04-09 Washing Laundry (side Ryo)

第4部 Report

奥多摩翌日の夕方から夜


(9)Washing Laundry (side Ryo)**************************************************2247文字くらい



ちらっと視界の端に入る洗濯物の山。

今日珍しく俺が干したもんだ。

香が、墓地に行く前に取り込んだんだろう。

あいつはこの時間、明日の準備と風呂で慌ただしいだろうから、

ここは俺が主夫しとくか。



ソファーからむくりと起き上がって、布の丘に手を伸ばす。

スイーパーが洗濯物畳むなんて、やってらっかと片意地張るより、

今は、少しでも香の負担を減らしたい。

そんなことを素直に思い、素直に行動に移すなんて、

俺も変われば変わるもんだ。



洗濯物は、タオルにTシャツに、ハンカチにと薄手のものが殆どだったが、

山の中から出てきたランジェリーにつと触れ固まる。

さて、どうしたものか。



別取りして、俺はかまってないぞと、アピールするか、

それとも、きちんとたたみ指定席へ戻し、しまっといたぞぉとアピールするか、

いずれにしても香の顔にレッドカーベットが敷かれるのは間違いなさそうだ。

いや、干したのは俺だから、

香も、洗濯物が全て俺の手と目をすでに経由していることは分かっているだろうが、

疲れで、そこまで考えが及んでいないかもしれないなぁ〜。

うーん、どうしようか。



弄んでいたショーツにふと指先に気になる厚みを感じる。

「ん?なんだこりゃ?」

裏地をひっくり返して見ると、

両サイドの腰にあたる部分、腿の付け根に触れる布地が二重になっている。

…隠しポケットか。

これまで香のタンスをちょこちょこあさって、

シャツの袖口とかにカッターを隠し入れることは知っていたが、

下着まで細工をしていることには気付かなかった。

最近始めたのか、小細工を施している数そのものか少ないのか、

もしやと思い、ブラも裏地を見て見ると、

思った通り目立たないように、何かを入れるためにポケットがある。

あいつなりに考えて実践している

パートナーとしての装備に、ちくっと刺さるモノを感じてしまった。



しばし考え、扱いはとりあえず保留することに。

で、結局最後に残ってしまう。

そこに、タイミングよく香がリビングに登場。

「撩ぉ〜、あたし今からお風呂に……って、あれ?え?えー?!畳んでくれたの??」

「あー、後はカオリンのブラちゃん、パンちゃんだけ……っぐは!。」

と、ついブラを頭にかぶってしまった俺に、

ミニハンマーがスコーンと顎に当たる。

見事ストライク。



「も、もう!っこ、こ、こ、こ、これは自分でしまうからっ!」

ニワトリか?と思うくらいのどもり具合で、

俺から可愛いランジェリーを奪い返した。

顔も、ニワトリのとさかのようになっている。

っんとに、よく顔の色が変わるもんだ。



パジャマセットと一緒に下着を抱え込みながら、

「あ、これ一緒に持って行っちゃうね。」と、

フェイスタオルとバスタオルに自分の服も一緒に抱き込んだ。

布類で香の顔が見えなくなる。

「ぁ、あの、ホントありがとう。ひ、一つ家事が減って、助かった、わ。」

赤い耳と湯気が見える。

照れながら、ほてりながら、礼を言う香が、なんとも可愛らしくて、

こんなに感謝されるんなら、またやりたくなるじゃねぇかと、

香に甘々になっている自分に苦笑する。

「どーいたしましてぇ〜。後でバイト料もらっちゃおうかなぁー。」

「へ?」

わざと意味深なことを呟いて、俺も自分の洗濯物を持って、立ち上がる。

「おまぁも、さっさと風呂入ってこい。明日早いんだろ?」

「あ、うん。」

「撩ちゃん、お部屋で待ってるから〜。」

と不真面目モードの口調で、香の横を通り過ぎリビングを出た。



さて、姫君は自分から俺の部屋に真っすぐ来れるだろうか?

真っ赤になりながら、

2歩進んで3歩下がる香の様子が目に浮かぶようで、

思わずクスクスと笑いがこみ上げた。



自室について、Tシャツやらインナーやらをしまう。

クロイツの時に着ていた傷んだジャケットは、

冴羽商事のルールでは、ボロ布行き。

ただ、これは何となくボロ布コースで木っ端微塵にされ、

油拭きに使われるのが惜しい。

これも取り扱いはしばらく保留にして、とりあえずクローゼットへ。

普段は、殆どの衣類管理も香がしているので、

お陰でどこになにがあるか極めて分かりやすく整理され、

いつもちゃんと着るものを選べるようになっている。

ただし、ガラパンやら、小細工入りコートなんかは別扱いだがな。

そのうちガラパンの作り方は教えといた方がいいかぁ?



「っと、歯磨きしてこよーと。」

食後に、いつもはちょいちょいと口を漱ぐだけのこともあるが、

これからは寝る前には欠かせねぇかぁ?。

と、階段を下りる俺。

また無意識に顔がにやけてしまった。

脱衣所の手前にある洗面台で、しゃこしゃこと歯磨きタイム。

はぁ、なんか俺浮かれてんよな…。

今日はオアズケって決め込んでんだけど、

一緒に寝れるってだけで、

まるでガキのように舞い上がっている自分がいたりして…。



鏡の中の自分に苦笑い。

ホント、信じらんねぇ。

あっちにいた頃の自分と今の自分との違いは、

過去を知っている輩(やから)も信じられないだろうな。



かつては、死神とも言われていた俺をここまで変えたのは、

まぎれもなく槇村と香。

さらに、知らなかったことを教えてくれ、

数多くの無形のものを与えてくれたのも、

愛しきパートナー。



まだ、どこかでこんな俺と一緒に居させてもいいのかという迷いが、

燻(くすぶ)ることもあるが、もみ消せる早さもついてきた。

ただ、恐らくこの世界に完全に引き込んでしまった罪悪感は、

ずっと抱えていくことになるだろう。

それを背負ってでも手に入れたいと思ったのもまた事実。



「さて、戻りますかね。」



脱衣所に気配を感じながら、この後香がどう動くか楽しみで仕方ない。

背後をちらと見ながら、そう呟いて洗面所を出る。

が、7階に行こうとして、踵を返した。

「おっと、その前にトイレっ。」


*************************************************
(10)につづく。






洗濯物を畳む撩ちんって、あんまりイメージが繋がりにくいのですが、
発信機付けるのに、針仕事したり、
コートに色々小細工したり、パンツ縫ったり、
美味しい料理を作ったりという「主夫業」がこなせるヤツだったら、
これくらいしてもらってもいいかなぁ〜と。
さて、カオリン、撩の部屋に自力で行けるかぁ??


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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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