26-11 A Little Bit ...

第26部 Mountain Villa

奥多摩湖畔から14日目の朝    


(11) A Little Bit ∙∙∙ ************************************************* 1611文字くらい



(うー、ローブの紐、解きてぇぇぇ…。)



前みごろの合わせから覗いている

ふくよかな谷間、

撩に密着していることによって、より深く見える魅惑のYの字。

香は完全に安心しきって、

スースーと寝息を立てている。

昨晩は完徹に近かったことをうかがわせる熟睡ぶりに、

ちょっとやそっとじゃ起きそうにない。



目の前にいるのに、触れられない状況を丸一晩体験し、

妙なストレスを溜め込んでいる撩。

やっと抱き込めるまでの時間に持っていったが、

この先は、とりあえずお預け。



上質なムートンラグの上で、

フタコブラクダの毛で織られたやや重たい毛布に包まれ、

程良い輻射熱が当たる距離で横になり、

部屋も十分に加温され、

追加した薪でしばらくは熱源を失うことはない。



炎で材が弾ける音を耳にしつつ、

撩は窓のほうをちらりと見やる。

まだ9時台、外から入る朝日の斜光が、

部屋の壁に木々の揺らめきを映す。



(ちょっとだけ…。)



もっと触りたいモードの撩は、

香が目を覚まさない程度に、前菜のつまみ食いを始める。

左腕を枕にしている香の顔に、そっと右手を添えてみると、

頬がしっとりと手の平に吸い付いてきた。

それだけで、その部位だけにマイクロ波でも当てられたかの様に、

内部からじんわりと熱くなる。



己の片手で全て隠れてしまう、その愛らしい小顔に軽く唇を寄せる。

額に、鼻筋に、頬にと、言葉通り、ちょっとだけのキス。

のつもりが、

つい香の下唇もはむっと挟んでしまった。



「……ん。」



わずかに身を捩るが、すぐにすぅと力が抜け、寝息が続く。

(いかん、いかんっ!起しちまうと、この後に響くっ!)

また深い眠りに落ちたのを確認すると、

寝顔を見つめ降ろしながら、

また右の指を櫛のようにして、香の左側頭をゆっくりと掻きあげる。

自分の左腕は、香の半身にからめ、腰の一番細いところで落ち着いている。

撩は長い息を吐く。

頭は、今はゆっくり寝かせるべき時間だと、分かっているのに、

体は、もっと触れたい、よりキツく抱きしめたいと訴える。



目を閉じて、唇を額に触れさせたまま、左腕をじわりと動かして

バスローブ越しに、

香のボディーラインを手の平に辿わせる。

もうそれだけで、自分の腰が反応してくる。



(匂いかぐだけ…。)



鼻先を緩いくせ毛に刷り寄せ、すーっと吸い込む。

普段とは違うシャンプーとリンスの香りに、

いつもとは異なる場所であることを、再認識させられる。

このまま¨ちょっと○○○だけ¨を繰り返していたら、

いつか最後まで致してしまいそうなので、

落ちそうな坂道をサイドブレーキでぐいっと踏ん張る様に、

ストップをかける。



今、見えるところに傷はないが、

この一連の流れで、こまごまとした痛みを負っているはず。

ある程度は避けられないと思ってはいたが、

やはり、このオンナの体に少しでも何かが残るようなことは

どんな形であっても受け入れ難い。



盲腸の入院騒ぎを思い出す。

執刀医までに、胸苦しさを覚えた。

自分でさえも触れたことがない場所を、見て触れる上に、

肌にメスを這わすことに、治療治癒のためだとは分かってはいても、

激しく抗議をする内なる思い。

それをごまかすために、散々香をからかったことを振り返る。

引き続いて浦上氏の登場。

いい加減に、香と自分自身に素直に向き合えと、どこぞからのメッセージだったのか。

2年前の秋がちらちらと瞼の裏に散って行く。



ガタリと音がしたのは、炭化した薪が重力に負けて火床に落ちたもの。

ふっと目を開ける。

(目が覚めたら、覚悟しとけよ、かおりちゃん。)

起さない程度に、

またぐっと腕に力を込めて、自分のほうへ抱き寄せる。



窓の外の梢に、小鳥の影が数羽分動いた。

すっと太陽の光線が陰る。

関東の一部に残っていた雨雲が、どうやら移動してきたらしい。

少しだけ暗くなったフロア。

燃える暖炉の前に横になる撩と香。

外からの光り加減も、遠慮しているかのようなタイミング。



(下り坂の予報だったが、着いてからで良かったぜ…。)



撩も、またつと目を閉じて

香の目覚めを待つことにした。


*******************************
(12)へつづく。






ようやく次が一区切りです。


【昨日の名月】
見事な満月でしたね〜。
月ネタの二次を読みたくなりました。


【今日ももっこりふれあい広場】
という看板が、バスの車窓から見えた、
と思ったら、「今日もにっこりふれあい広場」でした。
もう色んな意味でダメかもしれん…。
9万ヒットイベント、今暫くお待ち下さいませ…。


【ひーんっ】
十波ちゃ〜ん…(泣っ)。
今月一杯だそうですぅ。

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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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