29-04 Good Morning Kiss

第29部 Calm Day?

奥多摩湖畔から15日目


(4) Good Morning Kiss **************************************** 2492文字くらい



「撩—っ!!!」



9時前、

6階の階段下から上を見上げながら、

エプロン姿の香が大きな声を出す。



「食事出来たわよー!」



手すりに指をかけて、

撩の部屋の気配を読もうとするも、無反応。

「もう!起きてきなさいよ!」

できることなら、今はあまり部屋に接近したくない。

さっきの余韻の中で、あのオトコの姿をまともに見てしまったら、

また頭がのぼせてしまいそうになる未来が見えるからだ。






「んー…。」



寝言モドキの声がかすかに聞こえる。

「もぉー!」

この鈍い反応に、やはりいつも通り叩き起こしに行こうかと、

階段に一段足をかけたところで、はっと動きが止まる。

(だ、だめだわ…、やっぱり、なんか、…き、危険な気がする。)

恐らく、部屋に入って撩の腕の届く範囲に接近したら、

そのまま寝床に引っ張り込まれる可能性を感じてしまった。

それも決してイヤではないのだが、

昨日丸一日出来なかった諸々の雑用を片付けたい思いもあり、

香は、二歩目を出す前に、一歩目を戻してしまう。



すーっと息を吸い直すと、ぴたっと止めて腹筋に力をいれた。

「降りてこないんだったら、先に食べちゃうからねーっ!」

そう言い残すと、

吹き抜けと廊下を繋ぐ扉をバタンと閉めて、

再びキッチンへと向かった。










「あ、り?」



叩き起こされることを期待して待っていた撩。

香の枕を抱き込んだまま、ぱちんと目を開ける。

Uターンしてしまった相方の気配に、

頭の中にポポンと浮かぶクエスチョンマーク。



「なんだよ、おはよーのちゅぅ〜で起してもらう予定だったのによ。」



勝手な計画がボツになり、訝しがりながら上半身を起すことに。

ぼりぼりと頭を掻きながら、

チェストの中よりスウェットを取り出せば、

ごそごそと着込んで、耳はちゃっかり下の様子を読んでいる。

キッチンから慌てて出てきた相方の足音は、

そのまま吹き抜けの階段を降りて行った。

ほどなく玄関の新聞を引き込んだ金属音が鼓膜に届く。

すぐにパタパタとスリッパが発する進行方向は、

やはり7階ではなく、ダイニングキッチンへ。





「なぁーんで、上がってこないのぉ?」



これまでなら、

朝食が出来上がると、起きる起きないに関わらず、

ほぼ部屋まで呼びに来ていた相棒の、

いつもらしからぬ動きのラインに、再び疑問符が浮かぶ。

わずかな違和感。

それを探るべく、撩は気配を消して香のいる場所へ向かうことにした。






覚えのある柑橘系の香りを感じながら、

半開きの扉より、中をひょこっと覗く撩。

こちらに背を向け、

ワークトップで腕を忙(せわ)しく動かしている香をロックオン。

黄色のエプロンに、黒のハイネックとジーンズ姿。

ヒップのラインがきゅっと上がって、

本人の意志に関係なくスタイルの良さを強調している。

テーブルの上には、2人分の朝食。

まだ自分の分には味噌汁がつがれていない。

いつも座る席には、朝刊が畳まれて置かれている。



気付かれずに接近するのはお手の物、

今回は、やや本気モードで捕獲を試みる。

持っていた包丁の手が止まり、まな板の脇に置かれたところを見計らって、

距離をゼロにしてみた。



「わひゃあ!!!」



素早く太い両腕で背後からやんわりと締め付け、

ビクンと跳ねた体を固定した。

そのまま、左腕をぐいっと動かして、

香の顎を手首に乗せれば、上向き加減になった小さな顔と、

覗き込んだ己の顔とを素早く接触させる。

「んんっ!」

香の持っていた白い丸い物が、まな板の脇でころんと転がった。



そのまま離れるのが惜しくて、

ぱくりと唇全部に覆い尽くすと、

吸い付いたままで、

舌先をゆっくりとその朱唇にじんわり滑らせる。



もうアレから、何度も触れ合っているのに、

相変わらず、ぎこちない反応をしてくる細い体。

それがまた愛らしくて、更なる深い触れ合いを求めてしまう。

撩にとってはライトなちゅうであったが、

相方は既に全身高熱になっている。

香の腕と足がふるふると震えているのに気付き、

うっすらと目を開けてみた。



きつく閉じられた瞼の縁には涙で湿り、

眉間に複雑なシワを浅く寄せて、眉のラインを下げている香。

頬を桃色に染めて、抵抗することなく耐えている姿に、

ますます煽られそうになる。



撩は、部屋まで起しにこなかった仕返しだと、

これまた勝手な言い訳で、

濃厚な¨おはようのちゅう¨に切り替えた。





撩の舌と自分の舌が口の中で触れ合ったところで、

香の脳が警報を鳴らす。

朝っぱらから、長過ぎる吸い付き攻撃。





(このままだと…、このままだと…、あたしが…、



離れられない…)




さきのリップクリームで刺激されてしまった感覚が

勢いをつけて浮上する。

撩に触れたい、撩にキスをして欲しいと、

ぽこぽこと熱く願望が沸き上がっていたところに、

強制的にフタをして、

なんとか家事に集中していたはずなのに、

欲しかったものを唐突に与えられて、

まるで吹きこぼれる寸前の鍋状態。



(だ、だめ…ぇ。)



感じ過ぎている自分の体をもう操ることが出来なくなってきた。

両足から力が抜けて、カクリと脱力したところで、

それを支えた撩が、

ちゅぽんと音を立てて接点をわずかに離した。



「っは…ぁ…。」



ふはっと息継ぎをする空気音に撩の言葉が被る。

「おはよ、香ちゃん。」

右肩から覗き込んでいる撩の近さを感じながら、

薄目を開けて、眉と眉の間のシワを深くする。

「……あ、朝からなにや」

「朝じゃなきゃいいのか?」

「ち!ちがっ!そ、そん」

なんじゃないわよ!と続けようとしたものの、後ろ抱きにされたまま、

じゅうじゅうと色々な感情が交じった加熱具合に、

言葉も上手く出てこない。

代わりに湿り気を含んだ熱い息が出る。

「感じちゃったぁ?」

「ばっ…」

まさにその通りであること、

バレたくない一心でジタバタと撩の腕の中で暴れてみる。

「は、離してよ!味噌汁冷めちゃうじゃない!

あったかいうちに柚子入れようとしてたのに!」

必死にごまかしモードの抗議をして、

解放を訴える。

「ユズぅ?」

「細かく刻んで香付けに入れようと思ったのよ!放して!」



撩は、まな板の上で針の様に細かく刻まれた黄色い果皮をみとめる。

芳香の発信源はこれかと納得。

香の手から転がったのは、

剥かれて白くなったユズの果実だった。


**********************************
(5)につづく。






ヤツのちゅうが上手過ぎるのは、
当然の設定ということで…。
汁物冷めるくらいに吸い付いとるとは…、
カオリン朝からごめんね〜。


日常が慌ただし過ぎて、ぐったりしておりますが、
ついに我が家にもアノDVD-BOXが届きました!
これで気分を充電したいっ!
でも、いつ見ようぅ〜。


【誤植発見感謝!】
Yさん(←とりあえずイニシャルで!)
ご連絡ありがとうございます!大感謝ですっ。
ソッコー修正させて頂きましたっ!
またお問い合わせコーナーにて返信させて頂きますっ。


---- 2013.12.09.の伝達事項 ------

【お知らせ】
一つ前の記事に、10万ヒットその1をアップしております。
明日12/10の1818でその2についての告知をさせて頂きます。

【pixiv追記のお知らせ】
リンクノートその2で掲載させて頂いております
マメさんの紹介文に pixiv のアドレスを貼らせて頂きました。
是非、ご覧下さーい。
他、貼付けご希望のご連絡ございましたらお気軽に
お声をおかけ下さ〜い。

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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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