25-11 Initial Invasion

第25部 Narusawa

奥多摩湖畔から13日目    


(11)Initial Invasion ************************************************ 1295文字くらい



「ほぉ…。」



最初のロッジ侵入の一部始終を見ていた撩。

実は、香の動きを追い樹間を渡って、

見えやすい位置に移動していた。

もちろん、

香がイヌザンショウの枝を握って痛い顔をしたのもチェック済み。



「どこで覚えたんでしょうーねぇ。」



まるで、何かの刑事ドラマのワンシーンを

そのまま真似たようなアクションに、

頬杖をついてくすりを笑う。

「まぁ、間違っちゃいないわな。」

ふっと息を吐き出し、続きを鑑賞することに。



ロッジの玄関で、ローマンを構えたまま、

香はゆっくりと中へ入って行く。

向かって左手にある扉付き部屋は、恐らく洗面所と押し入れ。

小さなキッチンは、壁面にこぢんまりと設置されている。

テーブルも椅子も何も無い、板張りの10畳ほどの空間は、

カーテンが閉めてあるので薄暗く、

床にはどこから入ったのか枯れ葉も数枚が落ちていた。



(まずは、あそこを確認してからね。)



香は、人の気配がないことを確信しつつ、

人質がどんな状態なのか全くイメージを持っていなかったので、

「誰かが生きている」気配を得られなくても捜索をすべきと、

全ての空間を見て回ることにする。



壁際にひたりと背を当てながら、目的のドアに近付き、

自分の姿が見えない様に、素早く開放。

手前側に開いたドアは、また油の足りない音を出して

中途半端なところで動きを停めた。

そっと顔だけドア枠の中に入れた香は、

その暗い空間が水回りであることを知る。



「ふぅ…。」



閉めるのは後回しと、隣りの扉に左手をかけ、

右手でローマンを顔の横にもってくる。

同じ様に、最初のアクションで中側から己の姿がダイレクトに見えないよう、

ドアを開け放つが、やはり想像通り押し入れとなっていたが、

中はからっぽ。

もちろん人が潜んでいる痕跡も気配も全くない。



「はぁ…。」



肩から少しだけ緊張感が抜ける。

この建物には、何もない、そう確信してはみたものの、

これから先、同じ様に残りのロッジを確認しなければならないことに、

このスタート時点で気分的にかなり疲労してしまった。



「もう…、早く探さないと暗くなって身動きとれなくなるじゃない。」



カーテン越しの外の明るさは、

もう部屋の中でライトが欲しくなるレベル。

香は、律儀に自分が開いたドア2つをちゃんと閉めると、

出口に向かった。



「あっと、すぐに出ちゃだめよね。」

つい、そのまま¨おじゃましまたー¨と気軽に出てこうとしたが、

本番のつもりで臨めと指示があった以上、

ここでも気を緩めるワケにはいかない。

ひたっとまた壁に背を密着させ、

低い位置から外の様子をうかがってみる。

すでに、まわりは暗く折角の紅葉黄葉も夕闇に塗られてき始めた。



「つ、次はお隣り、か…。」



あてずっぽうで、ランダムに侵入を試みるよりは、

奥の建屋から順に攻めることを選んだ香は、

一体何番目で人質を発見できるのか、

出来ることなら、前半戦であってほしいと、ささやかに祈る。



時間も気にしつつ周囲を警戒しながら、

玄関を慎重に出て、アプローチの階段を降りると、

両手でローマンを持ち、身を低く構え、

次の目標物の外周から見て回ることにした。


***********************************
(12)へつづく。





頑張れ、カオリン。

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きまりも

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5周年記念に
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シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


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ホトトギスの英名。
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