29-17 It's OK Right ?

第29部 Calm Day?

奥多摩湖畔から15日目



(17)I’t OK Right ? *********************************************** 2204文字くらい




「おま…、どーして、腕まくりしてたんだよ。」



しばしの沈黙の後、撩が先に口を開いた。

また頭の後ろに指を組み直し、目を閉じたままそう尋ねる。

その太い眉はやや下がり気味。




「ど、どーしてって、

まさか撩以外の人が来るなんて思ってなかったんだもん!」



香は後ろ手に腕を隠したまま、

あの暖炉の前での場面が蘇り、返事をしながらまた赤くなる。

同時に、その腕に隣りのオトコの唇が当たっていた時の感覚が思い出された。

歯と舌と上あごで強く吸引され皮膚にチクリと小さな痛みが与えられ、

その度に震えた心と体に残された熱い時間の痕跡。

更に体温が上がっていく。



耳が火照るの感じつつ、

慌てて左の腕まくりも折られた袖口をもとに戻してみた。

左腕はさほど残ってはいなかったものの、

右の手首の内側、ちょうど脈を取る辺りにと、

腕の内側、静脈注射をする部分の2ヶ所に

延齢草の花のような赤褐色の痣。

その2点を繋いでいるのは、

極々小さなキスマーク。

まるでキツネのフットマーク風に

小花が細くまっすぐラインをとっていた。





「そ、それに、肌を少し出していれば、

空気が動いた時何か分かるかもって思ったから…。」



ぼそっと小声で続ける香。

過去の体験から、

人がそばで動いた時に、まわりの空気がわずかに流れるのを

頬で感じたことを思い出し、

気配を少しでも感じるためのセンサーとして

地肌の露出を増やしたのだ。

しかし、まさかかすみが登場するとは思いもしなかったし、

さらには、ダイレクトに情事の痕跡について指摘されるとは、

全く想像だにしていなかった。






「っま…、いっか。」

「え?な?なによ?いっかって?」

「べっつにぃー、言った通りの意味〜。」

「いっかって、ほ、ホントにいいの??? 

か、かかすみちゃん、そ、その、わ、わかっちゃっている言い方だったわよ!」

「だから、いいんでない?」



涼しい顔で繰り返す。

かすみとて、十分な大人。

香の腕に残されたものが意味するものは、

言わずもがな理解しているという成熟した対応に、

むしろ救われたかもしれない。

あのまま彼女の言葉通り、それをネタにからかわれでもしたら、

香の方が質問攻め耐久レースに根負けして、

唯香の時の二の舞になっていただろう。

そんなことを考えていたら、

また香が、自己評価どん底論を引っ張り出して来た。




「あ、あんたさ…、

まわりに、あれだけあたしのことは女扱いしない態度だったのに、

そ、その、あ、あたしなんかと、そ、その、そそそ…」

音量がフェードアウト、言葉が続かない。

「あ?」

「だっ、だから、その、……、ば、バレても平気、なの?」

ものすごく小さな声でつぶやかれた言葉に、

撩から出た疑問符はその何倍のデシベルか。

「はぁ?」

「だっ、だって、いいんでない?って、

かすみちゃんに勘ぐられちゃっているの、

追いかけて否定しに行かなくてもいいの?!」

このままだと、香が追って行きそうな勢いがある。

「ああ?なぁーんで、そんなことする必要があんだよ。」

撩は、まだ香が『自分なんか病』が治っていないこと、

そして、

シティーハンターの相棒が恋人兼にもなったことを

表立って知られることが撩にとって恥になるのではと

力一杯思い違いをしていることを、

痛いくらいクリアに読み取るが、

撩の言葉が出る前に香が更に続けた。



「だだだって、あたし達はパートナーであって、

そ、そ、その、ふ、ふっふふ、ふ夫婦なんかじゃないのにっ!

あ、あの、だ、だからっ、そそそんななな仲っていうのが、そのっ…」

細い眉に複雑なシワを寄せ、頬を染め、

長い睫毛を少し濡らしながら、目を閉じて俯き加減のまま、

両手はバンダナを握りこむ。

自分の不注意で、撩との関係がかすみに開示されたことを悔やみ、

撩に対して申し訳ないオーラを出している香。

次の単語が出てこない。



撩は組んでいた足を開きながら、自分のくせ毛をがしがしと掻いた。

「あーもー、いいんでないって、言っとるだろうが!」

こりゃ言葉よりは行動だと、

撩は、素早くも優しく香の後ろ頭に左手を差し込み、

細い左手首を右手でくいっと掴んで、

そのままごろんとソファーに仰向けになった。

「きゃああ!」

香が自分の上に安定して乗ったことを確認すると同時に、

両手で小さな頭をくしゃりと包んで、自分の顔に引き寄せた。

反射で香の目が閉じられる。

「んんんっ!」

こうなるとあとはお約束のように、

カオリンのカワイイお口を塞ぐことに。



お前以外に、

俺の愛を注いでやろうっていう女は他にいないというのに、

いつになったら、自分なんかと言わなくなるのか。

こんなに、愛おしいと思う女は初めてだというのに、

いつになったら、自分に自信を持つようになるのか。



そんな思いを託すように、

ただひたすら唇と舌と歯を使って、

香の口器を徹底的に攻め上げた。



「んふっ…、ぅ…。」



本日、一体何回目のちゅうなのかと、

香は自分の頭を包んでいる長い10本の指を頭皮で感じながら、

スイッチオンになりそうなところを必死で抵抗する。



しかし、本能はそんな香の意志を無視して、

追ってくる撩の舌を自分も吸い付き擦り合せたいと、

オンナの部分を込み上がらせる。

その流れに乗らぬよう、

迫って来る舌と唇から逃げようとするが、

巧みに捕まり口の中で踊らされる各種の部位。



香は、きっと今の自分の心電図は

めちゃくちゃなんだろうなと、

酸欠気味の頭でぼんやりと思っていた。



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(18)につづく。








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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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