26-03 Goal

第26部 Mountain Villa

奥多摩湖畔から14日目の朝    


(3) Goal ******************************************************* 1140文字くらい



感覚的に15分歩いて3分休憩、

こまめな休息が、疲れを軽減させることを歩きながら修得した香。

一歩一歩前進して行くと、

トレイルの路肩に

ちょうど腰を降ろすのにちょうどいい切り株が目に入った。

やっとそこで、背中から重さを一度解放すことに。



「よっと…。」



チェーンソーできれいにカットされたと思われる切り口には、

数えられる年輪が100近くある。

小さなテーブルにもなりそうな、切り株の根元に寄りかからせるように

人形を降ろそうと、香も背負ったままかがんで腰を落とした。



「ふーっ。」



背中から熱が引いていくのが分かり、

ぶるっと小さく震える。

一体どれくらい登坂できたのか、

腰のカメラバッグから地図とボトルを取り出す。

先に水分補給だと、飲み過ぎに注意して喉を動かすが、

気分は一気に残りを流し込んでしまいたい衝動にかられる。

それをぐっと抑えての給水に、水分不足を感じ始めた。



「あ、あと、どれくらい、かしら…。」



地図を指でなぞりながら、時間も確認する。

明け方出発してから既に2時間経過。

長針と短針は朝の8時を示していた。



「うそぉ!もうこんな時間なのぉ?」



どうりて太陽も高くなっているはずだと、

途中途中で時間を確認できなかったことは、

自分の感覚だけでは、アテにならないことを思い知る。



「ん?だけど、もうちょっとじゃない?」

周囲の地形がそんなによく見えるわけではないが、

尾根の両サイドから確認できる手前と奥の地形と、

等高線の入り方を見ながら、

もうすぐ標高800メートルのところに手が届くことを知る。



「い、いかなきゃ!」



ここでのんびりしている場合ではない。

香は、地図とボトルを慌ててバッグに押し込め、

ここで食べようと思っていたチョコのことも忘れ、

人形をかかえて切り株に座らせると、

また反転して背中から腕をとり、よっと言いながら背負い上げる。

両腕で人形の腰から腿を支え、また本ルートに戻る。



「も、もうすぐ、よっ……。」



自分にも人形にも言い聞かせるようなつぶやき。

歩き始めて間もないところで、

バンダナをおでこに巻くのを忘れたと、気ばかりが焦って

しようと思っていたことをいくつかし忘れてしまった。

「あ、チョコも…。」

しかし、それ以前にゴールが近いと感じ、

傾斜を進む足も力が入る。



「あと、少し、じゃない、かな?はぁ、ふ…、はぁ…。」




やがて上り坂が途切れ、

視野を覆っていた樹木のトンネルの出口が見える。

尾根を上がりきった先には、

広く開けた森の空間が出てきた。

その真ん中に建つ立派な山荘が香達を出迎える。



「つ、ついたぁ…。」



第一印象は、自分がかつて拉致され連れ込まれた

北條のぼんぼん所有のアノ山荘と似ている、

そんなことが思い浮かんだ。


******************************
(4)へつづく。





短いですが、到着の様子ということで…。
完全版23巻、第239話で登場した、
カオリン拉致現場の山荘をレイアウトの参考にと。
暖炉の前の柵と、とカオリンが座っていた
1人用ソファーは削除しちゃいます。
すでにあの山荘でクリスマスツリーが2つも飾ってあったのは、
ちょっと気が早い感じも…。
これもここでは使いませんということで〜。

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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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