04-08 Saeko Talk (side Ryo)

第4部 Report

奥多摩翌日の夕方から夜


(8)Saeko Talk (side Ryo) *******************************************************1858文字くらい



6階と7階の間にある吹き抜けの書籍コーナーに寄り、

東京湾の地図を出す。

「大井埠頭か…。」

新宿から比較的近いので、泊まり込みになることはなさそうだ。

地図を持ってリビングに行く。

「冴子からも情報あったら聞いておくか。

この時間だったら、まだ署だろ。」

子機を取り、慣れた番号を押す。



『…もしもし。』

「よぉ、昨日は大変だったろ。」

『…撩、……大変じゃすまなかったわよっ!』

「まぁ、人数が人数だったからな。」

『ほぼ全員警察病院に入院よ。』

「俺は手加減したんだぜ。容赦しなかったのはタコの方だ。」

結婚式を邪魔されたくせに、奴もよく抑えたもんだ。

『よくあの人数で死者を出さなかったわね。』

「ホトケサンが増えると後処理が余計に大変だろ?」

電話から、はぁとため息が聞こえる。

『……仲間割れが起きて、

身内同士の撃ち合いということにしておいたわ。』

「そりゃどーも。」

『クロイツは、国に強制送還で死刑か終身刑ね。

部下の刑は少しだけ軽くなるみたいだけど。』

「御愁傷様〜。」

『……撩、……おめでと。』

突然の祝いの言葉。

「は?」



冴子とは、あの後、教会で会ってからすぐに別行動だったから、

俺たちのことをまだ知る訳ないのだが…。

『あなたたちが、あの現場から戻ってきた時、すぐに分かったわ。』

「へ?な、なにを?」

『あなたも、ごまかすのが下手になったものね。』

「なぁーんのことかな?冴子くん。」

な、なんだよ!あの一瞬のやりとりで何か分かってぇーの?



『これで槇村も一安心しているでしょうね。』

ああ、奴の名を出されちまったら、もうどうしようもないな…。

『撩、もう香さんを悲しませるようなことはしないでよ。』

「んーっとうに、どいつもこいつも同じセリフばっかりだなっ!」

『当ったり前でしょっ!あなたのいい加減な態度が

周りをどれだけ心配させて、香さんを苦しめてきたと思ってんのよっ!』

一気に感情を込めた早口言葉のあと、ふーと一息入るのが耳に届く。

同時に苦しめてきた、というフレーズに内心ズキリとくる。



『…本当に、良かったわ。』

「あー、もう話題を変えてもいいかぁ?」

『逃げのいい訳にしては使い古したセリフね。』

くすりと小さな笑い声が聞こえる。

「いや、ちょっと教えてもらいたいことがあってな。」

『これに上乗せして借りを作る気?』

「貸しているもののほうが多いと思うんだが…。」

『あら?本気で請求する気?』

「もっちろん!」

もちろん本気でもっこりで払ってもらおうとは露とも思っていないが、

ここはいつも通りのやりとりでごまかしておく。



『で、ご用件は?』

軽く流されてしまった。

「あー、っと最近の大井埠頭の動きについて何か知っていることはないか?」

『……。』

「冴子?」

『…それ、どこ情報?』

「あぁん、俺が聞いてんだぜ?何かありそうだな。」

『こっちもまだ詳しい情報は手にいれてないけど…、

南ガルシア共和国が関わっている事案があるわ。』

「南ガルシアだって?」

以前、CIAの日本人が殺され、

運び屋の姉ちゃんこと小林みゆきちゃんと香が、

あっちの諜報員とやりあったことがある。

『警察も一応警戒してるの。だけど詳しい情報は分からないの。』

「ふーん。」

タコの声に緊張感があったのがこのせいか?

『撩、何かあったら教えて。できるだけこっちも動けるようにしておくから。』

「んー、じゃ。Xデーは、たぶん3日後ってことだけ、言っておくわ。」

『え?3日後?』

「当日まであまり現場をウロつかないでくれよ。」

『そうね。怪しまれて警戒度が高くなったら動くものも動かないものね。』

「進展があったら連絡する。」

『そ、分かったわ。』

「じゃあな。」

『あ!ちょっと待って!撩!』

「んだよ。」

『これって、香さんには内緒なの?』

「いんや、あいつもちゃんと知ってるぜ。」

『そ、よかった。じゃあね。』

プッ、ツー、ツー、ツー。

「なーんで、わざわざ確認するかね。」



俺は子機を戻して、得られた情報から拾い出しをする。

南ガルシアは、未だ不安定な軍事情勢で、

国家レベルで武器やヤクの密輸密売に絡んでいる。

ということは、今回はちんけなヤクザ相手とは違うってことだな。

おおよそ、国内の武器密売ルートから、南ガルシアへ輸出するってところを

止めさせるのが今回の裏方仕事か。

ソファーに座ったまま、テーブルの上の地図を眺める。

しかし、あのタコ、どういう経由でこの依頼を受けたんだ?

まぁ、明日聞けばいい。

埠頭周辺の道路や公共施設、地形、その他諸々を頭にインプットし、

地図を閉じて、ごろんとソファーに転がった。


***********************************
(9)につづく。





原作では、色々な小国の関係者が登場しましたが、
なんとなくマジでヤバそうな国として、
当サイトでは、再度南ガルシアを出させて頂きました。
という訳で、もうすぐ就寝タイムで〜す。



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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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