06-13 Talk In The Cooper

第6部 A Day Of Ryo & Kaori 

奥多摩から3日目


(13)Talk In The Cooper  ***************************************************** 1579文字くらい



教授宅を出たクーパーは、

夜の都内をやや急ぎ気味で走る。

「その作業着どうしたの?」

薄汚れてしまった撩の服を見ながら香は訊ねた。

「あ?」

「うちにあったのかなと思って。」

「色んな変装ができるように、常備してあんの。」

「へぇー、…って一体どこにしまい込んであったのよ?

撩の部屋では、そんなの見たことないよ。」

クーパーに乗り込んだ2人の会話は服装のことから始まった。



「あー、使ってない階の部屋。」

「……どうりで。

他の階の掃除もたまにしているけど、気付かなかったわ。」

ふぅと納得混じりの溜め息をつく香。



「まぁ、滅多に使わんもんだからな。とりあえず洗濯頼むわ。」

「はいはい、って、明日着ていくの?」

撩の方を見る香は、

今晩洗濯機をまわさねばならないのか気になった。

「いんや、いつもの服で行くよ。その方が動きやすい。」

どれだけの敵を相手にしなければならないのか、

普段の服装を良しとした撩の判断に、香は少し不安になった。



「明日は、夜9時頃埠頭に行く。」

「……そっか。」

なるべく心配している気持ちを外に出さないようにと

出来るだけ平静に振る舞う。

「教授んちで、メシくって、タコと一緒に出かけて、

とっととケリ付けて戻って来るから。」

助手席に手を伸ばして、香の髪をくしゃりと撫でる。

「だから心配すんな。」

穏やかな視線だけ香に送り、そう答えた撩に、

香は自分の心が読まれていると感じた。

「……うん。」

香は、恥ずかしがりながらも、

そっと撩の左腕に寄り掛かった。



ふっと口角をあげつつ、

らしくもなくドキリとする自分がバレないように、

会話を続けた。

「明日の午前中はのんびりできそうだな。」

「たぶんね。買い物は間に合ってるし、特に予定もないし。」

香はゆっくりと返事をする。



「……ねぇ、撩。」

「なんだ?」

「こっちの動きは、向こうにはバレてないの?」

「大丈夫だ。

そんなヘマは俺たちも教授もミックもしてないよ。」

「……元から断つって提案したのは撩だって、

教授が言ってた。」



「……あのおしゃべりじじぃが。」

撩は苦笑した。

「……1回の密輸を阻止しても、

また同じことをしでかすような国だったら、

大元にダメージを与えた方がいいだろ。」

「意外と世話焼きなのね。」

「俺だけじゃないさ。

教授もミックも好き好んで手ぇ出してやがんだ。」

口を尖らせてそっぽを向く。

(まぁ、ミックはこっちが巻き込んだんだがな。)



元はと言えば、

ファルコンが昔の傭兵仲間から個人的に受けた依頼に、

裏の世界のトップクラスの人材が

自ら絡んで協力しようというのだ。

滑稽と言えば、滑稽かもしれないが、

基本コンセプトはみな『自分が気にくわない』と思ったら

縁があったものに対して行動するだけ。



それに、

撩自身はファルコンが早く仕事が終われば、

香の慌ただしさも軽減されることを見越しての行動。

根底には、

香のためというのがコアにあるが、

それを本人に直接言える程の素直さは、

まだ持ち合わせていない。



「……何にもしないで待つって、なんかヤダな。」

「だから、前も言ったろ。

おまぁは美樹ちゃんが俺たちのことを心配しなくてもいいように、

傍にいてやることが役目なんだよ。」



確かに、

何も知らされずに待つよりも、

今回は遥かに心持ちが違う。

それでも、

かつていつも通り帰って来ると思っていた唯一の家族が

帰ってこなかった心の痛みは、

終生忘れようがない。

同じ思いを二度としたくないと、

不安と怯えに潰されそうになったことも数えきれないが、

今は、ただ撩を信じて待つしかないと、

そして出来うる限りのプラス思考で、

無事を祈るだけだと、

香は自分に言い聞かせた。



「…ん。…わかった。」



小さく返事をする香に、

撩は眉を少し八の字にしてくすりと笑った。


*********************************
(14)へつづく。





冴羽アパートの未使用部屋、
いったいどうなっているんでしょうね〜。
たぶん、香が401に入居する時に、
他の住民には、穏便に立ち退きをさせたと思いますが、
そもそも初期の段階で、スイーパーの立ち場の撩が、
同じ建造物内に、
他人を住まわせること自体が流れとしてヒジョーにひっかかるので、
亜月菜摘の回での犯人侵入シーンで、
アパート住民と思われる輩(やから)が撩の部屋にどやどやと入ってきたのも、
初期の設定が不安定だったことを伺わせます。
北尾刑事が使った部屋は501でしたが、
各部屋に、いざって時のためのなんやらかんやらを
隠し持っていそうですね〜。


【修正しました!】
「…どうりて」⇒「…どうりで」
に置換しました。
mさん、発見ありがとうございます!
2016.02.07.04:03



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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
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シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


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ホトトギスの英名。
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