28-02 Settlesort

第28部 Let’s Head Home

奥多摩湖畔から14日目の夕方から夜   


(2)Settlesort ***************************************************** 3986文字くらい



時間は少し遡る。



香との初の3連射をなし得た後の撩は忙しかった。

本当は、

このまま泥の様に一緒に意識を飛ばしたかったが、

この山荘で一泊する予定はない。



それ以前に、

訓練を終えた香とここまで抱き合うことも

実は想定外のことだった。



(いやな、…本当は1発だけってつもりだったんだがな…。)



徹夜に近い状態で、

重装備の移動の後は当然深い疲労があるはずだと、

ある程度は自粛しようと、思ってはいた。



しかし、プチン、プチンと己の理性の紐を切ってしまったのは、

香のバスローブ姿であり、

一緒に逃げられないとこぼした切ない表情であり、

暖炉の火であり、

羊と駱駝の毛の感触であり、

珍しく積極的な香の色気であり、

一晩渇望に耐えた反動であり、

香の作ってしまった傷でありと、

多くのハサミが用意されていた。

お陰で持っていた手綱は、きっちりぶつ切りカットされてしまう。



初心者の香に、

オトコを知ってまだ半月も経っていない若葉マークのオンナに、

間髪なしのもっこり3発は、

もしかしたら、本題の訓練よりも疲労させてしまったかもしれないと、

苦笑する。



「俺も、…ナマ3連発なんて初めてなんだぜ…。」



くったりと脱力している香をくいっと抱き直す。

初体験をいくつも味合わせてくれる香に、

感謝を込めてちゅっと唇を寄せるも完全に無反応。



とりあえずは暗くなる前に、この山荘を出発するイメージで、

撩は後始末を始めることにする。



ゆっくりと引き抜いた息子は見事なまでに白樺状態となり、

栓をなくした香の秘部からは、愛液が空気と一緒にポコリと溢れてくる。

羽織っているバスローブの裾で応急処置的に互いの器官を拭き上げると、

乱れた香のローブを胸の上で合わせ包み、

クッションを枕にさせ、キャメルの毛布をそっとかぶせた。



「ちょっと待ってろよ。」



のっそりと起き上がり、自分のトランクスを拾い上げ、とりあえず履いておく。

はだけたバスローブも一応直して帯を締める。

進んだ先は、脱衣所。

たっぷりと予備があるふかふかのフェイスタオルを数枚選び、

そのうちの1枚を温かいお湯に浸して、軽く絞る。

洗面器にも適温の湯を張り、乾いたタオルと一緒に運ぶことに。



居間に戻ると、暖炉の火はだいぶ小さくなっていた。

香のそばによっと腰を降ろすと、

顔から布を当て始めた。

あれから、香の体を清めるのは自分の責務だと、

慣れた手つきで、白い肌を丁寧に拭き上げる。

本当は、このままあの風呂場へと連れ込みたかったが、

初めての入浴は、やはり香の意識がちゃんとある時のほうが楽しいだろと、

またいずれと、うずうずと蠢く願望にとりあえずフタをして先送りする。



緩く絞った温かいタオルを全ての表皮に這わせながら、

他の男にさせてたまるかと、

この仕事は終生自分の担当であると、

愛おしく汗や愛液を拭い取っていく。

邪魔なバスローブも、用をなさなくなったキャミソールも

細い腕からそっと引き抜き、

うなじに背中に上腕にと、やり残しのないように仕上げを施す。

ほどなく別のフェイスタオルで、乾拭きも終え、

用がすんだ布地は洗面器へ。



「よく寝てるよなぁ…。」



無防備な姿をさらしている姫を見つめながら、

手を出せなかった過去がちらりと過(よぎ)る。

今は、遠慮はいらないと、

ゆっくりと覆い被さり、前髪をかき分け、額に吸い付いた。

まだ、すー、すーと寝息を立て、

完璧なノンレム睡眠に堕ちている香。

撩は脱がせたキャミソールを丸めて自分のローブのポケットに詰めた。

もはやこれも無意識の習慣。



「さてと、上に行きますかね。」



バスローブを雑にまとわせたまま、

お姫様抱っこで香を優しく持ち上げると、

スリッパをひっかけ、撩は軽い足取りで、2階の客間へと運び込む。

湿り気のあるタオル地のローブを取り去り、

完全裸体でベッドの上に横たわらせ、

備え付けの軽い高級羽毛布団をぱさりとかけて香の姿をほぼ隠す。



「とりあえず休んどけ…。」



すでにそこには、

あらかじめアパートから持ち出し運び込んでおいた

香の衣類がチェストの上にたたんで置いてある。

前日の下準備の時にセットしていたもの。

エレクトラに注文したものも含めて、

きっと訓練で着ていた衣類は汚れてしまうだろうと、

帰宅用の服をナイショで準備していた次第。

バレないようにローテーションを見極め、

引き出しの奥のほうから選択してきた。



「っさてと!」



撩は、香の着ていたバスローブを腕にひっかけ、

窓際のオイルヒーターに手を伸ばし、スイッチをオンにする。

温度調整をし終わると、

ぽりぽりと頭を掻きながら、ひょこひょこと部屋を出て行った。



その後、浴室に向かい、自分も汗を軽く流して、

香と自分が使っていた水分を含んだバスローブとタオル類を

洗濯機に放り込んだ。

いい加減に洗剤と漂白剤を投入し、起動スイッチを入れる。



いつもの服に着替え、

靴も置きっぱなしにしていたものを履き替える。

暖炉のあるリビングに戻ると、

毛布を簡単にたたみ、ソファーにかけ置き、

ムートンラグを手で撫でながら、余計な痕跡がないかを確認。

管理人は、ばあさまとは言え教授の類友、

あからさまに痕を残していくのはバツが悪い。



ふうと一息ついて立ち上がれば、もう暖炉の火は消滅寸前だった。

ソファーの長椅子に横たわらせたダミー人形は

毛布をかぶせた状態でそのままにし、

香が腰に巻いていた大きなウエストバッグをひょいと持ち上げる。

きちんと揃えてあるトレッキングシューズも指2本でひっかけ、

綺麗に積み重ねられた香の衣類も一緒に抱え、

出入り口に向かった。



見かけによらず、

中から閉めると外からは簡単には開かないセキュリティーの高い扉は、

内側からの移動には労をかいさない。

この建物の全ての窓ガラスは防弾仕様であり、

地下にも深いシェルターがある。

見た目は、ただの小洒落た山荘ではあるが、教授自慢の秘密のアジトは、

ゼンリンの地図にも載っていない。

いざとなったら、

危険が差し迫っている依頼人を避難させるにも使える場所として、

香にもその場所を共有すべきという意味合いも含め、

このフィールドを選んだ。



撩は、雨上がりの山荘の外に出ると、

クーパーのトランクを開けた。

持っていたものを仮置きすると、

中から香のカジュアルシューズをつまみ上げる。

ふと見上げる空には、切れ切れに青さが出ているが、

もう周辺は夕闇が近くまで迫っている。

出来れば明るいうちにここを出発したいと、

開けたトランクをバンと閉めて、

再び山荘の中に戻った。



「あれも片付けちまわねぇーとな…。」



香が休む部屋に一度戻り、靴を置いてくると、

暖炉の前の片付けに手を出す。

木製のローテーブルには、

朝方、撩が準備した食事の跡がそのまま放置。

トレーを重ねて、カップを4つ片手で集め、

持って来たものを全てキッチンに運び、

ビルトイン式の食器洗い器の中に、ちゃっちゃかと並べる。

まだそんなに普及していない便利な家電。

早々に、ここにはちゃんと備えてある。

冷蔵庫をパカっと開けて、食材を確認するが、

保存は効くも一手間二手間かかるものが多く、

鼻から一息出すと、パタンと閉めて外食を選択することにする。



お互い、昨晩は非常食でごまかした夜食に、少量の朝食の上、昼食抜きで

激しく愛し合っていたのだ。

手間を増やすよりは、早く移動してしっかりしたものを食べるべきと

今後の動きを計算する。



「目ぇ覚めたとき、少し何か食わせるか…。」



撩は、テーブルの上に置きっぱなしだった、

ミネストローネの缶をひょいっと持ち上げると、

雪平鍋に水を入れ、ガスに火を付けた。

湯煎の間に、食器棚からカップを取り出す。

朝、使ったコーヒーセットもそのままだった故、

すぐに片付けるのももったいないかと、

ヤカンで1回分の湯を沸かし、ミルを挽く。

フィルターを変え、細かく粉砕された豆を入れ、

陶器のドリッパーにセットすると、

ちょうど沸騰した湯をコンロから下げ、こぽこぽと注ぐ。

待ち時間の間に、シンクに寄りかかり、

煎れ立ての黒い液体をくいっと喉に流した。

はぁと、一息つき、小さい泡が出始めた鍋をちらりと見やる。



香との生活が始まってからも、やめなかったオンナ遊びは、

いつしかコトが終わった後に、

不快感や、苦々しさ、息苦しさしか残らなくなり、

抱いていたオンナの顔が、

香に置き換わったことも一度や二度では効かなくなっていた。




本気で香を失いたくないと思う様になってからは、

他の女を抱くことがもはや激しい苦痛となり、

香に正直に伝えた通り、

ヨソのオンナに手を出そうという思いは、

もはや自分の心理から完全に追いやられていた。



今、長年の大きな波風を越えて、ようやくケジメをつけ、

やっと肌を合わせられる関係に辿り着いた。

事後のこの心地よさは、これまで経験したことがない

全く未知の感覚。



満足感の中に、新たな渇望が予備軍として沸き上がり、

幸福感の中に、小さな罪悪感がわずかにくすぶり、

爽快感の中に、何かの浄化作用を感じたり、

ただ、お互いの性器を擦り合せるだけの行為なのに、

香は、その生々しい所業にさえも神々しさや神聖さを常に感じさせ、

「特別」という表現だけでは追いつかない別枠別格の位置を思わせる。



オトコとして、

これを知らないまま人生を終えていたとしたら、

どんなにもったいないことだったかと、

考えるだけでそら恐ろしくも感じる。



「……んと、すげぇよな、…あいつは。」



ぼそりとこぼれる独り言。

カップのコーヒーをくいっと飲み干すと、

シンクの桶に沈め、沸騰した湯煎中の鍋の火を止めた。



「鍋つかみは…と。」



程よく加熱された缶を缶切りで器用に開けると、

酸味のある香りがキッチンに漂う。

白いマグカップに注がれる野菜がたっぷり入ったスープは、

湯気を上げながら、分配される。



「んじゃ、持って行きますかね。」



こうして、撩の用意したミネストローネは、

香が休んでいる2階へと運ばれて行った。


************************************
(3)につづく。






撩なら、1晩で何発でもって感じですよね〜。

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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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