01-04 I Love You

第1部 After the Okutama Lake Side


(4)I Love You *******************************************************************1304文字くらい




撩に「愛する者」と言われた。



この言葉が聞けた時、

もう死んでもいいと本気で思った。



それが、たとえ

「仕事上のパートナーとして愛する者」でも

「妹のような家族として愛する者」でも、

言われたことが素直に嬉しかった。



綺麗ごとだと分かっていても、

女性としての愛する者という立ち場には、

終生なり得なくてもいい。

その言葉が聞けただけでも、思い残すことはない。

ロケット弾が自分に向かって来た時、

そう覚悟を決めていた。




病院の屋上で聞いた撩とミックの会話で、

告白とも言える

「種族維持本能ではない」と言った撩のことを思い出しても、

よくよく考えれば、もともとから異性として見られていないのなら、

種族維持本能ではないという発言も当然。



さっき自分が撩に問うた、

「これって種族維持本能なのかな?」という言葉も、

「ばぁか」と濁された。

肯定とも否定ともとれる返事に、抱きつきたいという思いが勝り、

その胸に飛び込んだ。

それは、パートナーとして、相棒として、と自分に言い聞かせながら。




仮に、もし生死を目の前にした時に起こる心理ではないとしても、

素直じゃない自分たちのこと、

きっとまた気持ちを交わせないまま、

同じ毎日がずっと繰り返されるのかもしれない。



そんなことも料感しながら、

それでも命尽きるまで一緒に居続けたいと思っていた。



しかし、今、深い口付けを自分にしている撩を感じながら、

言葉以上に「女性として愛されている」と、

体の芯まで染み渡っていくのを覚えた。



言ってしまったら、口に出してしまったら、

今までの関係が崩壊するかもしれない怯えに苛まれ、

もはや、禁忌と念じていたこの想いを、

今ここで撩に、言いたい、今の自分の気持ちをちゃんと伝えたい。

香はそんな想いにかられ始めた。



酸欠と体温の上昇で、意識が飛ぶ寸前の香は、

やんわりと離れ、小さく呟いた。



「りょ…。」

真っ赤な顔をしながら肩で息をし、足元が震えている香を見て、

撩はその体をしっかり支えた。



「おいおい、大丈夫か?」

(……こんなにした当の本人が何を言っているかしら?)

香は、撩のセリフに可笑しくも思いながら、

ゆっくりと口を開いた。



「りょ…、はぁ、……あの、ね。」

まだ息が整わない。

「ちゃんと…、言っておきたく…て…。」



香は、ホトトギスを手にしたまま、ゆっくり両腕を撩の厚い腰に回した。

そっと服の上からひたりと添え置く。

撩の体が少し揺れた。

そのまま、撩を見つめながら、掠れがちに言葉を紡ぐ。



「絶対、……口にしちゃ、だめって、思ってたけど…」



「あのね…、りょ…。」



「………ぃしてる。」



肩が上下して、うまく声がでない。



「あなたを………、ぁぃ、してる…。」



生まれて初めて口にした言葉。

禁句、禁断の言葉として、

お互いが心の奥底にしまい込んでいたその感情。

氷河の先端が海に落ちていくように、

それは音として解き放たれた。



目の前が、水中越しでものを見ているかのように揺らいで、

撩の顔がはっきり見えない。



まばたきを1回したら、溜まっていた涙が零れ落ち、

いっきに視野がクリアになる。

見上げた撩の顔は、目を見開き、クーパーと同じ色になっていた。


*******************************
(5)へつづく。





香ちゃんが先に言っちゃう設定を作ってしまいました。
まぁ、撩も一応『愛する者』と香の前で言っちゃっている訳ですが、
もうこれで十分っしょ。
この2人には、とてもじゃないですが、
LOVEでは表現が追いつきません。
さて、撩ちゃん、あーたどうする?


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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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