SS-01 Night Of Ami&Mami's House

Toad Lily   Short Short 01


10000hit 記念 

原作穴埋めバージョン  

1989年9月1日の夜

完全版22巻 第224話「ふたつの顔をもつ女!?」より。



(SS-01)Night Of Ami&Mami’s House ---------------------------------------3193文字くらい



「………わたしよりお酒に弱い人がいるのね たったひと口で…」



「んががが…」

「すや〜」



一度部屋を出て、思いついた物を取りに行く麻美。

その間、座っていた体勢からゆっくりと横になる二人。

そこに、タオルケットを持ち直しながら麻美が戻ってきた。

「なんだか変わった人たちね」

くすりと微笑む。

「でも、いい人たち…」

静かにゆっくりとタオルケットをソファーの二人にかける。

「いっしょにいると…心が落ち着く…」

一拍二人の寝顔を見つめてみた。

「おやすみなさい」

音を立てないように、そっと部屋を出ようとする。

スイッチに指をかけ、ふっと息を吐く。


パチン…。

照明を消す音だけが残った。



「むにゃ むにゃ 亜美ちゃぁ〜〜ん」

「ん〜 させるか〜」


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。




「……………どぉーすっかなぁ…。」



香は、完全に睡眠薬が効き熟睡状態。

座っている状態から、わざと横抱きに倒したのも撩。

エンジェルダストの唯一の後遺症、

睡眠薬や麻酔などの薬物が効きにくい体質の撩は

たった一口分に含まれているあんな量では全く効果がない。

こんな流れを作ってしまった自分の心理を分析してみる撩。



(……いやさ…、撩ちゃんさぁ…、

あんまりにも、香ちゃんとくっつき過ぎてなぁ…。)



これが妙な悪戯心を育ててしまったようだ。



香の夏の薄着で露出する白い肌が黒のタンクトップに映え、

形のいい肩から二の腕、胸元の谷間に、

鎖骨とうなじのラインがどうしても意識から離れず…。



(えーと…、このマンションに来てからぁ…、

怖がる香にずっとひっつかれてぇ…、

香の体温と匂いがもろ近くてぇ…。)



自分の左頬に香の右腕の上腕が触れている。

二の腕の柔らかさに、吸い付く質感に、

切れてはいけない糸が切れそうになる。



(むき出しの肌になるべく目をやらないように、

ささやかな努力はしていたんだがなぁ。

まったく、なぁーんで、あんな服を着てまわるんだよぉ。)



完全に深い眠りに陥っている香は、今の状況を理解しているはずもない。



アパートから着替えを取りに戻った香が、

自分のもっこり虫を抑えるために、何か行動をすることは読めていた。

スコッチが出て来た時点で、

香がかずえから非常用にもらっていた睡眠薬を使うこともすぐに分かった。



(お前の行動は分かりやすいからなぁー。

だが、俺が薬で寝込んでいる時に、何かあったら、

おまぁ、どーするつもりだったんだ?

まぁ、俺が何か飲まされて動けなくなるっつーのはまずないがな。)

くすりと笑う。

(まったく、麻美ちゃんを俺から守ることしか頭になかったっつーんだろ。

ま、お前らしいけどな。)



右腕をそっと動かし、香の髪にゆっくり触れた。

香の意識があるときは、決して出来ない行為。



甘んじて、香の作戦に乗り、自分も香を眠らせることにして、

この状態に持って行くことまでは想定内。

自分を煽った仕返しに、これくらいのイタズラは許されるだろうと、

流れで作ってしまったこのシチュエーション。



(ばか…かも、俺…。)



はっきり言って拷問以外の何物でもない。



香のぬくもりと匂いと息づかいを、こんなに間近で感じながら、

手を出すことが許されない自分たちの関係。

香は、きっと朝まで爆睡。

だったらすぐにソファーから出ればいいのだか、

あまりにも心地良く、この感触からどうしても離れることができない。



(目が覚めたら、とんでもないことになるだろうなぁ…。)



さゆりが来てから、そしてマリーが来てから、

手放すことへの可能性がほんの僅かながら縮小してきた。

しかし、やはりこの世界にとどめておくことへの抵抗感と罪悪感はぬぐい去れない。

一方で、香に遠慮無しに触れたい思いは日々膨らむばかり。



ただ、それには自分たちの間にある壁を取り払わなければならなくなる。

今までの関係が壊れる行為。

しかし、今は撩も香も、それを実行に移す勇気も覚悟もない。

触れたいのに、触れられない。

おでこにちゅっから、進展はないのだ。




だから、こんな猿芝居をして、

日頃のジレンマからくるストレス解消にと、

イタズラを仕掛けたのだが…。




(かえってフラストレーションの目盛りは上がっちまうじゃねぇーか…。)



撩は目を閉じ、少し顔をずらして、

香の二の腕の裏に触れるだけのキスをした。

そのまま吸い付き、舐め回し、ぱくっと甘噛みしたいのを抑えに抑えて、

すっと香の肌から香る甘い匂いを鼻腔に吸い込んだ。



(…いいオンナ、だよな…。)



スタイルも、性格も、技術も。

本人はそう思っていないかもしれないが、

香の存在で救われている人間がどれほどいることか。

その最たる恩恵を受けているのは、紛れもなく自分自身。



香の横顔を見ながら、ひとつひとつのパーツを確認していく。

長い睫毛に、形のいい高い鼻筋。

瑞々しい唇に、シミのない白い肌。

愛らしい寝顔にドキリとする。



(ここで、秘密のちゅうーなんてしちまったら、繋いでいる獣が暴れ出すだろうな…。)



間違いは起したくない。

ただ触れているだけで流れ込んでくる幸福感と、

もっとと叫ぶ本能がぶつかり合う。



(朝までこのままで耐えられるかぁ?)



めったにないチャンスであることには違いない。

今、現在、

素の香とはこんなことは出来やしないのだから。

ならば、たっぷり感触を楽しんでおこうと、

右腕を動かそうとするも、槇村が上から見ているような気がして、

筋肉の動きを止めた。



「槇ちゃん、安心しな。同意無しに不埒なことはしねぇーから…。」



このところ頻度が増えた、香の部屋への深夜訪問を棚にあげ、

撩は、右腕で香を抱き直し、自分のほうに引き寄せた。

(ソファーから落ちないようにするためだぞっ。)

誰に言い訳をしているのか、

より密着した体位にわずかながら自分の心拍数があがる。



願わくば、毎晩香をこうして抱き込んで眠りにつきたい。

奥深く抑え込んでいた願望がダイレクトに脳に遡(さかのぼ)ってくる。



「……香。」



鼻先にくすぐるクセっ毛の柔らかさが気持ちいい。



もし、香を表の世界に戻したら、

香をこうして抱いて寝るのは他の男。

そう思っただけで、

まだ居もしない相手に強烈な嫉妬心が湧いて出る。



「…卑怯なのは、分かってるさ…。」



このどっちつかずの状況で、

香を深く苦しめているのも十分分かっている。

手放したくない、しかしこの世界に身を堕とさせたくない。

矛盾した揺れる天秤に向き合わされる。

自分が仕掛けた悪戯で、自分の首がぎちっと絞まっていく。



ふっと小さく息を吐き出し、

香の髪をゆっくり掻き揚げた。



「りょ…。」



細く開いた口から、小さく自分の名が紡がれた。



「……香。」



撩は目を閉じ、香をきつく抱き直し、髪に鼻を埋めた。

そのまま深く口づけをしたい衝動に重い蓋をしてなんとかやり過ごす。



ただ、腕の中のぬくもりと、鼓動と、香りを、

寸分も逃したくない想いで、

そのまま時間を静かに重ねて行った。





結局、朝まで眠れず、

香の睡眠薬が切れる時間となった。




覚醒する香の気配を感じる。

(即ハンマーを食らえるようにしておくか…。

中途半端な状態よりは、間違いなく食らえる方がいいよな…。)



撩は、やや迷って少しだけ香の体勢を変えた。

(香すまんっ!)

素早くタンクトップの中に潜り込んで、胸の谷間に顎を埋めた。

(うおっ!すげぇいいぃぃぃぃ。やべぇぞ、これっ!やばすぎるっ!

香っ!早く起きてくれっ!このまま襲っちまうぞっ!)

あまりにも良過ぎる香の肌の感触に、理性の限界一杯一杯。




チュン…チュンチュン…、チチチッ

「……う  う〜〜ん?」

眩しさとスズメの鳴き声で目が覚める香。

「な なに?  この胸の圧迫感は…」

「ごがぁ〜〜」

「………」

「んごほ〜〜」

「ひ…  ひ…ぎ…ぎっ  きゃああああああ」




あとは、皆さんご存知の通り。

1989年9月3日の朝のこと。

--------------------------------------------
おしまいっ。




という訳で、本編よりも1時間早く
10000hit記念をアップしてみました〜。
イメージ違うじゃーん、と思われたらごめんなさいっ!
日頃のお礼の代わりには届かないかもしれませんが、
全ての読者のみなさまに感謝申し上げます。

【訂正・追記】
カオリンのハンマー調査をしていたら、
第228話で出てきた「白虹新聞」の日付が9月4日だったので
事件は9/3と思い込んでいたら、
新聞は夕刊であることに、さっき気付きました…。
つまり事件は9/4に起きたことに…。
ということは
このお話しのラストシーンは、
9/3の朝でした〜。
というワケで9/2から9/3に訂正しました…。
日付こだわるクセして、つ、ツメが甘かった…。
2012.11.30.

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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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