08-13 Attack (side Ryo)

第8部 Oi Wharf 

奥多摩から4日目


(13)Attack (side Ryo) *********************************************************4251文字くらい




無言で俺と海坊主は二手に分かれた。

無機質な埠頭に並ぶ倉庫街の闇に紛れる。

広い敷地内に点在している見張り役を担う雑魚多数。

屋外屋内両方に散らばる。

殆どが気配を消すことすらできないチンピラばかり。



それでも、周辺に異常に気付かせるのを

できるだけ先送りにしたい故、

処理するのにいちいち工夫をしなければならない。



声を上げさせない。

銃器を使わせない。

音を出さない。

倒した後、動けないように拘束しなければならない。

もちろん猿ぐつわ付きで。

死角になる場所にその図体を隠すことも忘れない。

そして、絶命させない。

一人当たりにかける時間は数十秒。



これを、数分でウン十人としていったら、

さすが面倒になってくる。

倉庫内、倉庫脇を中心に、

とりあえず黙々と一人ずつ片付ける。

埠頭の各所に点在している男共に気配を消して接近。

頸椎を手刀で強打し、気絶させる。

倒れる音もしないように襟首を持ってぶら下げ横たえる。

両腕を針金で後ろ手に縛り、口にはガムテープ。

一応無線機は没収。

ずるずる引きずって隠して一丁上がり。

もう何人目だか。




最初の10分で、俺20、タコ20のまだタイ。

耳につけた小型無線機から海坊主の交信が入る。

『撩、やつらは積み荷の中身を確認し終わった。もうすぐだ。』

「了解。」

ちゃんと中身が揃っているかをチェックして船に積むのは当たり前だが、

3つ分のコンテナにかける時間としては短いな。

手抜きでもしてんのか?

そろそろ切り上げて、リーチスタッカーを奪わんとな。



俺らの戦闘開始から20分、

陸側の戦力が70%まで落ちたところで、やっと周辺が異変に気付く。

遅すぎねーか。

奴らの国の言葉で、

賊だか敵だかが侵入と無線機で大騒ぎしながらやりとりしているのを、

倉庫の影からうかがう。



リーチスタッカーの運転手にも無線が入ったらしく、

焦りの表情を見せると、運転作業を早め始めた。

「海ちゃん、援護頼みまっせ。」

『撩、早く行け。』



これからが、本当のドンパチだ。

コンテナは、今まさにリーチスタッカーが摘み上げるところ。

「やべ。」



俺は、リーチスタッカーのまわりに突っ立っていた6人に一気に発砲。

驚倒する声と銃器がアスファルトに転がる金属音が響く。

サイレンサー付だから、こちらとしては、至って静かな攻撃だ。

走り込みながら次の弾を素早く充填。

揃いも揃って、まだ抵抗してくる元気があり、

震える手で転がっている武器に手を伸ばそうとしているが、

とりあえず手か足を打ち抜き、戦闘不能にする。



わりぃな、大人しくしてりゃあ、痛い思いも少なくて済んだだろうに。

背後で悲鳴と銃声とトラップが発動している音が聞こえる。

海坊主の仕業だ。



「運転を代わってもらおうか?」

運転席にするりと入り込み、

ひげ面のヘルメット男にパイソンを突きつける。

「ひっ!」

一瞬反撃しようかと悩んだ顔が見えたが、本能が負けを察知したのだろう。

わたわたと車体から転がり落ちた。

『撩!早くしろ!』

「わぁーってるよっ!」



本来だったらスローモーションのように動かすべき重機だが、

そんなことは言ってらんねぇ。

摘み上げられた大型コンテナをぶら下げたまま、

キャタピラを最速で前進させ海際まで移動させた。



その間も、うるさい雑魚が攻撃してくるので、

片手で運転、片手でパイソンでの反撃。

他はタコが応戦。

あらかじめ仕掛けておいた火薬を減らした手榴弾に、

威力を調節したプラスチック爆弾が、

慌てる黒服たちを吹き飛ばし、気絶させている。



さっさと一つ目を沈めちまおう。

アームをぐいっと岸壁から伸ばす。

ウィーンとモーターの動く音が響く。

海水面上に浮いたコンテナがボタン一つで、

飛沫と轟音と共に夜の海底に落ちた。

奴らの声にならない悲鳴が聞こえる。

船からも迷彩服を着た奴らからの発砲が始まるが、

重機が使えなくなると困ることが分かっているのだろう。

ロケットランチャーやマシンガンを持っている輩もいるのに使ってこない。

こりゃ、こいつから俺が離れたとたんに蜂の巣を狙ってるか?



次のコンテナは、まだトレーラーに積まれたまま。

そんなことを考えていたら、

やや離れた場所から、雑魚とは違うプロの気配を感じた。

その瞬間、運転席への数発の発砲。

操縦関係の場所には被弾させずに、俺だけを狙っての狙撃。

俺は運転席から身を翻して、車体の影に隠れ、

そいつの気配がする方へ意識を向ける。



船舶からの集中砲火が出る前に、

海坊主が隠れた場所からロケットランチャーとマシンガンで

看板の敵さんを蹴散らした。

デッキから煙と悲鳴が上がる。

『撩、油断するな。』

「ああ。」



タコもやっかいなのが混じっていることに勘付いたらしい。

ヤツはここから20メートルほど離れた別のコンテナの影だ。

あー、めんどくせぇ。

あと2つ、どうやって始末すっか。

この状況じゃ、運転席に戻るのはやや困難。

とりあえず、ちょっとは出来そうなあそこのヤツを片付けんとな。



ふと思い立って、

香から受け取ったペン型の金属棒を内ポケットから取り出した。

「使ってみっか。」

教授のお遊びで作った試作品。

香の護身用にと教授が渡したものだ。

カチカチとノックを2回して、一呼吸置いた後、弧を描かせて放り投げた。

ちょうど、敵さんの頭上で派手な音と光が発せられる。

「うおっ!」

敵さんが、怯(ひる)んで一瞬ものかげから身を出した瞬間、

肩と足を打ち抜いた。

「ぐわっ!」

「余計な手間かけやがって。」

その間、まだ俺が隠れているリーチスタッカーへの発砲は続いているが、

タコの攻撃で一つ一つ減ってはいる。

しかし、収まるまで待ってらんねぇー。

「おい、海坊主、2台目も武器が入ってんだよな。」

『ああ、3台目が偽札だ。』

「……俺がトレーラーに乗り込む。あれごと海に捨てるぞ。」

『偽札は俺が火炎放射器で燃やす。』

「たのむわ。」



短いやりとりで、互いの最良の動きを読み取る。

トレーラーまでは約100メートル強、ダッシュで10秒ほどの距離。

まずは、リーチスタッカーの陰から、

車体のまわりにいる黒服にサイレンサーを付けたまま連発。

同時にタコも同じ方面へバズーカをぶち込む。

もちろん、車体が操縦可能なままでキープできる距離に的確に撃つ。

トレーラーを守るためウン十人と集っていた黒服たちは、

瞬く間に戦力外になる。

タイミングを見計らって、トレーラーに乗り込んだ。

「よっと。」



運転手はバズーカの攻撃で逃げちまったようだ。

アイドリング中のトレーラーのギアをぐっと変えて、アクセルを踏み込む。

このまま直進させれば、トレーラーもろともコンテナは海の中だ。

俺の企てが、他のまだ動ける連中に伝わり、

少数が前進する運転席に発砲してきた。

パン!バリン!カンカン!

弾が近くに当たる音が響く。

「おい!タコ!まだ元気な野郎共がいるじゃねぇか!」

『あと2人だ。』

パリン!

「って。」

助手席側のガラスが割れ、ちょっとだけ首元に掠った。

それを最後にトレーラーへの発砲は収まる。

勢いをつけたトレーラーから、岸壁ぎりぎりのところで運転席から飛び出し、

同時に鉄の巨体が海面へぶつかる音を耳にしながら、

受け身でアスファルトに転がり、軽く脱出成功。



パンパンと服の汚れをはたきながら、3台目のトレーラーに歩み寄る。

別の場所から海坊主も火炎放射器とランチャーを持って、コンテナへずんずんと近づいて来る。

まるで、ゴジラのテーマソングか

ターミネーターのサントラが聞こえてきそうだ。

トレーラーのまわりには、船から降りて来た迷彩服の10人と、

ワゴンに乗って来た言わば生き残りの黒服10人、

計20人が最後の砦と言わんばかりに、

壁を作っていた。



「おい、諦めな。コンテナ2つは、もう海の中だ。

そいつを死守しても任務遂行にはなるまい。」

俺は、あえて奴らの国の言葉で話した。

黒服の先頭にいるヤツがぎりっと唇を噛む。

「おい、海坊主、どうする?」

「めんどくせぇから一緒に燃やしちまってもいいが…。」

おもむろに火炎放射器を抱え直し、安全装置をはずす。

「ひぃ!」

迷彩模様の御一行様は、悲鳴をあげながら船に向かって逃げ出した。

「あれま、見かけによらずチキン野郎だな。」



よせばいいのに、俺の視線が逃げる男たちにちらりと向いた時、

残った黒服たちが俺に向かって一斉に銃を抜いた。

これも想定内。

バシュ、バシュと空気を割く音が6連発。

「がっ!」「ぐっ!」「ぬお!」

一気に銃をはじかれ、

ようやく力量の差を認知したガルシシア側の男たちはがっくりと肩を落とした。

一足遅れて懐から銃を抜いた残り4人も、自ら武器を投げ捨て降参し、膝を落とした。

白い煙を出すパイソンを持った俺は、トレーラーの運転席の屋根の上。

手は反射的に弾を充填する。



「海ちゃん、やっちゃいなよ。」

「………。」



無言でコンテナを開けた海坊主は、木箱に詰め込まれた紙の山に向かって火を噴いた。

外装をワインとコーヒーの表示が書かれている焼き印が

みるみると焦げ付き、読めなくなる。



ガルシアの連中の嗚咽が聞こえる。

俺はストンとトレーラーのルーフから飛び降りる。

統率をしていたと思われる男の一人が、

手首を押さえ座り込んだまま英語で聞いて来た。

「き、きさまら、何者だ?なぜこの密輸を邪魔する?」

撩はちらりと視線を送る。

正体の説明は面倒だと、ガルシアの言葉で返した。

「これが俺らの仕事だからさ。」



遠くで、サイレンの音がする。

「お、警察のお出ましだ。ナイスターイミング♪」

黒い煙がもうもうと出ているコンテナを見ながらたたずむ海坊主に声をかける。

「そろそろ、ずらかろーぜ。」

「ああ。」

「仕掛けたトラップ、全部始末したか?」

「ああ、心配するな。」

「まぁ、何か残っていても冴子がテキトーにごまかしてくれんだろ。さっさと帰ろーぜ。」



サイレンの音がどんどん近づいて来る。

時間は、日付が変わるまで少し余裕がある。

一応、終了時間は予定通りか。

既に、教授とミックが、南ガルシア政府の軍事政権がやらかした悪事を

表に流して、ネット上で一気に広がっているはず。

明日には、国連かICPOが動いて、軍事政権崩壊への第一歩か。



ランクルに乗り込んで、現場を後にする。

帰りの運転は俺。

「まったく、雑魚ばっかりで、しかも殺さず、建物も痛めずって

あー、めんどくさかったぜ。」

「……撩、…この借りはいずれ……。」

「どうせまたバーボン200本だろ!

そいつはいらんいらん。床が抜ける!」

「撩…。」

タコは俺の隣でふっと口角を上げた。

「さーてと、俺らとかずえちゃん、どっちが教授んちに先に着くかなー。」

俺は、アクセルを踏み込み、目的地に急いだ。


*********************************************
(14)につづく。





はい、一仕事終了〜.お疲れさんでした〜。
100m強、10秒弱、撩ちゃんメダル確実です。
やっぱり戦闘シーン、
ワタクシなんぞが手ぇだしちゃだめだったかも〜。

【チュート徳井撩熱演!】
さっき放送された、
人気アニメオープニング実写化対決。
シテハンv.s.ヤッターマン
2:3で残念!負けちゃいました〜。
でも立石諒くんも入れてくれたので
同じリョウ繋がりで嬉しいぞ。
歌はさておき、なかなか面白い企画でした。
2012.10.01.21:30

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プロフィール

きまりも

Author:きまりも
since 2012.03.31.


5周年記念に
プロフ画像を貼ってみた。
十波ちゃん作。


中学高校時代に読んでいた
シティーハンターに
再燃しハマってしまいました。


ブログのタイトルは
ホトトギスの英名。
基本カオリストです。
丑年といえば年がばれるか?


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