29-18 Glico

第29部 Calm Day?

奥多摩湖畔から15日目



(18) Glico **************************************************** 2313文字くらい




上半身を支える香の両肘が、撩の顔の横でソファーに深く沈み、

ふるふると震える。

互いの胸骨越しに心房の拍動が叩き合い、

それがこめかみにまで響く。



「んっ…ふ…ぅ。」



香が上なので、分泌される唾液が重力に従い、

撩の口の中に流れてきた。

その甘みと粘度に、脳底から掻き乱されそうになり、

このままなりふり構わず前進したくなるが、

香の問いに答えなければならない。

ソファーのクッションに立てられている指が

さらに色白になる。

持っていたバンダナは床に落ちたまま。



香の“夫婦でもないのに“という言葉に対して、

本当に言いたかった言葉は喉まで出かかったが、

柄じゃねえと、また飲み込まれてしまった。



— 夫婦以上じゃねぇの? —



まゆこちゃんにもそう言われたの忘れちまったぁ?と

頭の中ではそう軽く口を叩く自分の動画が浮かぶ。

困惑している香を最も安心させるワードと、

分かってはいるが、

それを易々と口に出来る程、

まだ撩もこの変化に慣れ切っていなかったりする。



散々、粘膜を荒らしまくったら、

トドメに、おふざけも絡めて香の唇を丸ごと吸引。

ドナルドダックの黄色いクチバシのように

形がスリッパ型に変わってしまうんじゃないかと思うくらい

柔らかい口元を強く吸い付き引き伸ばした。

「んーーーっ!」

がっしりと両手で掴まれた小さな頭は、

吸い込まれる方向と逆に引っ張られる。

香の皮膚の伸縮が限界に来た時、

まるで、ワインのコルク栓を抜く音のように、

ちゅぽん!と口輪筋が跳ねた。

「ぷはっ!」

額に汗が浮いた香の顔は、

そのままバフッと撩の胸板に押し付けられてしまう。

「うぶっ!」

「ごちゃごちゃうっせーの。いいっつったらいいんだよ。」



その台詞と同時に両腕は香の腰と肋骨周りに深く絡ませ、

長い両足もパーフェクトラインの下半身をしっかりと拘束。

大きな左手はくしゃりと茶色い髪を一房分まとめあげる。

「〜〜〜っ。」

背中から激しく湯気を上げる香は、

キツーく目を閉じて、不足していた酸素を浅く細かい呼吸で補給中。

「先週さぁ…、言っただろ?」

「は…?」

「これまでどぉーりでいいんでない?って。」

「え?」

「勘ぐるやつらには、勝手に勘ぐらせておけばいいんだよ。」

「え?」

髪の毛に差し入れられている撩の指先が優しく細かく動く。

「ボクちゃんもー、これまでどーりにぃ、ナンパしてぇ、カオリンのハンマー受けてぇ、

俺らだけの時間になればぁ、こーしてぇ」

腰に巻き付いていた太い腕が怪しげに動き、

指先がついっとジーンズの縁に滑り込む。

パチッと目を開けて、ぴくんと肩が揺れる香。

「いちゃつければいいんでない?」

ショーツの上から、肉厚のホッカイロがわにわにと波打つ。

「あんっ!」

ここで出来ることならハンマーを出して、

流れを断ち切りたい、そう頭で思いながらも体が動かない。

実は、撩もそれを期待しているが、

香は、動く指の刺激に合わせて、

「あ…」

と湿度の高い呼気を出す。



撩の胸に押しつけられた時、

腕が伸びたままソファーのクッションを握り込んでいた香の細い指は、

相方の三角筋へと引っ張られた。

手の位置が楽な場所へとずり下がり、厚い筋肉に覆われている撩の肩にくっと触れる。

頭皮と臀部で動くオトコの指から発せられる感覚に飲まれそうになり、

香の指が撩の両肩をぐっと掴む。



(あり?ハンマー出ねぇな?)




撩は、これなら照れと恥ずかしさを表現した、

ソレ相応の大きさのハンマーが出て来るだろうと、

思い描いていたが、出現する気配なし。



香はまたさらに真っ赤になって、

しゅうしゅうと全身から水蒸気を立ち上らせる。

細かく震えながら、撩の体温と匂いと感覚に、

なぜかひたすら耐える状況に、

何を話していて、こうなったか忘れそうになってしまう。

はぁ、はぁ、とまだ僅かに乱れる息づかいで、

目をくっと閉じたまま、なんとか台詞を続けようとした。




「ど、…どこ、…さわってんのよ…。」

「んー?香ちゃんのキモチいーところ♡」

いつもよりさらに掠れたハスキーボイスが、

撩の鼓膜の奥にぞわりと届く。

それを誤摩化すように、

「こっちもぉ〜」

と頭の上に乗せていた左手を背中経由で滑らせて、

乳房を目指し香の左脇腹の隙間に侵入させる。

「ちょっ、まっ、まって!だめっ!」

香の中でまた葛藤が始まる。





このまま撩に触れてもらいたい V.S. ちゃんと話しをしなければ





この2週間、撩から強い刺激ばかりを受け続け、

その心地よさに対して依存症になりつつある、

いやもうなってしまっている香は、

この心のぶつかり合いに激しく苦戦中。

しかし、

さきの撩の台詞の意味も、かすみの話しも、この目隠し訓練のことも、

きちんと話しをしたいと、

撩に甘く拘束され、茹で蛸状態になりながら、必死で後者に援軍を送ることに。

幸い両手は空いている。

香は撫で繰り回されながら、撩の肩を掴んでいた指に意識を流し、

動けと命令を下す。



「は、な、し、て。」



ぐりっという音と共に、

「ぎゃあっ!」

と濁ったカラスの鳴き声のような悲鳴が出た。

香が撩のこめかみに、拳で出来た指の関節の山を尖らせてめり込ませたのだ。

「な、なにすんでいっ!」

がばっと起き上がって、

香を抱き込んでいた腕を慌てて解き、

自分の頭を抱える撩。

解放された香は、撩からするりと距離を置いて、ふぅと息を吐き出しながら

胡座(あぐら)になった撩の隣りに座り直した。

ついでに、床に落ちてたバンダナをついと拾い上げて、

ガラステーブルの上に置いた。



「グリコよ、ぐ、り、こ。」

「あああ?んだよそれ?」

小学校で流行った、オシオキネタ。

でこぴん、しっぺ、ぞうきん絞り、の並びの一つ。



残念ながら、物知り撩ちゃんでも、

この文化の情報は持ち合わせていなかった。


*****************************
(19)につづく。








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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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