01-07 Back To THe Church

第1部 After the Okutama Lake side


(7)Back To The Church *********************************************************1725文字くらい




「よぅ、待たせたな!」

ランクルに寄りかかるファルコンに、明るく声をかける撩。

「海坊主さん!」

ぼろぼろになったタキシード姿のファルコンを見て、

香は言葉を失った。



「待ちくたびれたぞっ!さっさと乗れ!美樹が待ってる。」

「ああ、悪かった。」

撩は、後部座席に香を座らせると、シートベルトをさせ、

自分は助手席へ乗り込んだ。



「あれから1時間以上経っているから、もう美樹の処置も終わっているだろう。」

「海坊主さん、ごめんなさい!

こんな大切な日に、こんなことになってしまって…。」



「香…。」

撩はちらっと後ろを振り向いて、

申し訳なさそうにうなだれている香を見た。

そして運転席に視線を戻し、ファルコンがどうでるか、様子をうかがった。

「香、そんなことを言っていると美樹が余計悲しむぞ。」

「え?」

ファルコンは、後ろを向いてにやっと笑みをこぼした。

「結婚式にも装備は忘れない。それが俺たちの生き方だ。」

後部座席に転がっているバズーカ砲をその大きな手で指差した。



「海坊主さん…。」

香は、持っていたブーケの切れ端をきゅっと両手で胸につけた。

「スピードをあげるぞ!」

「ちょ、ちょっと待て!タコ!

お前、目が見えねぇくせして、山道を高速で運転してんじゃねぇーっっ!」

「う、海坊主さんっ。」

香もぎょっとする。

撩も、香もファルコンが失明していることを

またすっかり忘れさせられていた。

「信用しろ!黒蜥蜴の時も問題なかっただろうが。」

ファルコンは涼しい表情で、器用にアクセルとハンドルを操った。

撩は、風を受けながらふっと短く息を吐き、ファルコンの横顔から視線を外した。



程なくして、木立の間から教会の建物が姿を現す。

キキーッ!ザッ!

ブレーキ音とともに、砂埃が低く舞う。

教会につくと3人は、美樹がいるであろう部屋へ向かった。

「撩!」

冴子がランクルのエンジン音を聞いて既に教会の外に出ていた。

「おう、冴子。後始末たのむぜぇ〜。

身柄を拘束しなきゃならん人数はざっと3ケタだ。本部にそう伝えとけぇ〜。」

「冴子さん!美樹さんは?」

冴子は香の姿を見て安心した。

(よかった…、大きな傷はなさそうね。)

「香さん、無事で本当によかったわ。

安心して、美樹さんも教授がちゃんと応急処置してくれたから。」

「ほんとに?よかった…美樹さん…。」

ぐずっと鼻をすする香を見て、冴子は、香が自分のことよりも

何より他人を大切にしてしまう基質をこの一言でも感じた。



「じゃあ、私はこれからの後処理で忙しいから。」

車に向かいながら、別行動することを告げた。

すれ違ったその時、撩と香の醸し出す空気が今までと微妙に違うのを、

敏感な冴子は感じ取っていた。

二人の距離や、表情、撩の手の位置、瞬時に視覚に入ってきた情報で、

ある結論が導かれた。

そんな冴子の思考の展開などはつゆ知らず、3人は控え室に足早に向かう。



「ミック!教授!」

部屋の前で話していた2人を見つけて、香が声をかけた。

「Oh!カオリ!ケガはないかい!本当に大変だったね。

バカリョウはもっと早く助け出せなかったのか?」

「だまれ、ミック。」

ミックは、ちらっと撩のほうを見ると、どこか違和感を覚えた。

「?」

悪い違和感ではない。

しかし、その違和感がどこから来るのか、よく分からなかったので、とりあえず、

ミックはかずえから預かっていた香のポーチを渡した。

「はい、カオリ。これはキミのだろ?」

拉致された時に、あの部屋に置きっぱなしだったのだ。

「あぁ、ありがとう。もう荷物を持ってたことも忘れてたわ。」

香は思い立って、素早くポーチの中から薄い手帳を出し、

持っていたホトトギスを形が崩れないよう注意しながら手早く挟んだ。



「それよりも、美樹さんの様子はどうなの?」

手帳をしまった香は、自分たちのために傷ついた美樹のことが心配で、

とにかく早く会いたいと気がせいていた。

「ほほ、香君、大丈夫じゃよ。もう意識がはっきり戻っておる。

先にファルコンに入ってもらおうかのう。」

と、美樹の亭主を先に部屋に促した。

「いや、撩、香、一緒にこい。」

何か思うところがあったのか、

ファルコンは2人も一緒に美樹の休む部屋へ入るように言った。


***************************
(8)につづく。





やっと教会に戻ってきました。
撩がわざと香の襟首に添えたと思われるあのホトトギスは、
あの後どうしたのかな?と
この流れで妄想した結果、
香ちゃんの手帳の中で押し花行きということにしました。
ただ、実際のホトトギスはあまり綺麗に押し花にならない質感…。
今年、庭のホトトギスが咲いたら
試してみようかな〜。
クロイツ親衛隊の数、おおよそ3ケタ前後というのは、
ファルコン20、撩21、+27+香に銃口を向けていた10人、
+αというイメージで。
ファルコンのセリフの「あれから1時間以上」というのは、
クロイツの「私の親衛隊がわずか小一時間の間に…」という
モノローグから。



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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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試運転中…

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