29-21 Endurance ? ( side Kaori )

第29部 Calm Day?

奥多摩湖畔から15日目



(21) Endurance? ( side Kaori ) ***************************** 2119文字くらい




「ねぇ…。」

目を閉じたまま小さな声を出す。

「んー?」

「あたし、今日、縄跳びしてないんだけど…。」

「そんなもん、あとでいいって…。」




さっき後ろからあたしを抱き込んだ撩は、

そのままソファーのコーナーへ一緒にずるずると移動して、

どさっと背もたれに広い背中を寄りかからせ、

長辺側の座椅子に長い右足を投げ出した。

左脚はクッションに乗らないので、床に垂らすことに。

あたしの指定席は、その足の間に作られる。

3本の足が目の前に川の字に並んだ。

あたしの腰回りには、

シートベルトのように熱のある両腕が絡み付く。



やっぱり、この状況が

どうにもこうにも恥ずかしくて照れくさくて、

背筋を伸ばして固くなっていたら、

撩の右手が動いて温かい指が額の生え際に滑り込んで来た。

そのままくいっと後ろに引っ張られ、

さっきと同じように、またあたしが撩を背もたれにして、

座らせられる姿勢になってしまい、

撩の腕はまた安全ベルト状態に。

もうドキドキしてしょうがないのに、

それもバレていると分かっているのに、

つい誤摩化そうと口に出てしまったのが、

冒頭の台詞。



撩は、あたしの髪に頬を刷り寄せ

穏やかな呼吸をしている。

背中に伝わってくる肋骨の動きが全く乱れてなくて、

あたしだけが、真っ赤になって心臓がパクパクしていることが、

なんとなく悔しくて癪に思ってしまう。



それでも、

触れている全ての部分から感じる体温に息づかいに、

匂いに、感触にと、どれもこれもが心地よくて、

逃げ出す気も全く失せ去ってしまう。



本音は、

今あたしの脇腹に触れている撩の指に、

そこじゃなくて、

違うところを触って欲しいなんて思ってしまっている。

頭の皮膚に感じる撩の鼻からの息は、

そこじゃなくて、

キスをしてくれる時のように、

頬にかかって欲しいなんて思ってしまっている。

本当は、

振り向いて、自由になっている左腕を伸ばして、

撩の頭を引き寄せて唇を合わせてみたい。



この先に進むつもりは今はないと、宣言してくれたのは撩なのに、

あたしのほうが、進みたがっている。

なんで、こんなに欲張りになっちゃったんだろう。

このままでも、十分なはずなのに。

撩にこうして抱き込まれているだけでも、

前は考えられないことだったのに。



今は我慢、なんて思っている自体、

ちょっと香っ、あんたどうしたのよ!

と前のあたしを知っているあたしが、

目を見開いて驚いている。




心地良いけど、足りない…。




あたしは、頬に熱を持たせたまま、はぁ…と上向きに息を吐き出した。

「ん?」

わずかに動いたあたしの頭から撩の顎が浮く。

「どーした?」

「べーつに…、なんか昨日の疲れもまだ残ってるのかな…。」

あたしは、自分の欲求の部分をひた隠しにしようと、

なんとか普通に返事をしてみる。




手の居場所がない。

撩に触れたい。




足りなさの穴埋めに、

あたしにとってギリギリの折衷案を選んだ。

撩に上半身を預けたまま、

そっと右腕を伸ばして、撩の膝にゆっくりと指先を添えた。

わずかに、撩の上体が動いたことに気付く。

少しでも反応してくれたことが、ちょっと嬉しくて、

あたしは目を閉じたまま、

すすーっと、手の平を広げて撩の膝を低速でさすってみた。

するとあたしの腰のところに当たっている

ちょうどおへその下あたりの腹筋が

1回かすかに波打つのを感じた。

面白い。

撩の動きが分かって楽しいかも。

布越しに手の平へ伝わる撩の熱が、無性に愛おしくなり、

半ばぼんやりとしながら、

あたしは、普段触れることがない、

厚い筋肉に包まれている太ももを、撩があたしにしてくれる時と同じように、

さわさわと超スローで優しくさすリ続けた。

空いていたもう一方の手は、

撩の腕に重ねることに。




「はぁ…」




頭皮に撩の湿ったため息が当たる。

またさっきと同じ下腹部の波打ちを腰で感じた。



「香ちゃん…。」



そう言いながら、撩は片腕を解くと、

あたしの手の上に、自分の手をくっと重ねて、

さすっていた腕の動きにストップをかけた。

「?」

「……夜まで、待てなくなるだろーが…。」

「は?」

あたしは目がパチッと開いてしまった。

だって、たださすっただけなのよ?

待てなくなるって、その、りょ、りょうも、なに?

が、がまん、してるってこと?

撩の左腕にぐっと力が入ったかと思ったら、

より密着させられた。



「だまって休んでろ。今は休憩時間っ。」



抱き直されて、というよりは抱き込まれ直された。

撩の手が温かい。

指と指の間に入り込んで来たあいつの長い指を

ぼーっと見つめながら、目を閉じた。

離れないでと、言葉には出さず、

指に少し力を入れて撩の4本の指を挟んでみた。

すると一拍置いて色の違う指もあたしの全部の指を挟んできた。



これだけで、心臓が溶けるくらいに嬉しい。



買い物は行かなくても大丈夫だから、

このまま夕食の準備の前まで、

ここでのんびりしててもいいかな…。



耳に届く撩の呼吸に混じって、

外の雑踏もガラス越しに伝わってくる。

いつ招かざる侵入者が来るか分からない生活だけど、

今は、それを少しだけ忘れてもいいかしら…。




あたしは、恥ずかしさを残しつつ、

力をふぅっと抜いて、

撩に体重を預け、

言われた通り¨休憩時間¨を過ごすことにした。


**************************
(22)につづく。







撩もけっこう耐えつつ、
こーゆー時間も実はそれなりにじっくり味わっていたりして。
うちの冴羽家は、まだくっついて半月ということで、
どこでもいつでも合体までは、
撩がカオリンを気遣って、
もーちっとかかるイメージなもんで。

順番としては、
撩の部屋⇒香の部屋⇒お風呂⇒キッチン⇒射撃場⇒冴羽アパートのどっか
⇒やむを得ずラブホ⇒このあたりでリビング?…、
屋上はきっとカオリンかなり嫌がるかもなぁとか、
でも他のサイトさんで読むのは好きだしぃ、
クーパーの中は狭過ぎるしぃ、
とか妄想している自分を客観的に見たら
何も肯定できない今日この頃…。

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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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