28-18 Sort Out

第28部 Let’s Head Home

奥多摩湖畔から14日目の夕方から夜 


(18) Sort Out ******************************************************* 2458文字くらい



一方香は、脱衣所で洗濯槽の中身を

乾燥機に移し入れていた。

その表情は、選択肢に迷う顔。



「どうしよう…、お風呂。」



思い返せば、

今朝方、山荘に着いてからすぐにシャワーを浴びて、

髪の毛も洗っている。

撩の手際が良かったのもあり、

情事の痕跡もきれいに拭われている。

それなりに汗はかいたが、

頭皮はどうかと今一度自分の指をくせ毛にくしゃりと通してみる。

洗髪を間1日、2日と置いたときは、

皮脂で指先にいらない艶がついてくるが、

いたってスッキリ壮快。



「今晩は、いっか。」



光熱費節約だと、入浴を見送ることに。

乾燥機に第1弾の洗い物を押し込み終わると、

スイッチをピピピと操作し、作動させる。

すぐに、第2弾の薄い毛布とその他衣類を洗濯機に投入し、

洗剤と漂白剤を入れてスタートボタンを押した。

「毛布とかは明日にしよっかな。」

そこまで済んだところで、

んーと背伸びをしながら、客間に向かった。



ドアを開ければ、

ソファーの上に訓練で持ち歩いた大きなウェストバッグが

口を開けたまま放置されている。



「これ、どうしよ…。」



こまごまとした備品は、これからの仕事でも

もしかしたら携えた方がいいかもしれない物品もあり、

しばし分別に悩む。

とりあえずソファーに腰を下し、一品一品見ていくことに。



「でも、あたしが普段持ち歩いているバッグも、

色々入っているからキツキツなのよねー。」



ローマンを始め、手榴弾やら閃光弾やら、行動食やら、

軽装備でも手帳に折り畳み傘に、財布、

大きめのハンカチ、ティッシュ、手鏡、リップクリーム、

カギ付きキーホルダー、筆記用具、財布に、裁縫道具、エコバッグ、

絆創膏、安全ピンにゼムクリップ、小さく折ったビニール袋、などなど、

結構モノが詰め込まれている。

一応その場に応じて各種ハンマーも出てくることになっている。



「うーん、ヘッドライトは大き過ぎるわよね。持ち歩くんならペンライトの方だわ。」

香は、ヘッドライトのゴムを引き寄せ、

電池が入っている裏蓋を開けた。

必要ないときは電池を抜いておかねばと、

4つの単三電池を取り出した。

「えーと、巾着袋かチャック付きポリ袋は…と。」

鏡台の引き出しを開けガサガサと探し、

ちょうどいい大きさの布袋を見つける。



「あ、あった。」



これにセットで納めて、また夜間の作業が必要な時に準備するか、

それともクーパーのトランクに入れておくか、

また後で考えることにする。

ペンライトはそのまま自分のショルダーバッグへ。

「もうこの地図は早々には使わないかな?」

折り畳まれた国土地理院の地図は、本棚の隙間に挟み入れた。

食べ残した行動食も、開封してしまったので、

近日中に少し加工して食べてしまわなければと、乾パンの残りを確認する。

布ガムテープも残り少なくなり、容量も割に使える長さが短いので、

ごみ取り用にでも使って早く消費したほうがいいかと、

横に取り置くことにする。

ビニール袋に、折りたたみ式ナイフはショルダーバッグの中へ。

「ワイヤーはどうしよう…。」

確かにこれがあれば、対応できる幅が格段と広くなる。

「外ポケットに入るかな。」

ワイヤーの円を少し調整して小さくし、

バッグの外付けポケットに入れてみる。

「あ、はいった!」

普段は工具箱に常備しているものであるが、

持ち歩き用のリストに入れることに決定。



管理するモノが増えると、それなりに手間も多くなるが、

それも致し方なしと、

万が一の時に備えて、日頃の持ち物を再確認し、

撩から渡された小道具の分別に区切りをつけた。



「着替えよっかな。レシートとかは明日でいいや。」



よっとソファーから立ち上がり、

インナーに着替えるべくタンスの前に立つも、

はっと息を飲んで、

引き手に指をかけたまま動きが止まってしまった。



「つ、続きって…車で言ってた、わよね…。」



家事モードになっていた時には、

別の場所にしまわれていた記憶がひょいっと台頭してくる。

とたんに、かぁぁぁと頭のてっぺんから足の指先まで

赤く色が変わった。



「ぅぅ…、ど、どうしよう…。」



決してイヤではない。

ただ、そう何度もしていいものなのか、

とやや疑問に思うと同時に、

自分がおかしなことをしでかしてないだろうか、

他の人と比べたら、ダメなところばかりのはずなのに、

自分では不十分ではないだろうかと、

そんなネガティブな思いはまだまだ潜在している。



「こ、こっちにしようかな…。」



綿100%の長袖の可愛い系パジャマを着ようとしていたが、

引き出しの奥にある

絵梨子の試作品の押しつけに手を伸ばした。



シルク100%のサテン生地に、

白地を基調としたセパレートナイティー。

上品な高山植物の花が全体に施されている。

水色や紫、ピンクの花弁はクワガタソウ属の特徴を表現。

はっきり言って、自分には価格も質も合わなさ過ぎると、

来客用の備品として取り置いていた。

それを選ぼうとしている自分の心理変化にも小さく驚き、

また、顔を赤らめながらゆっくりと花柄の生地を広げた。



香は、ごそごそと来ていた服を脱ぐと、

そっと上着の袖に腕を通す。

つるりと滑る感触がくすぐったいが、

すぐにほんのりと自身の体温によって布地が温まる。

ボトムもくいっと腰まで上げると、

ちょうどいい腰の締め付け具合のゴムに、

快適さをより感じた。



幼稚な格好でがっかりさせたら、申し訳ないと、

ちょっとだけ勇気を出して、

強制的に彼女から手渡された

このセットを着てみることにしたが、

慣れない感触にギクシャクしてしまう。



「…で、どうしよう…。」



着たはいいが、この後どうしたらいいのか、

体が動かない。



この客間で寝るという選択肢は選べない。

なら、撩を呼びに行くべきなのか、

先に上に上がって待っているべきなのか、

それともここでぐずぐず時間を潰して、

向こうから迎えにくるまで待ったほうがいいのか。




「……は、歯っ、磨いてこよ!」



ひとまず脱いだ服をテキパキとたたみ、

そのまま座っていたところへ仮置く。

パタパタとスリッパの音を立てて、

隣りの脱衣所手前の洗面所へそそくさと向かった。


*****************************************
(19)につづく。






絵梨子さん、読者の知らないところで、
カオリンに色々と衣類を押し付けているってことで。

明日11/12は、槇兄ぃの声優さん、
田中秀幸さんのお誕生日!
当サイトでは、
この日が撩と香の初ちゅうの日と設定させて頂きましたっ。(01-13)

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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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