクが8月になってしまうかもしれません。
自動更新は引き続き1919に設定しておりますが、
色々と後手になってしまいますことを先にお詫び申し上げます。
足跡は出来るだけ見るようにしておりますので〜。
Sさ〜ん、いつもありがとうございます。
お返事今暫くお待ち頂ければと思います。
他、お返事を早くお送りしたい方が多数いらっしゃいますが、
何分要領が悪過ぎて溜め込んでおります。
猶予を頂きたく存じます。
こんな状態で申し訳ございません…。
[2013.07.25.17:10]


【誤植連絡感謝!】
Sさま、ありがとうございます!
「話した」の移動完了です。
重ね重ね感謝です。
もう何やってんだか〜と、
これまで、頭の中で修正して下さって
読んで頂いた皆様、申し訳ございませんっ。
2013.12.15.03:25

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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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