25-05 Ramen Noodles In Soy-Souce Flavored Soup

第25部 Narusawa 

奥多摩湖畔から13日目  


(5)Ramen Noodles In Soy-Sauce Flavored Soup ***********************2345文字くらい



もろもろの日課を片付けた香は、

キッチンで昼食の準備にとりかかる。



縄跳びの前に冷凍庫から取り出していた凍ったチャーシューは、

2時間の間で少し柔らかくなったが、

この季節では完全自然解凍までには届かず、

レンジで少し温めることにした。

美樹に教わった、手作りの味付けは、脂身の旨味とあいまって

なかなかの仕上がりとなっている。



撩は3人前、自分の分は1人前で麺を用意し、

戻したワカメに、白ネギに、焼き海苔を添え、

胡麻を散らして、輪切りにしたチャーシューをたっぶりと乗せる。

とりあえず醤油味のスープで、ラーメンが出来上がり、

撩を呼ぶことに。





「りょー、出来たよー。」

リビングにいるかと思ったら、不在。

「あれ?」

さらに、あれっと思うことが。

「あらら?布団がない!」

まさか、下に落ちたか飛ばされたかと、慌ててベランダを覗くも、

その痕跡はなし。

「へ?じゃ、ど、どこいっちゃったの?」

と振りむいたところで、リビングの開いているドアの向こうを

撩が横切る。

「あと、おまぁの部屋のシーツを取り込んどけばいいんだろ?」

そう言いながら、進行方向は客間へ。

「え?な、なに?ど、どういうこと??」

香がキッチン方面への角を曲がった時には、

すでに香が自室のベランダに干した起毛のシーツを撩が抱えて

部屋から出るところ。

「とりあえずこいつは、上に持ってっとくぞぉ。」

「あ、あ、ありがと…、って、どうしてこのタイミングで取り込むこと知ってたのよ?」

すれ違う背中に向かって、ダイレクトに疑問を投げてしまった。

「あー?午後出るからだろ?十分陽に当たってるみたいだから大丈夫だろ。」

とさらっと言いのけると、すたすたと7階の自分の部屋に向かい、

ちゃちゃっとベッドにセッティングする。

「んじゃ、食いにいきますかね。」




キッチンでは、香が赤い顔をして訝しがりながら、

コップに水をついでいた。

入ってきた撩に気付いた香は、コップをすっと配膳する。

「の、伸びちゃうから、早く食べちゃって。」

「あいよ。」

がたりと座った撩は、先にレンゲでスープをずずっと味わうと、

満足そうに、一気に麺をずるすると搔き込み始めた。

頬を染めたまま、香も席につき、撩をちらりと見ながら、箸を持つ。

「い、いただきます…。」

香も、スープ、麺、具の順番で最初にそれぞれを味わう。

「……あ、あのさ、あんたって、そんなに家事に手ぇ出すヒトだったっけ?」

「んあ?」

撩は麺をすすったまま、きょとんとして香と目を合わせる。

どきんとして、すぐに視線をそらしてしまった香は、

しどろもどろに続けた。

「こ、これまでさ、食事つくったりさ、ゴミ捨てとかさ、

お布団取り込むなんてさ、殆どしなかったじゃない。」

つるると数本の麺を吸い上げてから、また疑問に感じている事案を話し始める。

「なんかさー、撩らしくなくって、やっぱり慣れないよ…。」

眉間に浅いシワを寄せて、赤らんだままでそんなことを言うパートナーの心理も当然かと、

撩は醤油ラーメンを食べながら、くすりと笑った。

「夕べ、布団は手伝うっつーただろうが。」

「……あ。」

「それにぃ、快適なもっこりライフの為の努力はおし」

ここで、恥じらい1トンハンマーが飛んだ。

「だっ!」

アゴにヒット。

香の耳から、照れと怒りの混じった湯気がしゅうしゅうと上がっている。

「なっ、なによ、それっ!

そ、それじゃ、い、今までは、で、で、できなかったから

家事手伝わなかったって言うワケぇ?」

はぐはぐと食べる折角のチャーシューの味が分からなくなる。

「ばぁーか。ちげぇーよ。」

打ち所をさすっていた撩も、ラストスパートで、ずずずっと麺をすする。

「夜の営みでぇ、お疲れのかおりちゃんのぉ、負担を減らすために決まってんじゃなぁ〜い。」

どんぶりを持って、箸を持った手を頬に当て、くねくねおねぇモードで返す撩。

2度目の1トンハンマーが顔面にヒット。

「ぶっ!」

ころんと脇に落ちるハンマー。

「聞いたあたしがバカだったわ…。」

眉はへの字になり、伏せ目で香もまた残りの麺と具を搔き込む。



「さっさと食べてちょーだい。駅に行く時間が遅くなっちゃう。」

「あい…。」

撩は円形に顔を凹ませたまま、ごくりとスープを飲み干した。



確かに、関係が変わってから、

体力的にも精神的にも香の負担増は否めない。

しかし、撩がこれまで全面的に香に日常生活の管理を任せていた理由は、

他にもあったりする。



香の居場所と仕事を奪い取らないための一種の配慮、

それは、香がパートナーになった時から

撩が自分で勝手に作った自主ルールのようなもの。



一線を越えた今、

冗談抜きで香には大きな負荷があることは間違いないので、

主夫的行動も、快適もっこりライフのためというのはウソではない。

むしろそれが100%。

ただ、これまでとのギャップが激し過ぎて、

香もこの状況が飲み込みにくいもの承知の上。

また別人じゃないかと思われたらかなわないので、

ほどほどにサポートだなと、

撩は対面に座る香を見やりながら苦笑した。



「ごっそさん!出る時に声かけてくれ。」

「あ、うん。」



撩は、戸締まりをやや念入りに見回り、

回し終わった洗濯物第2弾を乾燥機に突っ込んで、起動させる。

「ほかは、ない、か。」

自室に戻り、スゥエット姿からいつもの外行きのスタイルに着替える。

「ま、一晩だけなら、いっか。」

そう言いながら、手にした防寒用の重ね着を戻し、

ぱたんとチェストの引き出しを閉めた。

ジャケットのポケットに入っているキーが手に触れてちゃりっと音を立てる。




「りょーっ!準備できた?」

片付けが終わり、出かける準備が整った香が

下から呼びかける。

「ああ、今行く。」

パイソンを携え、襟をくっと締めると、

撩は吹き抜けに姿勢よく降りていった。


*******************************************
(6)につづく。





香の居場所のためにという、理屈はともかく、
カオリンに世話してもらっていることに、
ヤツなりの甘えがあったかもね…。

【嬉しいニュース!】
リメイクしてほしい!懐かしの90年代アニメランキングに堂々1位っ!!!
http://news.nicovideo.jp/watch/nw705974

教えて下さった皆様ありがとうございます!
ファンとしては感涙ですね〜。
2013年5月31日から6月3日で1069名のご回答で、
この数字は有り難いもんです。

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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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