05-07 Set The Table

第5部 Professor’s House  

奥多摩から2日目


(7)Set The Table ****************************************************************2046文字くらい



日没からしばらくした頃、

香は、キッチンで額に汗をかきながら大鍋をかき回していた。

「ふぅー、あ、熱い…。」

ちょっと頑張って、料理本で知った市販のルーを使わない、

「パキスタンチキンカレー」を調理中。

今まで何度か作ったことがあったが、

学校給食のようにこんなに一気に大量に作ったことはなかったので、

自分でも大鍋の様相に驚いている。



玉ねぎ、鶏もも肉、鷹の爪、ローリエ、ホールトマト缶、

カレー粉、水、塩、ブイヨン、リンゴと、

各々の食材が熱い鍋の中で味を引き出される。

スープもサラダも漬物もフルーツも仕上がっているので、

あとは、ご飯が炊きあがるのを待つだけ。



「ほほ、いい香りじゃの。」

そこへ教授がやってきた。

「あ、教授。」

「かずえくんから連絡があっての、

もうすぐ病院から戻れるようじゃ。

途中ミックと合流して、こっちに向かうと言っておった。」

オタマをかきまわしている香の横に教授が立ち寄って来る。

「もうすぐ、ファルコンと撩も戻ってくるじゃろ。」

「それじゃあ、7人揃いますね。」

「大食らいが3人もおるとあヤツらだけで、15人前は必要じゃのう。ほっほっほっ。」

楽しそうに笑う教授は、踵を返した。

「賑やかな食卓はいいもんじゃ。準備ができたら呼びにきてくれんか。」

香は、顔だけ振り向いて答えた。

「はーい。」



食堂にカレー以外の配膳をすませていると、

ふいに玄関が騒々しくなった。

「香さーん、ただいまー!」

かずえの声が響く。

「Oh, good smell!カオリ!キッチンかい?」

ミックも一緒だ。



ミックは式の時以来、かずえも夕べはほんの一瞬しか会えなかったので、

たった中1日空いただけなのに、

なんだか随分久しぶりのような気がする。

「よかったわ!二人とも、みんなと一緒に食事ができそうね。」

台所で3人、楽しげな会話が広がる。



「香さん、本当にありがとう。お陰で研究に集中できるわ。」

かずえが申し訳なさそうにお礼を言う。

「ううん、家でウジウジしているより、

ここで何かさせてもらっているほうが、私も気分が違うから。」

取り皿と箸をお盆に乗せ、運ぼうとしたら、

「あ、俺が運ぶよ。」

と、ミックが素早く受け取った。

「ありがと!ミック。」



香は、食器棚から7人分のカレー皿を出しながら、かずえに振り返った。

「かずえさん、あのメモ助かったわ。

自分ち以外ってなかなか勝手が分からないけど、

細かい指示がちゃんと書いてあったから、

全部スムーズにすんだわ。」



かずえは、スーツの上着を脱ぎ、椅子にかけながら、クスリと笑った。

「こっちも有り難いわ。

もし、香さんの助っ人がなかったら、

どうにもこうにもならなかったかもしれないし。」

本当にいいタイミングだと心から思った。



炊きあがった炊飯器が電子音を発する。

「あ、炊けたみたい。こっちもそろそろかしら?」

圧力鍋の様子をみる香に、かずえは更に続けた。

「あ、香さん、あとで渡すものがあるから。帰り際声かけてね。」

「え?何かしら?」

「ふふっ、アレよ、ア・レ。」

なにやら意味深な口調に香はよく分からなかったが、

聞き返そうとした時に、撩の声が廊下から聞こえてきた。



「うぉーい!戻ったぞーい!」

「あ、これで全員揃ったわね。」

カレースプーンを数える香にかずえが尋ねた。

「私、なにを手伝えばいい?」

「じゃ、ご飯よそってもらえるかしら?男性軍のは、そっちの大きいお皿ね。」



食堂では、ミックと撩とファルコンが顔を合せていた。

腰を下ろしてリラックスモードの撩。

「よぉ、ミック。お前も原稿に追われてんだってな。」

「ああ、締切モノはいつもかかえてるが、

今回のヤマは明日ケリがつきそうだ。」

持ってきた取り皿を並べ終え、その場にドカッと座るミック。

「カズエも今、手が離せない実験抱えているから、

今回のカオリの申し出は本当に助かったって言ってたぜ。」

「一番ヒマなのは俺らだからな。

まぁアイツも何かやっている方が気分も違うだろうし。」



ミックは頬杖をつく。

「ファルコンの依頼、2人でやるって?」

ファルコンと撩を交互に見るミックは、何かを予感していた。

「んだよ、もう知ってんのかよ。」

「夕方、こっちに電話した時、教授から聞いた。」

「んじゃ、話しは早い。ちょっと一つ頼みたいことがある。」

ニヤっとする撩。

「はぁ、やっぱりな。」

ため息が漏れる。

「詳しいことは後で話す。先に飯だ。」

と、かずえが運んできた主食に目を向けた。



「おまたせ。香さんお手製のパキスタンチキンカレーよ。」

「これはうまそうな香りだ。」

さっきまで黙っていたファルコンが呟いた。

「私、教授と美樹さん呼んできます。」

かずえはいったん部屋を離れた。



入れ違いに、お盆に乗せたチキンカレーを香が運んできた。

「ちょうどよかったわ。これで7人全員そろったわね。

撩と海坊主さんとミックはこっちのお皿ね。おかわりもあるから!」

もう一往復して、女性軍と教授のカレーを持って来る。

白い湯気が上がる。

そこに、教授と美樹とかずえがやってきて、

食卓に全ての面子が顔を合せた。


*******************************************
(8)につづく。





と言う訳で、
奥多摩から3回目の夕食でございま〜す。
パキスタンチキンカレー、実は作ったことないで〜す。
イベントの時、仲間が作ってくれたのを
お相伴させて頂き、味に惚れちまいました〜。
さて、賑やかな晩飯になりそうです。


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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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